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40年にも及ぶ構想の末、SF超大作映画『メガロポリス』が完成。86歳の巨匠フランシス・フォード・コッポラが伝えたいこととは。

『ゴッドファーザー』三部作、『地獄の黙示録』など、これまで映画史に数々の名作を残してきた巨匠フランシス・フォード・コッポラ。

86歳を迎えてもなお現役の彼が、今年、40年の構想期間を経てSF超大作を完成させました。

STORY
21世紀、アメリカの大都市ニューローマでは、富裕層と貧困層の格差が社会問題化していた。新都市メガロポリスの開発を進めようとする天才建築家カエサル・カティリナは、財政難のなかで利権に固執する新市長フランクリン・キケロと対立する。さらに一族の後継を狙うクローディオ・プルケルの策謀にも巻き込まれ、カエサルは絶体絶命の危機に陥る。

本作『メガロポリス』は2024年の第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で初披露されるやいなや、世界中にその衝撃が走り、話題騒然となりました。

構想のきっかけは、1980年代初頭、ローマ共和国の貴族ルキウス・セルギウス・カティリナが国家転覆を目論んだ「カティリナの陰謀」に関する本を読んだこと。そこからコッポラは脚本執筆に着手するも、幾度と重なるプロダクションの中断、資金調達の問題などにぶち当たり、順調には進みませんでした。

しかし、結果的にコッポラの私財を投じて制作費1億2000万ドル(約186億円)を調達。自分がつくりたい映画をつくるという信念のもと、集大成となる壮大な一大叙事詩が生まれました。

主人公カエサル役には、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)のカイロ・レン役で知られるアダム・ドライバー。狂気じみた演技は、鑑賞者を映画の奥底へと引きずり込みます。

カエサルの因縁の相手・キケロ市長役には、20年以上前に脚本を読んでからオファーを待ちつづけていた『コットンクラブ』(84)のジャンカルロ・エスポジート。カエサルの伯父である大富豪ハミルトン・クラッスス3世には、『レインメーカー』(97)のジョン・ヴォイト。名優達が脇を固めます。

2人の対照的なヒロインには旬の女優たちが。カエサルと愛を育むキケロの娘ジュリアに「ゲーム・オブ・スローンズ」(13〜19)のナタリー・エマニュエル、野心的なワオ・プラチナムには「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル(シーズン2)」(22)のオーブリー・プラザが起用されました。

壮大な物語を支えるのは俳優陣だけにあらず。豪華絢爛なプロダクションデザインや、古代と現代と未来が共存する衣装、街そのものが生きているような特殊効果など、視覚的なおもしろさは本作を語る上で不可欠でしょう。

そして、壮大ゆえ、鑑賞者が本作から読み取るメッセージはきっとさまざま。「未知に飛び込むことは自由の証」と唱え、人類の希望である“メガロポリス”開発に尽力するカエサルには、真の芸術としての映画に人生を捧げてきたコッポラ自身の姿が重なります。

また、物語のなかで描かれる格差や分断には、9.11アメリカ同時多発テロからリーマンショックに象徴される経済危機などの様々な歴史の影が透けて見えます。それをさらに古代ローマと重ね合わせることは、まるで40年前から現代の混乱を予言していたかのよう。現代社会へのアンチテーゼへと昇華させました。

しかし、物語の根底に流れるのは暗い絶望ではなく、コッポラ自身が未来に抱く希望、そして現代への期待です。

本日6月20日(金)より公開。歴史に名を刻むだろう超大作を、ぜひスクリーンでどうぞ。

INFORMATION

『メガロポリス』

脚本/製作/監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:アダム・ドライバー、ジャンカルロ・エスポジート、ナタリー・エマニュエル、オーブリー・プラザ、シャイア・ラブーフ、ジョン・ヴォイト、ローレンス・フィッシュバーン、タリア・シャイア、ジェイソン・シュワルツマン、ダスティン・ホフマン
2024年/アメリカ/英語/138分/カラー/原題:Megalopolis
6月20日(金)日本公開&IMAX®上映
配給:ハーク、松竹
提供:ハーク、松竹
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