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【FOCUS IT.】笹塚にできた新名所。ヘアメイクアーティスト・AMANOが手掛ける理容室「ハンサム」が、地元のコミュニティスポットを目指す理由。

メンズのファッション媒体を中心に、広告や、さまざまなアーティストや俳優のヘアメイクを手掛けるAMANOさん。そんな彼が自身の理容室「ハンサム」を東京・笹塚にオープンしました。店内はどこかノスタルジックなムードが漂い、まさに“床屋”な印象。だけど、ネオンでつくったサインポールや、随所に飾られる写真を眺めていると、AMANOさんらしいスタイルもそこにしっかりと佇んでいるのがわかります。「ずっと床屋のおじさんに憧れていた」と話すAMANOさんは、どんな想いでこのお店をつくったのか? さっそく本人に聞いてみましょう。

Photo_Sara Hashimoto
Text_TSUJI
Edit_Yosuke Ishii


PROFILE

AMANO

1977年生まれ。東京美容専門学校を卒業後、千葉や都内の美容室に勤務。2005年にHair KANADA氏に師事し、2007年に独立。ヘアメイクアーティストとして、雑誌や広告、さらにはアーティスとや俳優のヘアメイクも手掛ける。2011年には窪田理容専門学校を卒業し、理容師免許を取得。満を辞して2025年5月23日に理容室「ハンサム」を笹塚にオープンした。
Instagram:@amano_onama
@handsam__jp


見た目も心も両方仕上がっているのがハンサム。

ー理容室「ハンサム」のオープン、おめでとうございます。いつ頃からお店を持とうと考えていたんですか?

AMANO:ありがとうございます。ぼくは美容師からヘアメイクになったんですけど、独立して数年後くらいから、将来的には自分のサロンを持ちたいと考えるようになりました。床屋のおじさんに憧れがあったんですよ。

ー最近、バーバーが増えてますよね。

AMANO:そうですね。ロンドンなどで、バーバーカルチャーが流行っているっていう情報を10数年前に知り、当時から絶対に東京でもそのスタイルが浸透すると思っていたんです。

ーどうしてこのタイミングになったんですか?

AMANO:実は7~8年前くらいから動いてはいたんです。だけど、いい物件があって申し込んでも、他のお店が入っちゃったりして、なかなか縁に恵まれなかったんですよ。

ーじゃあずっと準備はされていたわけですね。

AMANO:そうなんです。それで去年この物件を見つけて、いいなと思って申し込んだら、他に7件くらい申請があったみたいで。でも結局、その中からぼくを選んでもらって、ようやく契約を結ぶことができました。実はこの前のお店も美容室があって、ずっと気になっていた場所だったんです。

ー頭の中でイメージしていたお店の姿はどんなものなんですか?

AMANO:ぼくがつくりたかったのは、街の床屋なんです。(一冊の写真集を手に取りながら)「Cuts」っていうお店がロンドンにあったんですけど、そこはいろんなひとが集まる場所なんですよ。ローカルのおじちゃんとか、子どもたち、それに名の知れたクリエイターたちも髪を切っていて。男性だけじゃなく、いろんなジェンダーのひとたちが来ていて、そういう場所にしたいなってずっと考えていました。とにかくいろんなひとたちが来て、みんなでくっちゃべるみたいな。

ー外観や内装も、どこかノスタルジックですね。

AMANO:お店のデザインはMOBLEY WORKSの鰤岡さんに依頼しました。いわゆるむかしの床屋さんで、ちょっとアメリカのバーバー的な雰囲気も差し込みつつ。壁も基本的には合板を使っているんだけど、カウンターとか棚にはちゃんとした木材を使用したりして、あえてチープな素材と、いい素材を使い分けてますね。天井とかもよく見る素材なんだけど、「むかしの床屋ってこれだったよね」っていうのを話し合って決めましたね。

ー床屋といえばのサインポールや、お店のロゴにもこだわりを感じます。

AMANO:サインポールはWAKUくんっていうネオンアーティストにお願いをして、ロゴはIPMatterっていうシルクスクリーンアーティストに依頼しました。

ーむかしながらの床屋さんをイメージしつつ、そういう細かなところにモダンな感性を取り入れているんですね。

AMANO:そうなんです。いろんなひとに相談をしながらつくったから、めっちゃ大変でした(笑)。

ー「ハンサム」っていう店名も、どこか昭和の響きを感じます。

AMANO:絶妙なダサさがありますよね(笑)。いまは全然使われない言葉だけど、なんか好きで。それで店内にはいろんなハンサムなひとたちの写真を飾っているんだけど、みんなカッコいいんです。ただ外見がおしゃれなだけじゃなくて、内側から滲み出てくるものがあるというか、そういうものも表現したかったんですよ。見た目も心も両方仕上がっているのがハンサムなのかなと(笑)。結構究極の言葉ですよね。


