〈プレミオ ゴルド(premio gordo)〉というシューズブランドをご存じですか?
「履く人、またその空間までもを美しくさせる靴」をコンセプトに掲げ、2015年、デザイナー戶松朋子氏によって立ち上げられました。
掘り下げがいのあるエレガンスという概念を、ありとあらゆる手法で具現化している素敵な一足なのです。
この度、ブランドの人気モデルがオーダーできる受注会が、「ワイルド ライフ テーラー 恵比寿(WILD LIFE TAILOR)」にて開催されます。
それぞれご紹介させてください。
Amanusa(シングルモンク)
革の表面に針を貫通させずに断面内で縫い合わせる高度な技法“ライトアングル”にて、Uラインを縫い合わせたシングルモンクです。
ウェルト上面の飾り溝は粗めにして親しみやすさを表現、コバは控えめの丸コバで柔らかい印象に。
繊細な手作業が生み出す、独特の立体感が特徴です。
Kerry(ブーツ)
お次は、返りの良いマッケイ製法で仕立てたサイドゴアブーツ。アッパーには自然なシボともっちりとした手触りが特徴のラスティカーフを採用。革の接ぎは踵と内側のゴム下のみで、外側のゴム下はシームレスという贅沢仕様です。接ぎを極力排除することで連続性が保たれ、革の持つ美しさが損なわれません。
また、コバや底面はアッパーの質感に最適な度合いのツヤ出しをし、黒1色の靴の中に立体感が込められています。
Ramon(Vチップ)
こちらはメンズの1stモデル。細かなピッチの出し縫いに合わせて入れる飾り溝の目付(めつけ)は手作業で1つずつ刻み、 人の気配を感じさせる1足に仕上がっています。
靴底の踏まず部には革シャンクを仕込み、立体感と強度を、コバにはツメ出しと呼ばれる技法で僅かな立体感を持たせています。
Sans(ローファー)
やや広めにとった履き口によりソックスとのコーディネートが楽しめるローファー。Uのラインにはすっきりとした外観の“落としモカ”と呼ばれる技法を採用するなど、華奢な表情。
つり込みは手作業で、熟練の職人が革の伸び方向や強度を見極めながら木型に忠実に靴のかたちを作っています。
Fala(スリッポン)
モデル名は、ポルトガルの若手建築設家集団の名からとったそう。彼らの建築に見られる「時折挟みこまれる違和感」を ブランド解釈で取り入れた1足となります。
例えばミニマルなデザインにぽっと浮かぶサイドの2本の手縫い糸。これは手仕事感の演出ではなく「Fala」の白と⻘のがらんとした空間に謎に渡った1本の木材、その違和感への憧れを靴の 要素にしたものだそう。
分類が似合わないこの靴の個性を尊重し、性別は分けずにサイズ展開しています。製法はボロネーゼと呼ばれる つくりで、踏まずの前部には中底がなく、包み込まれるような足入れです。
Soren(クロスサンダル)
最後は、靴作りの現場に触れるなかで面白みを感じた要素を取り込んだクロスサンダルです。底付け職人の工房には、たいてい革の切り回しがそこらに散らばっています。
職人が余分なシロを包丁で丁寧に切り回していくと地面に落ちるアートピースのような端材は、通常は中敷きを敷くためその経年変化を見られる場面は少ない中、本モデルでは自身の汗ジミが靴のデザインになっていく様を演出しています。
というわけで、こだわりと愛情がたっぷり詰まったブランド、シューズなのですが、正直これでもだいぶ削っています。
さらなる物語や仕立てのこだわりにご興味がある方は、ぜひ受注会に足を運んでみてください。