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Extreme対談 vol. 2 フランク・リーダー×リュウ・イタダニ(後編)

2012.03.09

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その道の最前線に立つクリエイターによる、ディープでマニアックでエキサイティング、それでいてちょっとタメになる話「Extreme対談」。第2回目となる今回は、ドイツ・ベルリンを活動の拠点にする2人が登場。ブランド〈フランク リーダー(FRANK LEDER)〉のデザイナー、フランク・リーダーと、日本人アーティスト、リュウ・イタダニ。10年来の友人同士である彼らに、今、世界中からクリエイティブが集結する街の現状を語ってもらった。

Photos_Takeshi Miyamoto
Interview & Text_Yuko Asanuma
Edit_Yohei Kawada

Extreme対談
Vol.1 渋谷慶一郎×オノセイゲン"音の最前線から"(前編) (後編)
Vol.2 フランク・リーダー×リュウ・イタダニ"今、ベルリンでつくる理由"(前編)

フランク・リーダー FRANK LEDER
1974年、ドイツ・ニュルンベルグ出身。セントマーチン美術大学校MA卒業。大学院在学中にブランド〈FRANK LEDER(フランク リーダー)〉のコレクションを発表。2002年に活動拠点をベルリンへ移し、以後、ドイツの歴史とそこに住む人々の生活や自然をインスピレーションソースに洋服を作り続けている。

リュウ・イタダニ RYU ITADANI
1974年、大阪生まれ。見たモノを独自の視点で描くフリーハンドのラインと、鮮やかな色彩感覚による"City"、"Thing"、"Nature"をテーマとした作品を制作する。2007年には表参道ヒルズの「1周年記念アートワーク」を制作したほか、国内外で数多くの個展やグループ展にて作品を発表する。現在はベルリンを拠点に活動。

表面からは見えない、物語の裏側に興味があるんです。

―今度は少しざっくりとした質問ですが、お二人のベルリンでのライフスタイルがどんなものか、教えて頂けますか?

リュウ:僕の場合はどこにいてもあまり変わらないですね

フランク:家の近所にずっといるもんね? リュウにとっては、ご近所さんと知り合いになるとか、行きつけのお店があるとか、そういったことが重要なんです。

リュウ:そうですね、それでだいたい決まったところにいつも通う。それは東京でも同じでした。だから、ベルリンに来てもほとんど同じことをしています。

フランク:僕の場合は、ほぼ正反対なんです。僕は新しいところに行ったり、新しいものを発見するのが好き。新しいレストランやバーに行ってみたり、新しい人と出会ったり、そして新しい物語を聞く、そういったことが僕の原動力としてとても大切です。

―実際、ベルリンに越してくる多くの人が、それを求めて来ているんだと思います。だからリュウさんは珍しいタイプですよね。わざわざベルリンに来て、同じ生活を続けている。

リュウ:それが僕にとっては大切なんですよ。同じような場所で同じようなことをやっている中に、ふとした違いに気づいたり、発見があったりするわけです。近所の人が、いつも乗っていた車を買い替えたな、とかね。

フランク:より深い洞察と言えますよね、ディテールを見ている(笑)。

―もうひとつ、ベルリンのライフスタイルにありがちな落とし穴として、あまりにリラックスしているし、遊びの誘惑が多いので怠け癖がついてしまう、ということがあります。その点についてはどう思われますか?

フランク:そうですね、そういう面はとてもあると思います。ロンドンやニューヨーク、東京のように、ちゃんと仕事をしないと家賃が払えない、という直接的なプレッシャーがない。でも、その分自分でやる気を起こさないといけない。自分で自分を管理しなければなりません。確かに、いつも遊び回っているような人たちはたくさんいますが、あくまでそれは表面です。では、その人たちがその後どうするかというと、2~3年したらやはり仕事をしなければなりません。もう少し踏み込んで見てみれば、その人たちも同じ問題を抱えているんです。僕はそういう部分にとても興味があるんですよね、表面からは見えない、物語の裏側です。そういう意味で、ベルリンはいいチャンスをくれる街だと思いますよ。自分とちゃんと向き合うチャンスです。ベルリンには自分を追い込んでがんばっている、優れたアーティストがたくさんいます。本当に、自分次第でどうにでもできる場所だと思います。

リュウ:どういう人たちと付き合うかにもよりますよね。フランクはとても努力家だし、僕が知っている他の何人かのドイツ人の友達もそうです。だから、僕はそんなに怠けている人が多いとは感じません。僕の自宅兼アトリエの向かいには建築事務所があるんですが、そこの人たちなんかは本当によく働いていますよ。夜中の3時に見ても、まだ働いていたりして。その下には弁護士事務所があるんですが、そこの人たちもそうです。それが窓越しに見えますからね。

フランク:例えば、20平米のアトリエでは窮屈になってしまいますが、ここのようなスペースがあると伸び伸びとやれます。僕にとってスペースはとても大事で、全て見えるように並べてみたり、その上でイメージを膨らませたり、そういうことが結果として仕事に反映されます。ドイツで製造した服は、全てここに一度集められ、チェックされ、発送されるんです。そういった作業をする上でも、スペースが確保できることは重要ですから。ドイツ語で「aufladen」という言葉がありますが、エネルギーを注入するという意味です。それをできるのが、このスペースなんです。どこかに発注して、そこで作られたものが直接ショップに送られる... そういうやり方も可能ですが、やはりひとつひとつ自分の手を通ったものとは違います。僕にとっては、譲れない不可欠な部分ですね。リュウも同じだと思いますよ。アトリエの居心地がよく、伸び伸びとできるスペースがあれば、作業も気持ちよくできてはかどります。アーティストにとってスペースはとても重要なんです。

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