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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.91 “ヤリ過ぎディテールが心揺さぶる” 。次にくる、コロンビアのGRTライン。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。今ではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

新たにショップが全て入れ替わり、この連載も12シーズン目に! 第91回目は、古着屋だらけの高円寺で人と人、物と人を繋ぐトレーディングポストとして人気の「スポットマン(SPOTMAN)」の大塚シンタローさん。どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


大塚シンタロー / STOPMAN オーナー
Vol.91_Columbia GRTラインのアウトドアシャツ

ー近年、古着屋でのアパレル経験のない古着屋も増えています。シンタローさんも同様だとお聞きしました。そもそも古着は昔から着ていたんですか?

実はぼく自身は古着を全然通らず、学生時代に着ていたのも〈フブ(FUBU)〉〈ショーンジョン(SEAN JOHN)〉や〈ペレペレ(Pelle Pelle)〉といったヒップホップ・バイブスな服ばかり。あとはスケボーもやっていたので、〈ズーヨーク(ZOOYORK)〉などのスケートブランドも着たりしていました。

ーでは、古着に興味を持ち出したきっかけは?

以前、〈ステューシー(STUSSY)〉で働いていたんですが、お店に来てくれるお客さんの中に古着屋で働いている人がいて、逆にぼくもそのお店に遊び行く内に、オーナーさんから〈ステューシー〉が元ネタにしているアイテムや、ファッションにおけるサンプリングの概念を教えてもらったりする内に、古着の面白さに目覚めていって。

ーそこから古着屋に?

その後〈ステューシー〉を辞めて、紆余曲折の後に新天地・高円寺でお店を始めようとした際に、縁も所縁もない新参者がストリートブランドのセレクトショップをやっても、きっと上手くいかないだろうなって思ったんです。だったら、自分が通ってきたカルチャーと親和性のある古着をセレクトするというのはどうだろうと考えて「スポットマン(SPOTMAN)」を始めました。

ー現在のアウトドアを中心としたセレクトも、90年代のヒップホップスタイルに欠かせない要素だったからでしょうか?

当然、それもありますが、加えてリアルに着ることのできる機能的な服が欲しくなったんです。ガチガチのB-BOYスタイルじゃ、公園で子どもと遊べないですし(笑)。アウトドアウェアは自分も山登りやキャンプをするようになって、リアルクローズを求めているうちに辿り着いた感じです。

ー他の古着屋とは違う“セレクトの基準”ってあったりしますか?

そもそも“古着ならではの”という部分に惹かれて古着屋を始めたワケではなく、汚れやダメージなど、いわゆる“アジ”の概念がいまいち理解できないので、コンディションの良いモノが多いっていうのはあります。なので、古着慣れしてない方々が古着の楽しみ方を知る入口になれればと思っています。

ーでは、そんな「スポットマン」にとってのニュー・ヴィンテージとは?

ウチに関していえば、今の気分的に丁度イイっていうバイブスが第一。ぼくが今年33歳なんですが、 “昔、雑誌やショップで見知ってはいたけれど刺さっていなかったモノ”が時を経て、さらに自分自身も大人になったことで見方も変わり、改めて魅力に気付かされる。そういった中にニュー・ヴィンテージとなり得るアイテムがあるのかなって。

ーその上で、今回紹介いただくアイテムとは?

そんなワケでぼくの好きなアウトドア古着から、〈コロンビア(Colunmbia)〉のGRTラインをピックアップしたいと思います。簡単に説明すると、近年ファッションシーンでも有名になったPFG(Performance Fishing Gear)ラインが海ならば、こちらは山。90年代~00年代にかけて展開されていた今な無きラインで、GRTはGear for Rugged Trekking and Travelの略です。なんていうか、前者が海鮮丼なら後者は山賊焼きみたいな(笑)。

ートリ肉をしっかりニンニクやショウガを効かせたタレに漬け込み、衣を付けて揚げた長野県のご当地グルメですね(笑)。結構パワー系!

そうですそうです。通常ラインのアイテムに比べて、ギア感が増したタフな山服ってイメージ。結構色々なアイテムがありますが、今回はエントリーアイテムとしてもオススメのアウトドアシャツを紹介したいと思います。

ColumbiaのGRTアウトドアシャツ ¥12,100(SPOTMAN)

ーパッと見でもディテールの過積載っぷりが伝わってきます。

ボディ素材は速乾性に優れたナイロン100%。まずはパッと目に付くのがハの字型の胸ポケットではないでしょうか。フラップとかジップがあるのはありがたいんですが、中身が取り出しにくそうな深さや外側に付く小さなポケットなど、よくよく見ると疑問符も浮かびつつ(笑)。

夏場でもアウトドアで着用する際は長袖が基本。そんな時に裏地がメッシュで通気性も高かったり、ライトな着用感が嬉しい1着です。まくって固定できるように袖にはストラップも内蔵。そして脇や背中は隙あらばベンチレーション。素晴らしいですよね、この意味がわからないほどのヤリ過ぎ感(笑)。

ーで、もう1着がこちらですね。

基本的な仕様はそこまで変わらず、ポケットなどディテールにちょっとした差異がある程度。ちなみにトップス類は大きめサイズが出てきやすいというのも、ヒップホップバイブスが好きなぼくにとっては嬉しいポイントです。

ColumbiaのGRTアウトドアシャツ ¥10,450(SPOTMAN)

こちらは背面襟下からメッシュ裏地になっていて、背面には広めのベンチレーションでより通気性アップ。襟先も面ファスナーで留められるようになっていて襟がバタつくのを防いでくれたりと、アクティブに動く人には最適な仕様です。

同じく面ファスナーでフラップが固定できるようになった胸ポケットも、左右非対称の仕切りでデザインされています。正直、胸ポケットの収納部分をこんなに細かく分けたとしても、実際は使う機会が少ないため、もう自己満足の世界でしょうね(笑)。

ーこれらはアウトドアアクティビティで実際に使えるんですか?

ぼく自身、アウトドアが趣味ということもあってアウトドアブランドの古着を着用して、実地テストを兼ねて登山したりもしています。それこそ同じGRTラインのコンバーチブル仕様のパンツだったら、「動いて汗をかいたら、裾を切り離してショーツとしても履けて便利だなぁ」とか。ファッションとして取り入れるのはもちろん、これをきっかけに山を登ったりキャンプを楽しんだりできる。そこが魅力だと思うので、仕入れた際にも絶対にメンテナンスした上で、店に出すようにしています。

ーなるほど、リアルクローズというワケですね。

加えて〈コロンビア〉でもGRTだったら PFGよりも他者と被る可能性が低いですし、再三述べたようにポケットも豊富でベンチレーションも完備。登山やキャンプなどのアウトドアアクティビティにおいても活躍必至です。皆さん、次の一手にいかがでしょうか?

大塚シンタロー / SPOTMAN オーナー
“皆が集まるスポットにしたい”というオーナーの想いから名付けられた「スポットマン(SPOTMAN)」のオープンは2018年。古着を介してストリートカルチャーを愛する人々が集まり、人と人、物と人が繋がる情報交換の場としても機能している。また、親交のあるアーティストによる展示やコラボアイテム、オリジナルグッズといった、ここならではのトピックも必見!
公式サイト:spotman.stores.jp
インスタグラム:@spotman_koenji

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