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トラディショナルなドレスコード。僕はそれが好きなんですよね

―普段デザインをする上で、何かにインスパイアされることはありますか?

M:インスパイアされることはいっぱいありますよね。50年代、60 年代のイタリアの映画とか好きですからね。フレンチも好きだし、アメリカも好きだし。そういう古い映画だったり、毎日の生活の中で出会うお年寄りの人も大好きなんですよ。彼らの着ている洋服ってやっぱり時代を感じるじゃないですか。昔の60年代、70年代のものを着ているから。そういうのを見てすごくまた作りたいなと思ったりとか。

―そうなんですね。

M:別の意味では、ブルジョアです。

―ブルジョア?

M:ブルジョアのライフスタイルを求めるとか欲しがるのではなく、彼らのドレスコードが好きなんですよ。10歳になったら取りあえず〈ブルックス ブラザーズ〉に行って初めてのオックスフォードシャツにチノパン。で、モカシン履かされて。クリスマスはボウタイつけて、みたいなね。それがそのまま子どもからお父さんまでずっと同じじゃないですか。そういうトラディショナルなドレスコード。僕はそれが好きなんですよね。

―なるほど。

M:実際自分はブルジョアではないし、そんな風に生まれてないからわからないし。だからドレスコードだけなんですけども、そういうところに決められたフォーマットの中で作り出されるセンスっていうものがすごい好きなんですよね。〈KITSUNÉ〉ではそれを崩して、リラックスしたエレガンスを出していこうと思ってます。

―具体的には、どのようなものでしょう?

M:それは着た時に着やすい洋服ですね。どんな体型の方に着てもらってもシルエットはそれなりにまとまって良いプロポーションを作れる洋服を作りたい。普通に見えて着てみると着やすいっていうのは、難しいんですよね。結構。でもそれは常に頭の中にありますね。だから、ファッションデザインというかクリエイションとか、新しいスタイルを作るとかね、そういうのはあんまり考えていないです。逆にどちらかというと、自分の欲しいものでしょうか。今シーズンはゴルフプレイがテーマになっているんですが、単純にゴルフショップに置いてある服が好きではないので、もうちょっとファンキーでクールな洋服でゴルフプレイでみんなでしましょうって感じで作りました。もしかしたら来年はテニスになるかもしれないし。まぁマリンスポーツなんかも好きですから。

―今回ゴルフを選ばれたのは何でかなって思ってたんですけど、売ってないから作ろうっていうところが大きいんでしょうか。

M:やっぱりその、父もうちの叔父も、みんなゴルフするんですよね。でも格好悪いからね(笑)。自分で作れば〈KITSUNÉ〉を着てみんなもうちょっとクールな感じでカントリークラブに行ってもらえるんじゃないかなと思いまして。単純に。そんなもんですよ。


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今シーズンのテーマはゴルフ。こんなウエアを着てラウンドできたら本当にクールです。ゴルフをやったことがない人でも、はじめてみようかなという気になっちゃいますね。