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Fashion×Cultutre×Lifestyle=Olivier? 有機的プロジェクト「オリヴィエ」の全貌とは?
2013.09.09

ファッションシーン全体が、洋服だけでなく「衣・食・住」の全て、つまりライフスタイル全般に目を向けるようになって久しいですが、正直玉石混合といったところではないでしょうか。今回紹介する「オリヴィエ(Olivier)」は、昨今のシーン隆盛とは一定の距離を置きながら、自分たちの好きなものを純粋に見つめている、とても真摯なプロジェクトです。いつ、誰が、何を、どこで、どうやって。「オリヴィエ」の足跡を辿ることで、一つ一つ5W1Hを明らかにしていきます。
Photo_Yuichiro Noda
Edit_Ryo Komuta
-まず、「オリヴィエ(Olivier)」というプロジェクトがどういったものなのか教えてください。
ALLEGE デザイナー山口亮氏(以下敬称略/山口): まず、自分と「メゾン・サンカント・サンク(MAISON CINQUANTE CINQ)」の丸山の二人で始めたものなんですが、お互い好きなものがけっこう似ているので、何か一緒に形にできないかな、というところからスタートしています。ただ、互いの専門分野が「服」と「食」という、一見するとちょっと絡みづらいものだったので、どうしようかなと。紆余曲折あって、今回はたまたま「本」という形に落ち着きましたけど、別にそれにこだわっていたわけではないんです。
-例えば映像とかでもよかったわけですね。
山口: そうですね。で、今回は「本」だったので、「トゥエルブ ブックス(twelvebooks)」の濱中さんにけっこう初期から相談させてもらいました。
-なるほど。それではまず、「メゾン・サンカント・サンク」と〈アレッジ〉との根幹というか、コンセプトみたいなところから教えてもらえますか?
MAISON CINQUANTE CINQ CEO 丸山智博氏(以下敬称略/丸山):「メゾン・サンカント・サンク」は2010年にお店がスタートしています。コンセプトみたいなことをざっくりと言ってしまうと、フランス料理を気軽に楽しんでもらいたいということに尽きますね。ワインと一緒に楽しく食事ができる、そういう空間を作りたいと思って始めました。そういう場所を「ビストロ」って呼んで良いのかどうなのか、最近ちょっとわかんなくなってきてるんですが。。
-フランスでがっつり修行されていたんですか?
丸山: いや、自分は大学を出てからフランス料理店で修行をして、という流れですね。最近ようやくフランスに初めて行ったぐらいなんですよ(笑)。
-(笑)。フレンチを選んだ理由ってあるんですか?
丸山: うーん、そこまで深い理由ってないんですが、例えばイタリアンだったら、なんかすぐできるのかな、、って思った自分がいて、どうせだったら未知のものにチャレンジしたいなっていう。いざやってみるとやっぱりすごく奥が深かったですね。20代前半のときはフレンチのクラシックな料理を突き詰めて、今はクラシックなものを大切にしつつも、定番料理をどう自分なりにアレンジできるか、っていうことを念頭にやっています。
-代々木上原にもう一店舗お店を出されてますよね?
丸山: 「グリ(gris)」ですね。「メゾン・サンカント・サンク」はウッディーなお店なんですが、「グリ」ではちょっと無機質な雰囲気を取り入れてます。ベースにあるコンセプトは同じなんですが。
-なるほど。とにかくこの両店には、ファッション業界の方が頻繁に行っているようで、よく話を聞きますね。それでは〈アレッジ〉の方はいかがでしょう?
山口: 「いつもある」というか、ごくごくスタンダードなものを自分なりの解釈で作っていくというのが基本ですね。普通でクリーンな雰囲気なんだけど、ちょっと"違う"っていうものを心がけています。
-そんな両者が「日常」と「食」という二つのキーワードのもとに、今回コンセプトブック『 I can have quickly and at anytime.』を制作するわけですが、とにかくかなり時間がかかったとか?
山口: (笑)。そうですね。1年ぐらいは。。さっきも言ったんですが、まずは濱中さんに相談をしまして。
twelvebooks 濱中敦史氏(以下敬称略/濱中): 最初から、本にしたい、本屋さんで買えるものにしたい、という2点ははっきりしていました。そこからどういうものにしましょうか、という話し合いから始めた感じでしたね。
-フォトグラファーのオラ・リンダル(『Vogue』『Purple Fashion』『Acne Paper』『Apartamento』などの雑誌から、〈ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)〉や〈エルメス(Hermès)〉、〈メゾン マルタン・マルジェラ(Maison Martin Margiela)〉のキャンペーンやカタログなどを手がける)を起用するに至った経緯は、どんなものだったんでしょう?
山口: そのときは僕らはオラ・リンダルのことを知らなくて。ただ、「今回の撮影はパリでやりたい」とか「インタビューみたいなのも入れたい」とか色々話している中で、濱中さんから名前が挙がってきました。
濱中: そうですね。「なるべくシンプルにしたい」とか、「パリ」とか「日常性」とかそういったキーワードを聞いて、オラ・リンダルの名前が思い浮かんできたのは、ごく自然な流れでしたね。ちょうどそのとき、彼と個人的に仕事を始めたというのもありましたし。
-仕事というと?
濱中: 「トゥエルブ ブックス」でオラ・リンダルの写真集を扱うようになったんです。出版社は別にあるんですけど、在庫自体は彼が持っていたので、直接本人とやりとりをしていて。で、今回の話を相談してみたんですね。パリを舞台にして、日常性をキーワードにしたものだと。例えば『Apartamento』で彼がやってきたような仕事を例に挙げながら、クライアントワークというよりは、どちらかというと日常の延長を撮って欲しいというようなお願いの仕方でしたね。これとこれさえおさえてもらえれば、あとはあなたの作品がそのまま本になりますよ、という感じでしょうか。