そのひとらしさが生まれるスタイルをつくりたい。

ー具体的なサービスについても聞きたいのですが、美容師と理容師の違いって、シェービングができるか、できないかなんですよね。

AMANO:そうですね。理容師はシェービングの技術も必要なんです。ぼくはもともと美容師の免許しか持ってなかったから、ヘアメイクの仕事の合間に理容師の免許も取得しました。シェービングって髭剃りのイメージがあるんだけど、それプラス、古い角質が取れるんですよ。だから女性にもおすすめしたいんです。ファンデーションの乗りもよくなるし。

ーだからお店のインスタグラムにも「for all genders」って書いているんですね。

AMANO:ぼくはヘアメイクの仕事をする一方で、知り合いのクリエイターや、俳優さんのカットもしているんです。その中で女性の髪を切らせてもらうことが増えてきて、そういう方々にも床屋さんのムードみたいなものを楽しんで欲しいという気持ちが生まれました。美容室に慣れているひとからしたら、すごい新鮮な体験だと思うんですよ。

ーAMANOさんのヘアメイクの写真を眺めていると、すごくナチュラルというか、自然なムードを感じるんですが、意識されていることはあるんですか?

AMANO:もともとは作品としてつくり込んだものが好きだったんですが、次第にそのひとを大事にしたいと思うようになりました。世界観をつくりすぎると、モデルのパーソナリティが写真に出てこない。さっきも話したようにハンサムって内面から出るものもすごく重要だから、そのひとらしさが生まれるスタイルをつくりたいと思ってます。

AMANO:だからやっぱりコミュニケーションを大切にしたいと思ってて、どんなファッションが好きなのかとか、音楽やアートなどの文化的好みも知りたいし、とにかく話をしながらスタイルを決めていきたいですね。もちろん、「これがいい」っていうイメージを持ってきてくれるのもウェルカムです。

ー今後も継続してヘアメイクのお仕事を続けながら、時間があるときにこのお店でお客さんを迎えるんですか?

AMANO:そうですね。お店にはもうひとり、バーバー出身のスタッフがいて、基本的には彼がお店に立ちつつ、ぼくも撮影の仕事がない時間にここにいる予定です。スタッフはもうひとりくらい居てもいいなと思っています。それこそ女性の理容師も最近は増えてきているので。


訪れたひとたちと、文化交流をしていきたい。

ー街の床屋というイメージがあったと先ほど話していましたが、笹塚という立地も、それを後押ししているような気がします。この辺りの魅力ってどんなところにありますか?

AMANO:ぼくはずっと笹塚に住んでいるんですけど、渋谷区にありながら、すごくローカル感があるんですよ。住みやすい場所だし、気取らずにいられる。適当な格好で歩いてても馴染むし、本当に居心地がいいんです。おしゃれな街で出店するのもアリかなと思っていたけど、「AMANOっぽくない」って知人に言われたりして。住み慣れた街にお店を出すって保守的なのかもしれないけど、この物件を見つけたときに、アリかもなって思ったんです。

ーそうしたローカルなお店でありつつ、仕事をはじめ、さまざまなフィールドで関わったひとたちが集まる場所にしたいと。

AMANO:ローカルのひとたちを受け入れつつ、いままで床屋に通ってこなかったひとや、おしゃれなひとたちにも気軽に遊びに来て欲しい。若いスケーターや自転車に乗っている子たちがここに集まる姿も想像しながら、ワクワクしてますね。これからは絶対にこういうお店が求められる時代になると思うんです。地元の学校の子どもたちの髪も切ってみたいし。そうなったら、本当に床屋のおじさんになれるじゃないですか。だから年齢も幅広く集まって欲しいです。そこで訪れたひとたちとコミュニケーションをしながら、文化交流をしていきたいですね。

ーそうやっていろんなアイデアを得たいということですか?

AMANO:そうですね。たとえば若い子たちのエネルギーや衝動ってすごいから、どんな髪型にしようか一緒に考えるのも楽しそうじゃないですか。自分たちも10代の頃そうでしたよね。そういう子たちと、近所のおもしろいおじさんが繋がったりしたら、それもまたユニークですよね。アメリカの映画とかでも物語の鍵を握る重要な会話は、バーバーで髪切っているときに話されたりするじゃないですか。それって床屋がコミュニティスポットとして成立しているからなんですよね。「ハンサム」も、そういう場所にしたいなって思ってます。

INFORMATION

handsam 理容室ハンサム

住所:東京都渋谷区笹塚1-59-3 グリーンキャピタル笹塚102b
定休日:毎週月曜日、隔週火曜日休み
電話:070-9009-8036
Instagram:@handsam__jp
HP: https://handsam.jp (*準備中)

料金:カット ¥6,400(大学生以下割引値段あり)
*AMANOの指名料あり。ティーンエイジに限り、指名料なしの「ティーンエイジ割」にて担当させて頂きます。

【ご予約について】
ホームページの予約サイトから対応させていただきますが、新規受付は6月以降を予定しております。最新の情報は、Instagramにて随時更新いたしますのでそちらをご確認ください。
*AMANOのご予約は当面の間、電話での対応のみとさせていただきます。
留守番電話にメッセージを入れていただきましたら、折り返しご連絡いたします。

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