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古着サミット。 業界屈指の古着好事家3名が集結!

2014.02.21

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80~90年代のアイテムには、新しい"ヴィンテージ"になりうるものが(栗原)

栗原: 次はシャツですね。一つは60'sのBDシャツです。この辺は、昔は何十枚とか買ってきてたんですが、今はもうあんまり玉数もないですね。個人的にプルオーバーが好きなんで、よく買ってるんですけど。

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阿部: 栗くん、よく着ていたよね。

栗原: これは変わらないですね、昔っから。ただ、90年代だったら、ピケとかカツラギを履いてたのが、今は新品のジーパンに合わせるとか。そういう感じにはなりますよね。当時はウエスト28インチを、、

今野: 短めで、みたいなね。栗ちゃんのイメージあるなぁ。

栗原: そうなんです。だからアイテム的には好きなものは変わってないんですよね。

今野: ブレてないよね。

阿部: 〈マイティー マック(MIGHTY-MAC)〉のブルゾンとか着てたよね。

今野: あの辺りのアイテムも今海外とかで、すごい評価高いよね。

栗原: そうですね。今はもう3年に一枚出るかどうかじゃないですか? あと、こっちは〈ジェイクルー(J.Crew)〉なんですけど、これもやっぱり90年代半ばに〈ギャップ(GAP)〉、〈バナナ・リパブリック(Banana Republic)〉とかと並んで人気のあったブランド、っていうイメージですよね。

阿部: 表参道にあった頃だよね。

栗原: はい。このへんは新しくヴィンテージになりうるものというか。今は結構安価で手に入りますけど、当時はやっぱり独特のいいものを作ってたと思うんですよね。ただ、時代的にどうしてもビッグシルエットが多いので、着られるのは限られてきてしまうんですが。

今野: 結局、〈バナナ・リパブリック〉って〈ギャップ〉の上のラインていう認識でいいの? 同じファクトリーで作ってるってことで、話題になったりしていたけど。

栗原: 元々は別の会社だったんですけど、〈ギャップ〉に買収されてるんですよね。

今野: なるほど、そうなんだね。

栗原: 〈バナナ・リパブリック〉は当時、「ザ・サファリ」みたいな感じでしたよね。

阿部: そうそう、格好良かったよね。

今野: このペイズリー、一枚で着て歩いてもらいたいなぁ 笑。

栗原: 当時は着てましたけどね!笑

ーこのへんの90年代くらいの〈ジェイクルー〉なんかは、もう古着屋さんに並び始めてるんですか?

栗原: そうですね。この数年で、80年代~90年代前半ぐらいのアメリカのブランドっていうのは、きちんと古着で売れるアイテムとして、カテゴリーが出来上がっている感じはしますね。

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ーそういったものは、ヴィンテージと呼ぶんですか?

栗原: 呼びたいんですけど、日本のお客さんは呼んでくれないでしょうね。その辺の棲み分けも難しくて、例えばよく海外の雑誌のスナップとかを見ると、新品じゃないものには、クレジットは全部「vintage」ってなってますよね。外国の人にとっては、ユーズドはイコール「vintage」なんですけど、日本では例えば"赤耳"なんて、ヴィンテージじゃないっていう風潮もありますし。基本的には60年代以前じゃないとダメ、みたいな。。線引きが厳しいですよね。

今野: どこからがヴィンテージなんだろうね?

栗原: アイテムによっても違いますよね。スニーカーだったら、80年代は完全にヴィンテージですしね。個人的には、今新品で買えなければもうそれはヴィンテージだと思うんですけどね。

阿部: その方が売れるしね 笑。

栗原: って、言われるじゃないですか 笑。古着屋は雑誌と組んで消費者を騙してるんじゃないか、みたいな。

阿部: 色々ため込んでるんでしょ? 笑

今野: あー、そういえばこないだ家に行ったときに、〈ジェイ クルー〉っていう段ボールあったなぁ。。

栗原: 笑 でも、シャツに関して言えば、一時期すごくスキニーで着丈の短いやつが流行ってたんですけど、最近はちょっとゆったりめな感じに戻ってきてますよね。全体的にトップスは大きくなってきてます。さっきのリバースも、ちょっと前ならあんなにアーム太いの誰も着ないよ、っていう感じだったんですけど。その辺は仕入れる立場としては、ちょっと楽になりましたよね。

今野: そうだよね。

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栗原: 7~8年位前はホントに、ボーイズのサイズしか売れないっていう感じでしたね。〈トム ブラウン(THOM BROWNE.)〉のシャツが流行り出したあたりがピークだと思います。

今野: 古着屋さん、だいぶ巻き込み事故にあってますよね 笑。

栗原: まぁ、でも代わりにボーイズの白いシャツ、〈バン・ヒューゼン(VAN HEUSEN)〉とかの現行ものがけっこう売れてくれたので、恩恵はあったといえばあったんですどね。あと、当時は僕が着れてしまったらもう大きい、みたいな感じでしたね。でも、日本ぐらいじゃないですかね、〈ビッグマック(BIG MAC)〉のネルシャツでも、サイズSとサイズMの値段が、全然違うっていうのは。「サイズが小さいから」っていう売り文句で売れる時代っていう。その辺は古着の世界には、まだ残ってますけどね。

阿部: 出ないよね、あの身体がでかい国(アメリカ)で、小さいサイズなんて 笑。それでSを探すのって、本当にすごいと思うよ。

栗原: 異様といえば、異様ですけどね、同じアイテムで値段違うっていうのも。。で、フライト(ジャケット)ですね。

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阿部: いいよね。

栗原: フライトも、ここ1~2年くらいで復活しましたよね。若い女の子から人気出てきたような感じですけど。

今野: 80~90年代のアイコン的存在のアイテムですよね。

栗原: 長らくこんな形の悪いもの着れない、って言われてたんですけどね、さっきのリバースと一緒で。

阿部: これはいつ買ったの?

