王道ブランドの定番品はやっぱりいい。定番と言われるだけあって歴史があるし、信頼できるスペックもあって、何歳になっても飽きない。でもこれはちょっと天邪鬼なひとに向けた連載企画。あのブランドの、実は知られていない、けどグッとくるものを紹介します。第11回目は〈フレッシュサービス〉のマイナーグッド。
Photo_Arata Suzuki
Styling_So Matsukawa
Text&Edit_Yuri Sudo
シーズンが巡るごとに、趣向を凝らした服をあれこれとリリースするブランドがあります。こんなブランドだったっけ?というほどデザインをガラリと変えたり、ジャンルすら変えるところも。その一方で、これだと決めた軸をぶらさず、多少のアップデートのみでシーズンを繰り返すブランドもあります。
〈フレッシュサービス〉は間違いなく後者。ディレクターの南貴之氏はあるインタビューで、毎シーズン違うものが出ることに抵抗があると語っていましたが、その証に、彼が手がける〈フレッシュサービス〉と〈グラフペーパー〉はどちらも服作りの信念が明確でブレない。だからか、根強いファンがついている印象があります。
しかし今季の〈フレッシュサービス〉のラインナップはちょっと訳が違いそうです。
マイクロフリース カバーオール
¥17,600
今季〈フレッシュサービス〉が掲げるテーマは「ヘビーデューティー」。
ヘビーデューティーとは、1970年代にアメリカで流行したファッションのスタイルを指します。ベトナム戦争後の兵士たちがバックパックで帰還し、その後ライフスタイルを街から自然に移したことから端を発するとか。身に付けるものも本物志向になり、それをイラストレーターの小林泰彦さんが日本に持ち込んだことで、国内でのブームも始まりました。端的に言うならば、華美な装飾を排除し、アウトドアに適応する本物の機能を残したものやそのスタイルのことを「ヘビーデューティー」というのです。
だから「服=道具」という考えを持つ〈フレッシュサービス〉がたどり着くのも納得。長い前置きはここまでにして、本コレクションのなかでも異彩を放つアイテム群を紹介しましょう。
カバーオールは、これまでもブランドの定番品としてさまざまつくられてきましたが、今季はフリース地で、しかも原色。目にも鮮やかなブルーに、赤のスナップボタンがピリッと効いた一着です。いつものカラーパレットであれば、ネイビー、カーキ、ライトブルーにしたいところを、アウトドア由来のカラーチョイスをするあたりはブランドとして大胆なトライです。ただしサイジングやシルエットはいつもの〈フレッシュサービス〉なので、ご安心を。
マイクロフリース アジャスタブルパンツ
¥15,400
同じくマイクロフリース素材でつくられたイージーパンツ。ミニマムな設計ながら、通常のイージーパンツ同様、ウエストと裾のドローコードを兼備していたりと機能面も申し分なし。赤を基調としながら、細かな部品をブルーであしらっていて、ブランドの遊び心を感じます。
マイクロフリース ミトン
¥7,900
幼心を思い出すキュートなミトンも今季コレクションから。同じくマイクロフリース素材で、柔らかく手を包み込んでくれます。ミトンの上部を折り返せば、指先を出せる仕様になっていて、携帯電話の操作や細かな作業も楽々です。
スナップボタンが配されているので、使わないときは左右をくっつけて保管することができます。こういう細かな機能をつけるかつけないかは大きな違いがありますが、〈フレッシュサービス〉はつける。さすがです。
紹介したのは一部ですが、他にもアノラックやマウンテンパーカなど、ヘビーデューティーに敬意を表したアイテムが多数。しかしいずれもあの時代のカルチャーの全てを踏襲するのではなく、〈フレッシュサービス〉らしい取捨選択のもと制作しています。これまでのファンを突き放すことなく、むしろ新しい領域へと引っ張っていく。そんな南氏の気概を感じるコレクションです。
ロケ地メモ:いろいろあり現在無職の男性の部屋。撮影の前日、ベイブレードの大会に出場した。