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【FOCUS IT.】日常のようで非日常。個室サウナ、露天風呂、キッチンも完備する一棟貸しのホテル「ACOA House Nijo」に編集部員が行ってきました!

コロナを経て旅行産業が再び盛り上がりを見せているいま、旅行の形はさまざまに増えています。そのなかでもフイナムが注目したいのが、新しいホスピタリティブランド「ACOA」。“A Change Of Air” という標語の頭文字をとって命名し、「空気を変える旅の体験」を謳う彼らはどのようなホテルづくりをしているのか。4月某日、編集部員が実際に泊まった様子をレポートします。

Edit_Yuri Sudo


DAY 1. 完全なプライベート空間でリラックス。

東京から新幹線で2時間半。到着したのは外国人観光客で賑わう京都駅です。視線をずらせど異国の顔が並び、飛び交う言語はさまざま。ここは世界のKYOTOなのだと早くも実感しました。調べると、取材の数日後には「Kyotographie 2025」や、大阪では万博がスタートするとのこと。日本の2都市が世界から注目されているなんて、不思議と誇らしい気持ちに。

喧騒の京都駅からバスで20分。西本願寺を横目に、街並みを抜けると二条に到着。宿泊する一棟貸しの宿泊施設「ACOA House Nijo」を目指します。

個人店がぱらぱらと並び、静かな住宅地が見られる二条は、住みやすい街しても有名。交通機関が充実しているだけではなく、元離宮二条城や京都御所、新選組ゆかりの場所など、歴史的な観光名所も点在し、海外からも注目を集めています。そんな街にひっそりとできたのが「ACOA House Nijo」。

建物自体はシックな佇まい。日本家屋らしい慎ましさと現代のモダンなデザイン性が見事に融合しています。

一軒家の1階部分は、ダイニングとリビング、キッチン、2階部分はベッドルームになっています。ホテルにありがちな簡素で温度感のない空間ではなく、思わずただいまと言いたくなるほどの安心感を覚えます。それもそのはず、「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」をテーマにしているのだそう。

「陰翳礼讃」とは、小説家・谷崎潤一郎の著作から引用した言葉で、日本の伝統美は決して西洋の美と調和することはなく、それが光と影にの美しさによって成り立っていることをほめたたえています。

「ACOA House Nijo」は元の家屋の柱や梁を生かしつつ、リノベーションの手を加え、それでいて自然光を取り込むところと影を残すところを絶妙に調整する。「陰翳礼讃」と表現するにふさわしい空間なのです。

細かなところにもそのこだわりは行き届いています。

床は炭を取り入れ、伝統的な左官仕上げ。それによりシームレスな美しさを生み出しています。ソファの下に敷いてある黒の畳は「YOKOYAMATATAMI」製。寝転んで寛ぎたいときにはぴったりです。さらに、キッチン横の洗面台には、韓国発ライフスタイルビューティーブランド〈ノンフィクション〉のハンドウォッシュとハンドローションが設置されています。

しばらく過ごしていると、部屋のあちこちにアート作品があることに気づくはず。すべて京都で活躍する作家たちとのコラボレーションによるものだそう。

テレビ横にかけられているのは、京表具・井上光雅堂による拓本技術を用いた現代の床の間デザイン。その他、松村咲希さん松井照太さん佐貫絢郁さんなどの作品がひっそりと佇みます。ふと滞在の合間にみて、思案してみるのもいいかもしれません。

日が傾いてきて、早めのバスタイム。リビングルームにあるガラス扉を出ると、脱衣所に繋がる扉があります。

開けると、広々としたシャワー室、その奥のドアの向こうにはこじんまりとした露天風呂が。幅広の深い浴槽でお湯に浸かれば、旅で疲れた体も癒されていきます。ここが街の中だということを一瞬忘れるほどの贅沢なつくりです。

脱衣所を挟んで向かい側には、なんと個室サウナもあります。2人ほど入れるぐらいの大きさで、自分で温度を調整できるほか、ロウリュウもし放題。公共のサウナ施設だと自分好みの設定じゃなかったり、ロウリュウも遠慮がちになってしまいますが、人目を気にせず思う存分楽しむことができるのは、ここならでは。

