FEATURE
パリでいま、いちばんホットな人物。ラムダン・トゥアミの正体。
WORDS, SOUNDS, COLORS & SHAPES

パリでいま、いちばんホットな人物。ラムダン・トゥアミの正体。

「Good morning!」。中目黒の一角に新しくできたお店で、快活な挨拶と共に現れたひとりの人物。彼の名前は、ラムダン・トゥアミ。フランスの実業家であり、クリエイターでもあるラムダンは、パリで自身のショップである「WORDS, SOUNDS, COLORS & SHAPES」のディレクションを担い、注目を浴びています。そんな同店の日本一号店が中目黒にオープン。天井の高い開放的な空間には、彼が手掛けるオリジナルブランド〈ディ・ドライベーグ(DIE DREI BERGE)〉のアイテムがズラリと陳列され、そのクオリティの高さに驚かされます。そもそもラムダンって何者なの? そんな疑問を頭に浮かべながら彼のもとを訪ね、自身のこと、お店のこと、クリエイションについてさまざまな質問を投げかけました。

いちばんのお客さんはぼく自身。

ー〈ディ・ドライベーグ〉は日本製のものが多いけど、それはクオリティのため?

ラムダン: このお店に置いてある商品は日本製だけど、パリはまた違うんだ。日本でお店をつくるなら、商品も日本製にすべきだと思ったんだよ。君のいう通り、すごくクオリティがいいしね。だけど、ものづくりは決して簡単ではない。工場もどんどん減っているし、職人たちは高齢化している。人手もすごく減っているしね。

ー職人たちとのコミュニケーションに難しさを感じたことは?

ラムダン: まったくないね。ぼくにはいいチームがあるから。問題があるとすれば、いま話したように工場が減っているのと、その担い手がいないこと。それは日本の選挙の結果だし、みんなもっと考えて投票をすべきだと感じるよ。

ーさっきもいくつか紹介してくれたけど、他にもおすすめのアイテムはありますか?

DIE DREI BERG
PRELIMINARY TEACHING T-SHIRT ¥11,000

ラムダン: もちろん。これはループウィール吊り編み機で編んだTシャツだよ。グラフィックは自分たちで描いたんだ。このカットソーは最高。和歌山にあるトーキ(東紀)っていう工場でつくっているんだけど、86歳の職人がいて、彼とクレイジーなスエットもつくったんだよ。

ーこのアイテムですね。

ラムダン: 外側はコットンなんだけど、内側を触ってみてくれる?

ーふわふわで柔らかいですね。

ラムダン: カシミヤだよ。気持ちいいだろ? トーキの職人も「こんなものづくりしたことない」って言ってたよ(笑)。なんせ開発に3年もかかったからね。

ーこのシャツも可愛いです。

ラムダン: これも最高だよ。日本の皇室にも認められている世界最高のシルクを使っているんだ。中国やブラジルもシルクが有名だけど、日本の繭はすごく小さくて質がいい。それに希少なんだ。そんな素材を使ってつくったシャツだよ。ドットのパターンはよく見るとひとつづつ大きさや表情が違うのがわかるかな? 全部手描きでパターンを起こしたんだ。ボタンは貝で、ここでもノープラスチックの意志を表現しているよ。

DIE DREI BERGE
GRAND PAPA 1930’S YARN ¥83,600

ラムダン: あとはニットだね。ちょっと持ってみてよ。

ーすごく重たいですね。

ラムダン: そう。そういうニットがつくりたかったんだ。これもクオリティだよ。誰よりもいいものづくりをしたかったんだ。ぼくは値段を見ないでつくるからね(笑)。

ーデザインはすごくクラシックですね。

ラムダン: クラシックなんだけど、クラシックじゃない。その絶妙なバランスを意識しているよ。このブランドのいちばんのお客さんはぼく自身だからね。さっきも言ったように、つくりたいものをつくるだけなんだ。

ーこの食器も日本製ですか?

ラムダン: 有田焼でつくったんだ。コーヒーを飲んでて閃いたんだよ。飲み物がこぼれないカップをつくりたいってね。ぼくはホットなままで飲みたいから蓋付きだよ。

DIE DREI BERGE
CARABINER BRACELET ¥253,000

ーこのカラビナのシリーズは?

ラムダン: これはジュエリー。“カラビナ・コレクション”って呼んでいるんだ。ピアスやブレスレットをつくったんだけど、ゴールドとシルバーでつくっているからすごく高くなってしまったよ(笑)。

DIE DREI BERGE
VENTILE ANORAK ¥97,900

ラムダン: そうそう、あとはこのアノラックもおすすめだよ。自転車に乗るときのためにつくったんだ。生地はべンタイルを採用しているよ。

ー織りの密度を限りなく高めることによって、コットンでも高い防水性を得ているわけですね。

ラムダン: 丈のバランスもいいよね。機能的でありながら、同時にかっこよくもあるべきだとぼくは思う。

ラムダン: このパンツも自信作だよ。いろんなブランドがペインターパンツをデザインしているけど、オリジナリティを感じるものが少なかった。だからぼくは「マウンテンパンツ」をつくったんだよ。みんなむかしはこういうパンツを穿いていた。パターンにもこだわりがあって、1968年製の〈リーバイス®〉の「501®」を参考にしたよ。パーフェクトなシェイプだからね。ステッチも3本入れて、ボタンはメタル。ちょっとした遊び心で動物の刻印がしてあるよ。

INFORMATION

WORDS, SOUNDS, COLORS & SHAPES

住所:東京都目黒区青葉台2-16-7
営業時間:12:00〜20:00(月曜定休)
wscs.jp