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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.127 “地味だけど、リアルにイイやつ”。そこが魅力のノンフィクション。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

新たにショップが全て入れ替わり、迎えた16シーズン目! 第127回目は、古着激戦区・高円寺の人気店「Mr.Chubby」の姉妹店である「FiLo__Store」のYUTAさんの2巡目。今回は、どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


YUTA / FiLo__Store オーナー
Vol.127_ノンフィクション・バイ・タイガーブランドのクルーネックスウェット

ーさて今回は2巡目ということですが、どんなニュー・ヴィンテージを紹介していただけるのでしょうか?

前回は小物だったので、“知る人ぞ知る”をまさに地でいくような無地スウェットをご紹介しようかなと。それがこの〈ノンフィクション バイ タイガーブランド(NO-FICTION by TIGER BRAND)〉。数年前から気になって集めていましたが、同業者の中にも「ここのボディって、なんかイイんだよなぁ」と思っている人は少なからず存在するはず。

ノンフィクション・バイ・タイガーブランドのクルーネックスウェット ¥12,100(フィロストア)

ー一般の古着好きの間での評価は?

多分ですが…ここのスウェットを評価している人がいたら相当掘っている方でしょうね。

ー〈ノンフィクション・バイ・タイガーブランド(NON-FICTION by TIGER BRAND)〉(以下、ノンフィクション)とは、そもそもどんなブランドなんでしょうか?

カナダ生まれのブランクボディを展開するブランド、いやメーカーという捉え方が、より正しいのかもしれません。基本的に見つかるのはスウェットシャツのみ。それもクルーネックばかりで、フーディーはほとんど見かけません。ただ、ジップフーディーは極稀に発見されます。あ、いまネットで調べたところ、〈タイガーブランド〉という衣料品メーカーがあって、その中でもブランクボディのスウェットを展開するカジュアルラインの名前が〈ノンフィクション〉であるという説が有力みたいですね。なるほど。

ーへぇ〜。カナダだからスウェットなんですかね?

やはり寒冷な気候から、防寒性の高いスウェットが愛されているというのはあるようです。〈ジムマスター(gym master)〉や〈ハウス・オブ・ブランクス(HOUSE OF BLANKS)〉とか有名ですよね。

ー後者は〈シュプリーム(Supreme)〉がボディに使っていることでも知られます。

実は、この〈ノンフィクション〉もまた、初期〈シュプリーム〉でボディとして使われていたと、まことしやかに囁かれているブランドです。確証はなく、あくまでウワサではありますが、逆に“使われていない”という確証もないので真実は藪の中。もしかしたら“Supreme”と刺繍された個体を見つけた人間が勘違いしてウワサが広がった可能性もありますし。

ーその辺をもっと掘っていくと面白そうですね。しかしこういっちゃなんですが、結構フツウではあるなと。

そう。パッと見は普通ですが、ここの特徴をひとつ挙げるとすれば、起業ロゴが刺繍された個体の出現率の高さです。普通は刺繍ロゴ入りの方が少ないんですが、ここは逆で体感的に6〜7割が刺繍入り、逆に無地の方が少ないっていう。なのでウチでは、数は少ないけれど着やすい無地をピックするようにしています。

ノンフィクション・バイ・タイガーブランドのクルーネックスウェット ¥12,100(フィロストア)

ノンフィクション・バイ・タイガーブランドのクルーネックスウェット ¥11,000(フィロストア)

ーこのリブも特徴的ですね。

ね。なんて言うんでしょうね、このタイプって。ピックしていてもこのリブの感触ですぐわかるくらい独特で、キュッと絞られたシルエットもポイント。のちに裾リブがなくなってストンと落ちるシルエットに変わってしまうのですが、そちらは個人的にイマイチですね。

ーそもそも〈ノンフィクション〉のスウェットにハマった理由を教えてください。

スウェットは好きではあったんですが、なかなか気に入るモノが見つからずで。好みとしては1990年代くらいの〈ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPHLAUREN)〉の形と着心地が好きで、それにも似ているというところで意識するようになりました。シルエットは近年人気の〈ラッセルアスレティック(RUSSELL ATHLETIC)〉に似ていてボックス寄り。生地は高密度でシッカリ厚みがありながら、硬すぎずソフトなタッチ。その辺の肩ヒジ張る必要のないリラックス感が気に入っています。

ー今回はブラック、ネイビーのほか、バーガンディと水色を用意いただきましたが、色展開は多いんですか?

いえ、基本的にこの辺が中心で、他だと定番のグレー、杢グレーとかでしょうか。企業ロゴを入れたユニフォームとして使用されるケースが多いことからも、汚れが目立ちにくい中間色がラインアップされているのは当然のことなんだろうなと。そういえば、こことよく似たボディを使用した〈ウィンドリバー(WIND RIVER)〉というブランドのスウェットも出てきたりするのですが、そちらも〈ノンフィクション〉がOEMを手掛けていると思われます。

ノンフィクション・バイ・タイガーブランドのクルーネックスウェット ¥12,100(フィロストア)

ノンフィクション・バイ・タイガーブランドのクルーネックスウェット ¥12,100(フィロストア)

ー掘っていくと色々と発見がありそうですし、こういうのが実際いちばん使えるアイテムなのかも。

間違いないですね。サイズはL以上のデカめが中心ですが、それも着ると妙に調子イイ感じで。プライスもウチでは平均1万円ちょい。今回ここで紹介しましたが、だからといって急に知名度が上がって高騰するとは到底考えられませんし(笑)、その名前の通り“リアルで、地味にいいアイテム”として、この先もずっとニュー・ヴィンテージとして在り続けていてくれるんじゃないでしょうか。

YUTA / FiLo__Store オーナー
相方のKAZUMAとともに古着激戦区として知られる高円寺で「Mr.Chubby」を営む傍ら、2025年4月に姉妹店としてオープンさせたのが「FiLo__Store」。アメリカ、ヨーロッパを中心に買い付けられるアイテムも、ヴィンテージやレギュラーといった“いわゆる古着”のほか、ドメスティックブランドやメゾンブランドなど新旧問わず、自分らのアンテナが捉えた良品揃い。
インスタグラム:@filo__store

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