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普遍性を増すSTABILIZER GNZ --デニム作りの原点と現在--

2012.02.23

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〈スタビライザー ジーンズ〉が本気だ。昨年、ブランドは驚愕のサイズ展開とエクスクルーシヴ・デニム「本藍染めシリーズ」を突如スタートし、デニムブランドとしての存在をより確かなものとした。同アイテムを取り扱う南青山のヴィンテージショップ「アーカイブ&スタイル」代表、坂田真彦との対話を通して、今改めて、デザイナー 矢實朋のデニム観に迫る。

Photos_Yoichi Onoda
Edit_Ryo Komuta, Yohei Kawada

「古着に詳しければ詳しいほど、デニムは作れない」。
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―〈スタビライザー ジーンズ〉との出会いのきっかけは何だったのでしょうか?

坂田真彦(以下、坂田:敬称略):元々、矢實君のことは共通の知り合いを介して知っていて、それからブランドのことを知ったという感じです。

矢實朋(以下、矢實:敬称略):そうですね。僕がアーカイブ&スタイル(以下、A&S)のバイヤーの堀江さんとも仲が良くて、それでお互いに知っていましたね。

坂田:矢實君はパターンメイキングをやっているから、カジュアルだけじゃなくてスーツやドレスもよく知っているんです。でも、自分で最初に作るのがデニムと聞いて興味を持って、当時、始まったばかりの〈スタビライザー ジーンズ〉を扱っていた「ミスターハリウッド」や「&マーカス」といったショップで現物を見て、その存在を具体的に知っていったという感じですね。

―最初に〈スタビライザー ジーンズ〉のデニムを見た時の印象はいかがでしたか?

坂田:矢實君はうちの店によく遊びに来ていたし、さっき言った共通の知人というのも古着屋さんだったので、古着に対してすごく知識もあるわけですよ。でも、ジーンズというのは〈リーバイス〉〈リー〉、〈ラングラー〉といった、強力な手本となるようなブランドがあるから、古着に詳しければ詳しいほど作れなかったりするんですよ。

―普遍的なブランドばかりですもんね。

坂田:そうです。そのような意味では、〈スタビライザー〉は今挙げたような手本をなぞったレプリカとは違うし、少し前のプレミアムデニムやモダナイズを意識した、モード的な解釈でもない。なんというか、日本人的なファッションと古着の中間のようで面白いなと。さらに、こだわる所は縫製だったり素材だったり、ワークウェアなんかによく見られる不要な要素をうまくそぎ落として、シビアに作られているなという印象ですね。

―坂田さんがおっしゃられたモノづくりの部分についてはいかがですか?

矢實:そうですね、やっぱり敷かれたレールがあるというか、今までアメリカのブランドが作り上げてきたジーンズっていうのは、もはやルールみたいなものですから。その状況の中で、自分に何ができるのかというのは、作るタイミングで自分の中にありましたね。

坂田:うん、そうだよね。

矢實:ただ、自分も古着をたくさん見てきて、何故かは分からないんですけど、ジャストサイズの〈リーバイス〉だけが似合わなかったんですよ(笑)。だから、数多くある古着の中で唯一もの足りなかったのが、形のいいジーンズだったのかもしれません。

坂田:なるほどね。

矢實:そうなんです。だから、必要以上のものを作る必要なんてなかったと言いますか......ジーンズ以外のものは古着で事足りちゃいますから(笑)。とにかく単純に形のいいジーンズが欲しかったんですよね。

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―A&Sで〈スタビライザー ジーンズ〉を扱おうと思ったのはいつ頃だったのですか?

坂田:取り扱いがスタートしたのは昨年の11月末ですね。

―取り扱いアイテムはこの「本藍染めシリーズ」とデニムシャツが1型ということですね。

坂田:そうですね。古着と一緒に置いても良い距離感の関係性が作れるかと思っていますね。

―ヴィンテージショップでブランドのアイテムを取り扱うという部分についてはいかがでしょうか?

坂田:古着ってやっぱり1点しかないから、「これ大きいんで、ワンサイズ小さいやつください」みたいなことってできないじゃないですか。本当はそれぐらいデットストックがあればいいんですけど、それはなかなか難しい。だから、ひとつはお客さんのために、サイズのフォローを含め色んな意味で勧められるものがあればいいなという点はありましたね。ただ、デザイン性やシーズン性が高かったりするものでは厳しいですからね。そういった意味では、〈スタビライザー ジーンズ〉が持つ普遍性というのはすごく大事でしたね。

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