表情豊かなテクスチャーに惹かれて手に取ったのは〈ジル サンダー(JIL SANDER)〉の新作。聞けばそのトラウザーはマルフィレ糸を原料とし、ジェッソ加工で整えているという。
マルフィレ糸はその太さに強弱をつけたコットン糸のことで、素朴な風合いと柔らかな肌触りを備える。スラブ糸やネップ糸に代表されるファンシーヤーンの一種と思ってもらえば間違いないが、こと肌触りに関してはマルフィレ糸が頭一つ抜けている。
ジェッソ加工は美術業界でもおなじみの下地処理のことで、テキスタイルにおいてはざらつきのある仕上がりが期待できる加工である。
ニットと合わせても収まりがいいのはテクスチャーのグラデーションがなだらかだからだ。
トラックパンツをベースにした一本。深みのある色もいい。
新たにパターンを引いたというリラックスフィットにも惚れ惚れとした。ほどよくゆとりのあるワタリをゴムで絞った裾でフィニッシュするバランスは、これぞモダンのひと言だ。
この “ほどよさ” も見逃せないポイントで、オーバーサイズのトップスはもちろん、ジャストサイズのそれをもってきてもさまになる。絶妙なさじ加減である。
トラウザー ¥214,500
フロントはジッパーの仕様。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa

