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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.109 いかに自分らしくツイストするか。 “ポロは着てても自由”なラグビー。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。今ではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

新たにショップが全て入れ替わってリスタートした、シーズン14。第109回目は、豪徳寺で注目を集める「Navy blazer store」の小林さんの2巡目! どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


小林 / Navy blazer store 店主
Vol.109_ラグビー ラルフロレーレンのコーデュロイパンツ&ネクタイ

ー今回は、どんなニュー・ヴィンテージをご紹介いただけるのでしょうか?

前回、ウチの店では春・夏・秋・冬の季節に合わせた素材感や配色を重要視しているという話をさせていただきました。そこで不変的かつ普遍的なアイテムであり、店名にもなっているネイビーブレザーと相性の良いアイテムとして紹介したのが…。

ー〈ズーヨーク(ZOO YORK)〉のフーディーでした。ゴリゴリなニューヨークのスケーブランドというのがかなり意外でした。

なので今回は、もっと直球のネイビーブレザーに合うアイテムということで、〈ラグビー ラルフローレン(RUGBY RALPH LAUREN)〉でいきたいと思います。まだ記憶に新しいので覚えている方も多いとは思いますが、2004年〜2013年にかけて存在していた〈ポロ・ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)〉のカジュアルラインで、若い世代に向けて同ブランドに根付く伝統やスピリットを受け継いだラインアップを展開していました。

ー日本でのデビュー時には、大きな話題にもなりましたよね。

ですね! 当初はアメリカでしか展開しておらず、日本上陸は2010年9月。ターゲットは大学生くらいの世代。それくらいの若者たちが気軽に買える値段で、トラッドやアイビー、プレッピーのスタイルを楽しめるブランドとして人気を博しました。

ースカルモチーフの刺繍など、本家ラルフローレンでは見ないデザインのアイテムも魅力で。

あのスカルモチーフもイエール大学にある「スカル・アンド・ボーンズ」という秘密結社で用いられるマークで、実は歴としたカレッジもののなんですよ。ラグビーではこれを総柄刺繍したチノパンやボタンダウンシャツ、トートバッグなどが人気でしたね。本家が品行方正な良家の子弟というイメージなのに対し、ラグビーはプレッピー的なバンカラ気質や遊び心もあって、そこがすごく新鮮で。ストリートにおいても人気を集めていました。

ーそれで言いますと、このコーデュロイのパンツはやや大人しいアイテムに感じますが…?

ラグビー ラルフローレンのコーデュロイパンツ 8,800円(ネイビーブレザーSTORE)

コインポケットも備えたボタンフライの5ポケットパンツで、生地は細畝、シルエット自体も細め。太畝は秋冬の気分ですが、細畝なら一年を通して着用可能なのでオススメ。リベットではなくカンヌキステッチというのも軽やかですし、色も白ってことで春夏ムードが漂っています。当時の定価もラルフローレンに比べて、20〜30%くらい安かったのに、クオリティはほぼ変わらず。

ー小林さんは、現在の「ダブルアールエル(RRL)」の場所にかつて存在した、日本の旗艦店「ラグビー キャットストリート」の元スタッフと聞きました。

はい! オープニングスタッフで入社しました。当時は、本国のMD担当者がスタッフの服装をチェックして、それぞれに似合うワードローブを教えてくれていて。ぼくの場合は結構カッチリめのジャケットスタイルが基本。それこそシャツをタイドアップしたり。

ーブランドの世界観の見せ方も徹底していた、と。で、もうひとつつのアイテムがそれこそネクタイ。

ラグビー ラルフローレンのネクタイ 8,800円(ネイビーブレザーSTORE)

アメリカントラッドスタイルにはハズせないアイテムで、特にレジメン(レジメンタルストライプ)は定番。そこに先ほども話に出た、スカルモチーフの刺繍をワンポイントが入っていてハンドメイド。しかもメイド・イン・イタリーの本格派。挑戦するのが難しい上級者アイテムと思われがちのネクタイですが、ボタンダウンシャツをタイドアップしてその上にラガーシャツを重ねたり、自由にやっちゃっていいので実は意外に簡単なんですよ。

ー80年代〜90年代のラルフのルックもそんな感じでしたよね。アレすごく格好いいんですが、結構無茶な組み合わせや着こなしだなって。そもそもリアルクローズとしての提案なんですかね?

実際に「学校のクラブ活動帰りに、肌寒いからラガーシャツも着ちゃえ!」みたいなノリでやっている学生がいたのを見て、そのテクニックを取り入れているんだと思います。あとは、“他人が思いつかない発想の実践”というのもあるでしょうね。ぼくもラグビーのスタッフ時代に上司から、「ツイストさせることが大事」と教わりましたし。要は、当たり前の考え方・モノにヒネリを加えることで、オリジナリティや面白みを加えるっていう。

ーたとえば?

それこそ、前回やったスケートブランドのフーディーをプレッピーな着こなしに取り入れる、というのもそう。よく実践していたのが、足元に〈コンバース(CONVERSE)〉の「オールスター」を合わせるのではなく、〈ヴァンズ(VANS)〉や〈ナイキ(NIKE)〉のローテクスニーカーを合わせたりとか。

ーというワケで、今回も紹介いただいたアイテムで実際にスタイリングしていただけますか?

まずは、ボタンダウンのダンガリーシャツをタイドアップし、その上からラガーシャツを重ねてさらにネイビーブレザーを羽織ります。で、ボトムスのコーデュロイパンツには何だかよく分からない〈ナイキ〉のランニングシューズを合わせて、キャップとチーフをポイントに。

注目して欲しいがシャツの襟選び。形状と開き具合によって見え方は大きく変わりますが、平均的な日本人の場合はレギュラーカラーを選べばまず間違いなし。Vゾーンを立体的に演出するカラーバーを使うのも手です。ね、こんな感じに自由に、自分らしく楽しむのに〈ラグビー ラルフローレン〉のアイテムは打ってつけというワケです。

小林 / Navy blazer store 店主
豪徳寺駅前で約100年の歴史を持つ豪徳寺市場内に、2022年9月にオープンした「ネイビーブレザーSTORE(Navy blazer store)」。その名が示すように“ネイビーブレザー”をコンセプトに掲げ、ユーズド&ニュー、雑貨といったセレクトアイテムをスタイリングして提案する。
インスタグラム:@navyblazer_store

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