HIP NEWS #06
2020.8.28 UP
Text_Shinri Kobayashi
Edit_Shun Koda
今日も今日とてさまざまな社会問題が次々と起こるわけですが、問題へ取り組む基本姿勢として大切なのは、“知る“こと、“知ろうとする”姿勢です。それは食とその環境についても同様で、その一助となる“食育“ツアーが開催されます。
場所は、日本初のグランピングリゾート「星のや富士」。2020年10月2日~12月18日の間、毎週金曜日限定で、グランピングリゾートが提案する大人の食育「命と食を学ぶ狩猟体験ツアー」を今年も開催します。
狩猟歴40年以上のベテラン地元猟師とともに富士山麓の森に入り、わなを使用した狩猟方法で鹿を狙う様子を見学します。さらに、仕留められた鹿が食肉としてさばかれていく工程を、技術や温度管理などのこだわりを聞きながら見学・体験します。命あるものが食材として変化していく過程において、自然との共生について学びを深められるこのツアー。なお、安心して参加できるように、コロナ対策を講じた上で開催するとのこと。
昨今、農林業に被害を及ぼしている鹿や猪の消費促進に貢献すべく、魅力的な食材である狩猟肉として活用し、メニュー開発を進めてきた「星のや富士」。開発過程で、 命を頂くことの重み、美味しい食材へと昇華させるための狩猟や解体の技術など多くのことを学び、その体験から得た学びを多くの方に知ってもらうことが、このツアーの背景となっています。
このツアーの特徴は4つあります。
1つ目は「狩猟から解体まですべてを見学できる」ことです。ツアー参加者は、主に「わな猟」に同行し、わなにかかっている鹿を猟師が仕留めるところ、血抜きや鹿の解体作業を見学します。そして猟師のレクチャーを受けながら、解体作業の一部を体験します。
2つ目は、「ベテラン地元猟師からこだわりを学ぶ」こと。「狩猟肉は臭みがある」というイメージが強いのですが、それは仕留め方や血抜き、温度管理、解体技術、さらにそれら一連の素早さに味が左右されるからです。解体を案内するのは、地元で狩猟歴40年以上のキャリアを持つ猟師。彼がどのようにして臭みのない美味しい狩猟肉を世に送り出しているのかを目の当たりにすることができます。そして、ツアーで解体された鹿肉は、後日参加者へ送付され、その上品かつ旨味の詰まった肉の味を自宅でも楽しむことができるのです(ツアーで解体された鹿肉は自家消費限定)。
3つ目は、「猟師の後継者問題の現状を知る」こと。狩猟免許所持者の高齢化が問題となってきている昨今では、後継者問題は重要です。このツアーに同行する、ベテランの猟師とその弟子のやりとりを通して、後継者問題の現状を知ることができます。
4つ目は、「猟師やグランピングマスターによるサポートがある」こと。狩猟の現場は、道中や道具に危険がともないます。そのためツアー前に約30分オリエンテーションを行い、狩猟体験中にも森歩きのサポートや、猟師が使う専門用語の解説があるので、狩猟見学・体験が初めての方でも安心です。
さらにツアー後には、グランピングスタイルの狩猟肉ディナー(別料金)がおすすめです。山に生きる猟師たちのライフスタイルをもとに、開発された秋のコースをサポートのもと、お客さん自身で仕上げます。動物の命を頂き、食材として美味しく消費するまでの一連の流れを体験することで、狩猟肉への理解がより深まるでしょう。
ジビエがもの珍しいものではなくなってきた昨今ですが、このツアーは食と命の世界へとより深く踏み込んだものと言えるでしょう。皿に盛られた料理だけでなく、その皿に至るまでの過程をこのツアーで体験することで、豊かな食文化に触れることができるはず。真摯に食に向き合う気概があるひとには、忘れられない体験となるに違いありません。
期間:2020年10月2日~12月18日の毎週金曜日限定
料金:1名¥35,000(税・サービス料・宿泊料別)
定員:1日1組(2~4名)
時間:8:30~16:00
対象:満13歳以上の宿泊者
予約:公式サイトにて2週間前まで受付
服装/持ち物:動きやすい服装・靴
含まれるもの:狩猟への同行、鹿肉解体の見学・体験、昼食、長靴レンタル、解体された鹿肉の送付
備考:参加は、星のや富士の到着日と出発日を除く、滞在日がおすすめです。(2泊3日以上推奨)
hoshinoya.com/fuji/experience/huntingtour/
Text_Shinri Kobayashi
Edit_Shun Koda