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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.126 “なんからしくない”が興味深い。90年代から令和にやってきたDKNY。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

この連載も16シーズン目に突入! 2巡目の2番手(ややこしいですね)である第126回目は、祐天寺の人気店「アンサムチル(anthem chill)」。どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


稲田悠人 / anthem chill ショップマネージャー
Vol.126_ディーケーエヌワイのトラウザーズ

―さて、2巡目となる今回は、どんなニュー・ヴィンテージを紹介いただけるのか楽しみです。

ぼくよりも年上の世代で、中でも40代以上であれば反応してくれるであろう〈ディーケーエヌワイ(DKNY)〉のトラウザーズでいこうと思います。たまたま90年代のデッドストックを、バイヤーでオーナーの渡辺がアメリカで発見して買い付けてきたんですが、これがちょっと面白いアイテムでして。

ディーケーエヌワイのトラウザーズ ¥12,000(アンサムチル)

ー〈ダナ・キャラン・ニューヨーク(Donna Karan New York)〉のカジュアルラインである〈ディーケーエヌワイ〉といえば、ここ日本でも90年代後半〜00年代にかけて人気を誇っていましたよね。

ぼくは世代じゃないのであまり知らなかったのですが、ブランドとしての誕生は1988年で、展開がスタートしたのが翌年。2002年から〈ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)〉のLVMH(モエ ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループ傘下となっていて、令和のいまもしっかり存在している模様。公式サイトを覗くとシンプル&モダンなテイストが、最近の〈ディーケーエヌワイ〉の傾向のようですね。

ーやはり当時とはちょっとイメージも異なりますね。リアルタイムで見てきた世代とそうじゃない世代では評価も変わってきそうです。

以前、モード系の古着が好きでそういう格好をしていた頃に〈ディーケーエヌワイ〉のナイロンブルゾンを着ていたんですが、ぼく自身も“Y2Kでテッキーな雰囲気のある、最近のブランド”だとばかり思っていました(苦笑)。なので、ぼくよりも若くて90年代当時の空気感を知らない世代は、バイアスなしのフラットな目線で新鮮に楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。

ーたしかに。今回のアイテムはどこがポイントでしょうか?

まずは生地に注目。コットンとスパンデックスをミックスしたちょっとシャリ感のある触り心地で、さらにストレッチも効いているためスリムシルエットでありながら運動性が高い。その上、ラフに手が突っ込めるよう上からアクセスするフロントポケットの形状も特徴的。使いやすさと他社との差別化の両方を狙ったディテールだと思うのですが、これによりデイリーユースでの活躍も期待できます。

ー当時の同ブランドのイメージといえば、都会的な洗練さを売りにしていた本体の〈ダナ・キャラン・ニューヨーク〉に対して、カジュアルでストリート寄り。B-BOYを中心に流行っていたこともあってか、パンツ類も太めのデニム系が基本だった気がします。

ですよね。なので、そこの意外性がおもしろいと思ってピックしました。実際、普通のチノパンというよりもトラディショナルなトラウザーズに見られるようなディテールが採用されていたりします。しかも30年近く経っているのにフラッシャー付きのデッドで、プライスも1万2000円。クオリティと天秤にかけてもめちゃくちゃ安くて本当に感動モノだと思います。オーナーの渡辺もテンションが鬼上がりしていました!

ーデッドストックってところが、最高にアツイです。

ですね。ただ、若い世代のお客さんからは「デッドストックとか言われても別に…」って声もあるので、大人世代の古着好きにしか伝わらない可能性はありますが…。

ー悲しいなぁ。ところでこのレングスなんですが、かなり長めじゃないですか。みんな丈詰めして穿くんでしょうか?

ぼくが接客する際は、お客さんが試着して長めだったら丈詰めを提案しています。ただこれだけ長いと、詰めすぎてバランスが崩れるリスクもあるため、“どういう感じで穿きたいのか”を聞いた上で、それでも問題なければって感じですかね。

ー自分にとってのベストのバランス感を探るのも楽しみのひとつ。あとはこの“らしくない感じ”をどう着こなすかが腕の見せ所ですね。

これだけシルエットもキレイだと、トラディショナルに振ってもいいかもしれませんね。ラペルドジャケットと合わせて足元はローファーとか。そんなドレスな着こなしに変化を付けるなら、アウターをちょっとクラシカルにムートンコートというのもおもしろいかなと。そこに「アンサムチル」らしさを演出するのがインナーです。前回取り挙げた「フリルシャツ」など遊び心をプラスすることで、ファッションがより自由で楽しくなると思います。

ーこういった“一部ではお馴染みのブランド”の“あまり知られていないアイテム”を探す楽しみっていうのも、古着ならでは。

前回もお話ししましたが、これぞ「値段が高いわけではないけれど、見つけづらく誰かと被ることもない」アイテムだと思います。こういったレギュラーアイテムのデッドストックって意外と出てきませんし、「これまでに擦られているようなアイテムには一切興味がない」と言っているオーナー自身が「おもしろい」というくらいなので、ぜひこの機会にチャレンジしてみてほしいです!

稲田悠人 / anthem chill ショップマネージャー
祐天寺駅から徒歩5分ほどの「もつ焼きばん」の2階にある隠れ家的ショップ「アンサムチル(anthem chill)」。“ココならでは”の個性際立つセレクトを武器に、デザイナーやスタイリスト、美容師といった業界人からアーティスト、芸能人まで感度の高い人々から支持を集める同店でショップマネージャーを務める傍ら、モデルとしても活動中。
インスタグラム:@anthem_chill

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