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disだけじゃなく、どう会話するかになってきてる。

―そっかー。やっぱひたすら練習するしかないか......。

「みんな、四六時中やってますよ。会えばいきなりやってくるヤツもいますからね。でも、面白くないヤツも多いですからね」

―面白くないのは、言ってる内容がですか?

「もあるし。面白いヤツはやっぱ、言葉のセンスと、コイツマジで完璧に言葉が出てんなー、っていう。面白いし伝わってるし、今のことを切ってんなーとか。そういう人はいいけど、ただ聞け聞け、みたいなのも多くて(笑)」

―へえー。

「でも最近のHIPHOPは、人間性が出るというか。スキルがもう一段落しちゃってるんですよ。韻を踏むとかも。だから直角さんも、攻略したいと思ってるわけじゃないですか。その時点で成立してんですよ」

―???

「なんかラップがあんま上手くねえな、と思われても、"でもやりてえ"って気持ちでやってる、って時点で成立してるから、それでいいと思うんですよね」

―うーん、そうですか。

「もう、韻を踏んだり、いろんなフローをしたりするのは当たり前になってますから。今度は会話の部分になってくると思うんですよね」

―あ、そうそう。その、先攻の人に言われた言葉を使って、後攻の人が言い返したりするじゃないですか。アレとか「ぜってぇ無理!」とか思ったんスよ。

「はははは。後攻が言われたことを返すのは、向こうの言ってることと、お客さんがあそこの言葉は聞き取れたな、っていうのを瞬時にわかって配置するんですよ。あれは面白いと思いますね。で、決勝大会とか、盛り上がるのはやっぱそういう会話の部分なんですよ」

―はい。

「お互いMC同士でいかに(言葉を)返しあえるのか、っていう感じにドンドンなってきてて。そうなると、もう罵倒するだけじゃなくなってくるんですよ。尊敬するっていうか、俺がこう言ってきて、オマエがこう返してくるんなら、もう俺らスゲーな、みたいなことになってくるじゃないですか(笑)。それはそれで、かなりピースフルな感じになってくるな、って」

―ああ、別に攻撃しなくてもいいというか。

「前はただバカにしあうだけ、っていうか、バカにしあう理由がわかってなくて言いあってるというか。そりゃあギスギスしちゃうよ、って」

―イメージはそんな感じっすよね。

「そうそう。ずっと日本語のラップってそうだったと思うんですよね。なんでバカにしてるんだろう? みたいな。何を持って、何をバカにするのか、っていう。その"何"をわかってない感じというか。フリースタイルバトルも、これからはどうやって罵倒するのか、っていうのも大事になってくると思うんですよね」

―ふーん......。僕にはレベル高い話だなあ......(笑)。あ、でもそうなると、もう勝たなくてもいい、みたいな感じにもなってきますね(笑)。

「全然いいっすよ。印象に残ればいいと俺は思いますよ。すげえ変なフローでも。俺はラップが上手くなりたいと思ってがんばったけど、今はそういう時代じゃないと思うし。出て、何が出来るのか、っていうのが必要なんで」

―なんか......、僕のこの不安感がなくなってきました(笑)。

「マジっすか(笑)。まあ、見た感じ、直角さんも"おらあっ!"って感じじゃなさそうじゃないスか。"はじめます......"って感じだから(笑)。そういうスタイルでいいんじゃないかな、という」

―こう、鎮座ドープネスさんもゴリゴリッとしてないから、それで戦う方法もあるのだな、と思ったんスよね。

「あまり型にこだわらない方がいいと思います。逆手に取る方法もありますよ。あえてワックなMCを気取ってみるのもいいし、"チェケラッチョ!"とか言い出すのも良いと思うし(笑)。あと、喋らない! とかね。バトルでいきなり"おまえには何も言いたくない!"とか言い出したら、"うわ、コイツ、超頭の回転早え!"とか思いますもん(笑)。まあ、どうオチつけるか、っていうのが問題だけど」

―あ、フリースタイルってオチも重要ですか?

「なるべくオチはついてた方がいいですね」

―うわあ、そんなハードルもあるのか......。

「はははは。まあなんか、終わった風でいいんですよ。俺も全然できないから(笑)。あんま辻褄合ってなくても、"終わったな"感が出ればいいんすよ」

―でもなんか、ようやく練習の仕方がわかってきました。ありがとうございます!!!

「こう常にフリースタイルして。日常生活は常に超サイヤ人の状態にしておく、っていうのがいいんじゃないですかね(笑)」

―ああ、カラダの負担を慣らしておく、みたいな。

「やっぱり、フリースタイルって好きか嫌いか、やりたいかやりたくないかだと思うんですよね。ウチで鍋やってても、みんなすぐフリースタイル始めるんですよ。"みんな好きなんだなー"って感じで(笑)。だから直角さんも、取材じゃなくて、路上ライブ一緒にやりましょうよ」

―え? は、はい。立川の公園で(笑)。

「たぶん、なるほど! って思いますよ。結構みんな楽しんでくれますもんね。ビールとか買って、友達がラップしてる時は俺がタイコ叩いたりとか。直角さんもタイコ叩いて」

―はい(笑)。叩きます!

「絶対、遊び気分でやらないと、楽しいものにならないから」


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週刊フイナムvol.174掲載 第4回
作年末に開催されたULTIMATE MC BATTLE(UMB)の決勝を直角さんと編集Mで観戦。出場者のみなさんのレベルの高さは圧巻でした! フリースタイル、面白いです。

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【P1】ライムスターの名曲を練習中。

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【P2】UMB決勝、かなり面白かったです。

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【P3】すべて実話です......。(担当M)

UMB2009で優勝した鎮座ドープネスさんが登場する最新号の「フイナムのラッパー」はこちらから読めます。CHECK IT OUT YO!!

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