栗原: 去年ですね。

今野: いまだにこんなの出てくるんだ?

栗原: 一枚だけあったんですよ。僕がいつも掘ってる軍物の倉庫で一部屋だけ、ベトナム戦争時のクラッカーとか、レーションが置いている場所があったんですけど、誰もそんなところ見ないんですよ。ネズミにかじられた痕とかあるし。そんな場所で、ふと上の方を見たらブルーの袖が見えて、よじ登って見てみたらこれだったんですよね。

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今野: 笑。引きが強いなー。

栗原: 80年代ぐらいの値札が付いてて「WORLD WARⅡJACKET ●●$」って書いてあって。おそらく、30年ぐらい放置されてたものだと思います。そういうのを私物にできるのは役得ですね。日本だと、ファッションの流行り廃りで値段が変動しますけど、アメリカだと、例えばフライトジャケットとかハワイアンとか、一回値段が上がったらもうそのままなんですよね。

阿部: へー。このへんは、やっぱりコレクターが手放すことが多いのかな?

栗原: そうですね。海外のコレクタブルのマーケットだと、基本的には「着る」アイテムではないですよね。ただこの「L-2A」は中綿がないだけ「MA-1」よりはまだ着やすいアイテムだとは思いますね。あと思うのは、新品で形のいいものが世の中にはたくさんある中で、どこか野暮ったい"オリジナル"のアイテムを、着こなしひとつでオシャレにもっていくっていうのも、古着の楽しみ方の一つなのかなと思います。

阿部: こういうのって、サイズ大きいのって出る? あんまり見ない気がするんだけど。。

栗原: 確かにあんまりないですね。

今野: この時の染料のせいなのか、綺麗な焼け方をするよね。綺麗なナス紺になるというか。

栗原: 僕もこの年代のフライトジャケットはそんなに詳しくないんですけど、「L-2A」でも、これはリブの退色が他のメーカーより具合がいい、みたいなのがマニアの間ではあるらしいですけどね。

阿部: へぇー。もう変態だね 笑。

今野: ミリタリーマニアの方は、ヤバイですよね。。

栗原: まぁ、ファッションとして楽しむのもよし、阿部さんのバンダナのようにコレクタブルにしてもいいし、楽しみ方はどちらでもいいと思いますね。

阿部: でも、着るなら今だよね。ちなみにこれ、日本で買ったらどれくらいするの?

栗原: ジッパーが壊れてたんで自分で直したんですけど、おそらく、、6万くらいじゃないですかね。90年代に比べたら、だいぶ買いやすいですけどね。

今野: いやー、あのときは何だったんだろうね??

阿部: もうない、もうないってね。

今野: デニムも異常だったよね。年末に家の掃除をしてて、昔の雑誌見てみたら、セカンドに20万とか平気でつけてたもんなぁ。

栗原: そうですね。色スッカスカでも10万切らなかったですもんね。ただ、XXとかで程度のいいものは、当時より今の方が高かったりしますからね。

阿部: あーそうなんだ。でも、数が少なくなってきてるもんね。そういえば、なんで「Tバック」(注:戦前から1952年頃に製造されたリーバイスのデニムジャケット、通称"ファースト"の中でも、大きいサイズのために生地が足りなくなり、後ろ身頃が割れて切り替えが入っているもの)があんなに高くなったのかな?

栗原: それは某店の店長さんの影響じゃないですかね 笑。

今野: あとは、当時も44インチ以上とかってあんまり作ってなかったんじゃないですか。

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栗原: 革だったら、一枚革の方がいいっていうのがあるじゃないですか。だから本来はあまりよくないとされるディテールなんですけどね。ただ、他にあまりない仕様だからっていう理由で高くなったりはしますよね。

阿部: セカンドは大きくても、あんまり高くないよね?

栗原: セカンドは、"はぎ"が入ってる方が、ダメとされてるんじゃないですか?

今野: でも、地方に行くと「Tバック」の影響なのか、セカンドでも脇はぎがある42インチ以上のもので高い値段つけてるやつ見ましたよ。40インチの濃い色よりも、42インチオーバーの薄い色の方が高かったですね。

阿部: ファーストとセカンドって、着丈って違うんだっけ?

今野: セカンドの方が短いですね。一度、何枚か揃ってるときに、並べて比べてみたんですよ。あと、セカンドは身幅もありますね。

阿部: 短くて、太いっていう感じだね。

今野: 当時の流行なんですかね。

栗原: それもあると思うんですけど、あとは、戦後で景気が良くて、みんなどんどん体格が良くなってきたっていうのもあると思いますね。やっぱり古いものはサイズ小さいものが多いですし。。

ーといったところで、栗原さんは終了。次は今野さん編です。

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