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公園の卓球台で繰り広げられる無防備な人間の姿。MACKと縁の深い日本人写真家の展覧会が恵比寿で開催。

独自の審美眼により、気鋭の写真家を起用した展示をつづけている恵比寿「POST」。

今回は、ヨーロッパ在住の日本人写真家・富安隼久さんの写真展「Fuchs / TTP」を12月23日(日祝)より開催します。

元になっているのは、同名の写真集『TTP』です。富安さんは現在ドイツ・ライプツィヒとスイス・チューリッヒを拠点として活動。本年、イギリスの著名な出版社「MACK」が主催する、過去に写真集の出版経験のない作家の出版支援を目的とする「First Book Award」のグランプリ受賞に伴い、この作品集を刊行し、注目を集めました。今回会場では、『TTP』より抜粋した作品のスライドと共に、本作の前身かつ制作のきっかけでもある作品『Fuchs』を展覧します。ちなみに、タイトルの「TTP」はドイツ語の「Tischtennisplatte(卓球台)」の略称。「Fuchs」は「狐」を意味するそうです。

では、『TTP』とはどんな作品なのでしょうか。

ドイツ・ライプツィヒで、当時富安さんが住んでいた学生寮の部屋の窓から撮影した写真で構成されています。8階の南向きの部屋から見渡せる公園に置かれた卓球台に焦点を当て、デッ ドパン・スタイル(主観や感傷、ドラマチックな誇張を可能な限り抑え、対象を客観的、中立的に描写する手法)を用いて定点観測的に撮影。その間に時刻や季節、公園に訪れる人々が移ろいでいく。タイトル「TTP」を意味する「tischtennisplatte(卓球台)」が本来の卓球台として使われるだけでなく、日光浴であったり、スケートボードの障害物、物干し、子供がよじ登る遊具、ミーティングスポット、賑やかな通りからの避難場所うなどその用途は数知れず、ページをめくるたびにこの卓球台が異なる表情を見せます。作者の長きに渡る好奇心の結果、人間の行動から滲む習性やユーモア、それぞれの人の持つ独特な気質をこの謙虚に鎮座する卓球台のもとで垣間見ることができます。

公園利用者もまさか自分たちが撮影されているとは思っていないでしょう。だからこそ、彼ら彼女たちの無防備な姿が、人間のさまざまな面を表現するものとして興味をそそるにちがいありません。

また、12月24日(月休)には写真家・ホンマタカシさんをゲストに迎え、トークイベントを開催するので、気になるひとはぜひ!

Text_Shinri Kobayashi


富安 隼久「Fuchs / TTP」
会期:2018年12月23日(日祝)〜2019年1月13日(日)
会場:POST
住所:東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間:12:00〜20:00
定休日:毎週月曜日
企画:POST、twelvebooks
※12月30日(日)〜1月4日(金)は休業。
※12月24日(月休)は、トークイベント開催のため 13:00〜14:30 の間はショップスペースをクローズ、 14:30〜17:00 のみ特別営業。
※オープニングレセプション:2018年12月22日(土)18:00〜20:00

トークイベント「富安 隼久 × ホンマタカシ」
開催:12月24 日(月休)13:00〜14:30(12:30 より受付)
会場:POST
参加費:¥1,000in TAX
※要予約。ご参加をご希望の方は post@post-books.jp まで、【名前、電話番号、参加人数】
を明記の上、お申し込みください。

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