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服だけでなく家だって育てられる。BESSの家で見た、経年愉化。

「家を買う」。

正直、そんなことを言われても実感が持てない人がほとんどです。面倒なことばかりが先に立つし、なにより人生最高額であろう買い物だから、一歩踏み出せない。

でも、これが服の話だったらどうでしょう。多少高くても、素材がよくて、着るほどに馴染んで、何年経っても飽きない。そうとわかっているものになら、財布の紐も自然とゆるむものです。家も、規模が違うだけで、根っこは同じかもしれない。

そう思わせてくれたのが、家というハードの先の暮らしを提案する住宅ブランド〈BESS(ベス)〉のモデルルームです。最後まで読み進めれば、その意味を少し理解してもらえるかもしれません。

まず、敷地に入るやいなや、焚き火の香りが漂ってきます。中庭で火がジワジワ燃えていて、それを囲むようにいくつかの個性的なモデルハウス。この時点で、ちょっと普通じゃないです。

一般的なモデルルームであれば、受付で事細かに説明を聞いて、担当者がべったりついて案内するのがお決まりですが、〈BESS〉の家は違いました。受付をしたら、そのあとは「どうぞご自由に。あとは感じてください」という放任スタイル。たしかに、これなら気を使わず、じっくり家を感じられる。取材だから特別というわけではなく、普段からこのスタイルなのだそう。「売り込まれて面倒くさそう」という身構えは、ここでは必要ありません。

受付にあるパンフレットもとてもかわいくて、住宅メーカーのそれとは思えず、まるでZINE。つい手に取りたくなるデザインで、家のブックラックに置きたくなるほど装丁がイケてます。

それでは早速、クルーズ開始。

家の扉を開けた瞬間、まずはその開放感にやられます。玄関には土間が広がり、リビングやキッチンまで遮るものは何もなし。目に入るのは木、木、木。壁も天井も床も、正真正銘の木です。

〈BESS〉はログハウスを出自とするブランドだから、そのDNAが随所にあって、無垢の木がふんだんに使われています。

ちなみにログハウスは、骨組みを作って壁を張っていく家とは異なり、丸太を組んで家を建てているとのこと。なので外壁も内壁も、すべてが木なのです。

室内の壁に近づいてよく見ると、木材が整いすぎていないことに気づきます。無垢材の素朴さをそのまま残しているんです。むしろこの隙が、新築なのに、最初からガンガン使う気にさせてくれます。

たとえば、真っ白な壁や傷ひとつない床の前だと、人はどうしても身構えてしまうもの。でもここは、子どもが落書きをしようが、重いギアを床に落とそうが誤差の範疇。おろしたてのピカピカのスニーカーより、履き倒したブーツのほうが気兼ねなく履けるのと、同じ理屈です。

どの家にも、住んだあとの想像が膨らむ空間が用意されているのも特徴的。「カントリーログ」の2階リビングでは、ピッケルやアイゼンが無造作にかけられていて、それが実に絵になる。雪山に登る前、この場所でギアの手入れをしながら磁北線を引く姿も、容易に想像ができます。

いまある趣味も〈BESS〉の家に住めばもっと広がっていくのだろうし、この家があるからこその趣味も、きっと見つかっていくのだと思います。

「ワンダーデバイス」というシリーズも、心をくすぐるものがありました。工事現場で使われる足場板を転用したグレーチング棚があって、アクティビティ好きにはたまらない仕様。ダウンヒル用の自転車を置いてもいいし、スキーもサーフボードもなんでも置ける。傷つく心配も皆無です。

三角屋根が印象的な「G-LOG なつ」。 ここのベランダも、とてもいい。5人がゆうゆうとくつろげる広々スペースは、ハンモックを張って日向ぼっこもいいだろうし、朝、お気に入りの豆で淹れたコーヒーでひと息ついたり。日が傾きかけてきた頃に一杯やるものいい。どこに建てるかにも寄るけれど、周りが自然に囲まれた環境であるなら借景も完璧。

着飾って、高いレストランにでかけて、ラグジュアリーな自宅があって、ってのも悪くはないです。けれど本当の贅沢は、自然と調和し、自然の恵みを享受することなんだろうと、〈BESS〉の家は本気で思わせてくれます。

〈BESS〉の家々を体験したなかで、いちばん心に響いたのが「程々の家」。「程々」とは謙遜しすぎな、最高の家。

いろいろ想像をかきたてる家なのですが、たとえば山を走った泥だらけの靴を土間に脱ぎ捨て、置いてあるスツールに座ってとりあえず一杯やる。肴は暖炉で燃える薪。言うことなしです。

そしてこの家、良し悪しは置いておいて、物欲も湧いてきます。なぜなら、なにを置いても様になるから。日本の伝統工芸もいいだろうし、中米のテキスタイルも、西アフリカの木工も、なんでもいけそう。旅先で衝動で買ったものも、置き場に困ることはありません。

〈BESS〉の家のなかで唯一の平屋「栖ログ」も、捨てがたい。生活動線が全部ひとつのフロアに収まっていて、家族の気配が、常に近くにある感じがして安心感がある。そしてより小屋感があって、デイヴィッド・ソローな気分も高まってくる。奥行きが狭い分、どこにいても外の空気を感じられるのも、この家ならではです。

家のなかにはハシゴがあって、それを実際に登ると、両サイドに小屋裏という空間があります。完全に秘密基地。夜、プロジェクターで映画を映せば、プライベートシネマのできあがりです。映画好きの人はきっとたまらないはず。

また、〈BESS〉の家には、雨の日であってもムードが出る仕掛けがほどこされています。たとえば軒先の波板の庇。雨の日には、ここをぽたぽたと雫が伝って落ちてきます。ほかにもレインチェーンなるものもあり、雨がこれを伝って落ち、見た目にも美しい。焚き火と同じく、不思議とずっと見ていられるんです。

すべてを見終わったあとふと気づいたことが、普段の生活で手に触れているものの大半が、金属やプラスチックであるということ。扉も、窓も、電化製品も、デスク周りもそう。だからこそ、〈BESS〉の家のいたるところで触れる木の手触りに、なんだか妙に安心してしまうんです。それと木の匂いにホッとするし、木の反響でやわらぐ音も心地いい。

スタッフに聞いた話で「木には音を吸収してやわらげる性質がある」らしく。コンサートホールに木材が多用されているのも、実はそういう理由なのだとか。そして木は、湿度や気温もコントロールしてくれる。取材陣全員が家に入って瞬間「気持ちいいなぁ」と声を漏らしたのも、なんとなくではなく、裏付けがしっかりとあったのです。

人生で最も長い時間いる場所だからこそ、こういう細かい部分が、地味に効いてくるのかもしれません。

「〈BESS〉の家は経年変化するのではなく『経年愉化(けいねんゆか)』するんです」

これもスタッフの方から聞いた言葉。年月が経つほど、劣化ではなく愉しみが増えていくということ。木がへこんで、削れて、色があせても、それは順調に育っている証拠なんだそう。デニムやレザーのアイテムと一緒の育て方を、家全体でできるという話。いまが最高ではなく、住むごとに魅力は更新されていくということです。

木更津と札幌では、実際に泊まれる〈BESS〉も展開中とのことです。ただ、一泊すると完全に心を持っていかれるので、まずは予約不要のモデルルームまで、ぜひ足を運んでみてください。

Photo_Kazuki Miyamae
Text_Keisuke Kimura

INFORMATION

BESSの家

全国30ヵ所に単独展示場「LOGWAY」を展開。
全国のLOGWAY
BESSの家々
Instagram:@bess_slowlife
BESS公式サイト

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