2012年から、自主企画展として活動をスタートさせた「SIDE CORE」。実際の都市空間、実体のないインターネットという公共空間にどのように表現を介入させるかをコンセプトに、さまざまな試みを行ってきました。そして今回、あらたに「TOKYO WALKMAN」と題したエキシビションを開催。

1979年、SONYから「WALKMAN」という和製英語のプロダクトが発売され、全世界的なヒットを飛ばしました。「WALKMAN」が広く浸透した背景には、街に音楽を流すという発想から人に音楽を流すという転換にあります。つまり、ひとつの同じ公共空間に居ながら人々は別々の音楽を聴くことが可能になったということ。それぞれの"視点"で、公共空間の中で異なる見方、感じ方をするように促されていたということです。

本企画では、そのようなポータブル・メディアの都市空間における表現の拡張をテーマとして掲げています。都市空間において、特に東京という都市においては個人が公共空間に介入していくことは極端に難しく、いとも簡単に警戒・排除の対象にされてしまいます。公園から遊具が消え、ドローンは早速議論の的となり、ネット上の発言は監視され、自転車での移動までも厳しく見張られています。しかし規制や自主規制が強化される今だからこそ、公共空間に新しい自由をもたらす、ポータブル・メディアの発想と新たな視点の提案が求められています。

参加アーティストには、常に挑発的で鑑賞者の思考に揺さぶりをかけるパンクマインドを持つMADSAKIをはじめ、B-BOY彫刻家としてニューヨークで個展を開催した経歴を持つ小畑多丘。シドニー初のストリートアートギャラリー「china heights」のディレクター兼アーティストのMark Drew、フリークライマーの菊池良太など、個性豊かな面々が集結。

答えの見えない問いに対して、どんな表現方法で打ち返すのか。ぜひ会場で確かめてみてください。