HIP NEWS #10
2020.9.25 UP
Text_Shinri Kobayashi
Edit_Hideki Shibayama
世界有数の経済大国である中国となれば、映画の制作費も巨大なのは当たり前。100億円オーバーの制作費を投入することも厭わず、その規模感はますますハリウッドに近づいています。
とはいえ、どの国にも当てはまることではありますが、巨大なバジェットがそのまま映画の質を保証してくれるわけではありません。
むしろ中国のインディペンデントな監督たちの作品の中にこそ、いまの中国、そして世界の断片をリアルかつファンタジックに映している良作が多い... そんな言説を裏付けるかのように、日本の映画専門誌が中国の新しい世代の映画監督をフィーチャーしています。
なかでも1989年生まれのビー・ガン監督は、これからの中国映画を牽引する存在として注目されています。10月1日(木)からNetflixで先行独占配信されるのが、ビー・ガン監督の処女作『凱里ブルース』と、第二作目『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』。
前者は、映画監督のポン・ジュノ、デル・トロ、深田晃司がこぞって絶賛し、後者は、音楽家の坂本龍一、漫画家の松本大洋、現代美術家の塩田千春が激賞したほど。
今年の2月28日に公開され、その後Covid-19の影響をダイレクトに受けて公開の中止が相次いだ『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』、当初4月に公開を予定しながら、二度に渡る延期を余儀なくされ、6月に漸く公開に漕ぎ着けた『凱里ブルース』。
評判を聞きながらも、映画館で鑑賞できなかったひとには、あまりにも早く、うれしい朗報でしょう。
『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』は、ある女の幻影を追って、夢とも記憶とも現実ともつかない旅に出た男の物語。映画の後半60分だけが3D・カットなしのワンシークエンスショット映像ということでも評判に。『凱里ブルース』は、ビー・ガン監督2015年製作のデビュー作で、『ロングデイズ〜』同様、刑務所帰りの男が、知人から託された品を彼女のかつての恋人に届けるため、また行方不明の甥を探すために旅に出て、たどり着いた村で、時制と記憶の渦の中で過去にあったかもしれない人びとと出会うこととなるというもの。いづれの作品もカンヌやロカルノなど海外の映画祭で大きな評価を獲得した作品です。
このあたりの中国映画を先行独占配信するNetflixの映画を観るチカラは、さすがとしか言いようがありません。中国映画の最前線に位置する監督の作品を、ぜひご自宅で楽しんでください。
『ロングデイズ・ジャーニー』
(C)2018 Dangmai Films Co., LTD - Zhejiang Huace Film & TV Co., LTD / ReallyLikeFilms LCC.
『凱里ブルース』
(C)Blackfin (Beijing) Culture & MediaCo.,Ltd – Heaven Pictures (Beijing) The Movie Co.Ltd, Edward DING – BI Gan / ReallyLikeFilms
※Netflixでの先行独占配信は、2020年9月25日時点の情報です。
Text_Shinri Kobayashi
Edit_Hideki Shibayama