脱衣所の外には簡易的な庭があり、近隣からの視界も遮られているので、天気が良ければ外気浴をすることも可能。プライベートな空間でととのう体験は何にも代え難いものです。

湯上りには音楽をひとつ。リビングにはレコードプレイヤーが設置されていて、レコードも多数。これは京都のストリート・カルチャーの発信地として名高い「Jazzy Sport Kyoto」がセレクトしていて、国も時代も問わず、リラックスタイムを豊かにするラインナップが揃っています。もちろんスピーカーも完備されていて、高さのある一軒家に、柔らかく重みのある音が鳴り響きます。

この日の晩は、ホテルから歩いて10分の焼肉屋「江畑」へ。諸事情で写真はありませんが、地元のひとにはもちろん、遠方からもわざわざ訪れるほどの名店で、親しみやすい空気感と新鮮で上質なお肉が印象的でした。“京都焼肉” というジャンルもあるそうで、このお店もそれに属するとか。主な特徴はつけタレで食べることと、カウンターに座ると店員さんが焼いてくれること。この日も、拙い焼き方を見かねた店員さんが、優しく焼いてくれました。

ホテルに帰り、この日は早めの就寝。2階にあがるとベッドルームがあり、ダブルベッドが4台並べられています。家族で普通のホテルに泊まるとなると2部屋とらなければいけなかったりしますが、無問題。さらに友達グループで来ても安心です。ベッドは「Simmons」というメーカーのもので、硬すぎず柔すぎず、安らかな眠りをサポートします。

DAY 2. 自炊から土地のものを感じる、新しい旅行スタイル。

京都の朝。せっかくだからと徒歩15分のところにある二条城まで散歩を。

開館前のため中には入らず、ぐるりと外周。ちょうど桜が満開の時期で、城壁と桜という稀有な組み合わせを拝むことができました。

そして朝食の買い出しへ。ホテルの周辺にはスーパーやコンビニエンスストア、町のパン屋が多く点在していて、材料を調達するのには苦労しません。

購入品:京赤鶏の卵、淡路島牛乳、バター、京都府産プリーツレタス、宮崎県産ミニトマト、ウインナー、さつまいもスープ、京都小川珈琲のドリップコーヒー、ドレッシング、シロップ

調達した材料がこちら。旅行の醍醐味は、その土地のものを食べられることですが、「ACOA House Nijo」はキッチンも完備しているから、出来合いのものだけではなく自炊して食べられるというのが嬉しいものです。

主食は、ホテルから歩いて5分のところにある「coneruya」のパンを。朝8時にも関わらず、常に店内にはお客さんが。塩バターパンと、バジルレンコンピッツァ、レーズンパンの3種を購入しました。

モダンなキッチンは作家・ハタノワタルさんによるもので、和紙を用いて全体を包み込むようなデザイン。広々としていて、料理がはかどるキッチンです。

ちなみに、調理器具や電子レンジ、盛り付けるお皿まで揃っていて、至れり尽くせり。材料さえあれば、すぐに料理がつくれるというのもいいですね。

完成したのがこちら。メニューは野菜サラダ、焼きウインナー、スクランブルエッグ、スープ、パン、ドリップコーヒー。キッチンのおかげで、我ながら旅行中に作ったとは思えない朝食ができました。

地元の店で買った地元のものを、新鮮なうちに食べられる。旅行というより、もはや擬似居住に近い体験もできるのがこの「ACOA House Nijo」です。

1泊2日の滞在を終えて、これまでにない宿泊体験を「ACOA House Nijo」で感じることができました。寝る場所としてのホテル、ではなく旅のつづきを楽しむ場所、家族や友達とゆっくり語らう場所としてここは機能します。

情報社会のなか、常にデジタル環境に身を置いているひとも多いはず。「ACOA House Nijo」での宿泊を機に、スマホやPCから一度離れて、日常のようで非日常な旅行をお楽しみください。

※この記事の写真は全て「Nothing」の「Phone (3a)」で撮影しています

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