SPECIAL

「フイナム」が様々なブランドやヒトと
コラボレーションしたスペシャルサイトです。

CLOSE

HOUYHNHNM

FEATURE|古着サミット5 お馴染みの古着好事家4名によるトークセッション。アンプラグド延長戦!Exclusive Vintage Meeting

furugi5_1200

Exclusive Vintage Meeting

古着サミット5 お馴染みの古着好事家4名によるトークセッション。アンプラグド延長戦!

『アンプラグド Vol.5』で出張開催された、フイナム名物企画「古着サミット」。今回は誌面で紹介しきれなかったアイテムたちを特別に編んだ延長戦をお送りします。業界屈指の古着好事家として知られるお馴染みの面子、今野智弘、栗原道彦、藤原裕、阿部孝史の4名による熱きトークセッション、なんと取材時間はトータル6時間にまで及びました!この古着にかける4名の熱量、少しでも読者の皆さまに届けば幸いです。また、最後に古着サミットファンには堪らないトピックも用意しておりますので、すこーし長い記事ですが、どうぞ最後までお楽しみ下さい!それでは古着サミット延長戦、どうぞ!

  • Photo_Takeshi Kimura
  • Text_Shuhei Sato
  • Edit_Yosuke Ishii

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
今野智弘(写真左)
〈ネクサスセブン(NEXUSVII.)〉デザイナー。1977年生まれ。2001年 N.Yより〈ネクサスセブン〉を始動。自身が手掛ける〈ネクサスセブン〉の試験的直営店舗「ヴィーイーエル(V.E.L)」が5月1日にリニューアルオープン。私物のヴィンテージアーカイブは業界随一を誇る。
藤原裕(写真中左)
「ベルベルジン(Ber Ber Jin)」ディレクター。1977年生まれ。監修として携わった501XXのオフィシャルブック『THE 501XX® – A COLLECTION OF VINTAGE JEANS(ワールドフォトプレス刊)』が好評を得て5月1日に再発売決定。現在は次なる企画を検討中。
栗原道彦(写真中右)
ヴィンテージバイヤー。1977年生まれ。2011年よりフリーでの活動を開始。古着屋のみならず数々のセレクトショップやブランドからも絶大な信頼を得る、日本屈指のヴィンテージバイヤー。一年の約半分をアメリカで過ごすストイックなバイイングにリスペクトの声多数。
阿部孝史(写真右)
ビームス オンラインショップ スタッフ。1976年生まれ。これまで編集・ライターとしてメンズファッション誌に携わり、多くの古着関連の記事を扱ってきた知識人。現在は自社サイトなどでライティングなどを担当している。ヴィンテージバンダナのコレクターとしても有名。

第一講 今野智弘
何度も試行錯誤を重ねてスペックを高めていく過程がテストサンプルの魅力。

hurugi5_0412_9080

今野:では早速ですが延長戦を。まずは自分から少し変わり種のMA-1を2着ほど用意しました。

藤原:この黒いMA-1、すごい色ですね。

今野:元々は黒のMA-1だったものが、おそらくこのロットの物は黒の生地の生産が追いつかなかったのか部分的にオリーブの生地を上から黒く染めたものを使用したのではないかなと思います。

hurugi5_0412_9158

阿部:あまり見かけないけど、数はあるものなの?

今野:いえ、年代は旧いものじゃありませんが、数はかなり少ないかと。自分はこれまで3着しか見たことがなくて、マイサイズではこれが初めてでした。

栗原:〈アルファ インダストリーズ〉のタグのデザインを見る限りは、80年代頃でしょうね。

今野:そう、ヴィンテージとして絶対的な価値があるわけじゃないんだけど、数は少ないし、こういった珍種は古着の醍醐味かもね。

藤原:もうひとつのMA-1はなんですか?

hurugi5_0412_9156

今野:これはおそらくテストサンプルだと思います。一番の特徴はビスロンファスナーが使われていること。個人的に同年代では、USネイビーに支給されていたN-1ジャケットの後継モデルの「A-1デッキジャケット」くらいでしか見たことがないんですよね。それがフライトに使われているっていうのも驚きで。

hurugi5_0412_9087

栗原:確かに見たことがないですね。

藤原:テストサンプルだと必ず白いタグなんですが、初期は大きいんですよ。モディファイドでも白いタグが付けられるのですが、サイズが小さいですし、襟が開かれていないので、タグの跡を見る限り、「MA-1」のテストサンプルで間違いないと思いますよ。

今野:テストサンプルのおもしろさは、何度も試行錯誤を重ねてスペックを高めていくという点にあると思いますね。物が本当に少ないというのももちろん大きな魅力ですが。

藤原:軍モノのなかでもテストサンプルは熱狂的なマニアが多くて値段が上がる一方なんですよね。特に人気の高いフライトジャケットなんかは、100万を超えることもありますよ。間違いなく貴重なアイテムですね。

hurugi5_0412_9162

今野:次は昔から集めているものですが、カラーフロッキーのスウェットです。最近は1つのジャンルとして確立されてきていますよね。

阿部:確かにそうだね。集めている人も多いし。

今野:今の時代にカラーフロッキーって作るのが大変なんですよ。国内でも作れる場所がドンドン無くなってきているんです。

藤原:どうやって作るんですか?

今野:今はシート状のものでフロッキー風なんだけど、当時は電着という手法を用いていて。ベースに糊を塗って、そこに帯電しやすい細かな繊維を静電気で立たせているんだよ。

栗原:砂鉄みたいなイメージですか?

今野:そう、まさにそんな感じだね。そこから着色していくんだけど、一枚一枚フリーハンドでエアブラシで着色している場合もあればステンシルみたいな版を当てて、スプレーを使っていたところもあったみたい。

阿部:これらはどこで買ったの?

今野:このスパルタンのプリントは、原宿の「ボストック」ですね。コレクターの人が大量に持ち込んだそうで、20枚くらいあった中からこの1枚を選びました。もう1枚は、千葉の「ホワイト ヘッド イーグル」で。先輩が当時働いていて、『お前が好きそうなスウェットがあるから取り置きしておくよ』って言われたから、取りに行ったら、こんなハードなプリントだったんですよ(笑)

hurugi5_0412_9146

栗原:でもこれはかなり珍しいですよ。初めて見ました。

今野:カラーフロッキーってほとんどがカレッジものだよね。いろいろと集めていくと色や文字だけを変えて、使いまわされているキャラなんかが分かってくるんだよね。自分の中ではカンザス大学のオウムが一番多いイメージですね。

栗原:それかウィスコンシンのアライグマですかね(笑)

阿部:しかしカラーフロッキーも価格が高騰しているよね。いまって黒ボディだと3万5000円くらいするし。

栗原:最近はそれくらいしちゃいますね。適正価格だと思いますよ。

hurugi5_0412_9163

今野:次のミリタリージャケットは栗ちゃんに検証してもらいたいんだよね。購入先のオーナーがミリタリーディーラーの倉庫で見つけたみたいだから、軍モノであることは間違いないとは思うんだけど。個人的に生地の組織も考慮してサブマリン系なのかなと思っているんだけどね。素材や襟の形状を見ると30年代くらいかな?

栗原:おそらく30年代くらいのものだと思います。パッと見たときは、今野さんが言うようにサブリマンか、プリズナーのどちらかだろうと思いました。ただモノの作りを見ると、裏地もしっかり使って出来がいいですし、プリズナーの線はうすいかと。

今野:そうだよね、プリズナーのメルトンだとだいたい一重仕立てだよね。でも前に栗ちゃんが大量に出したツイルでチェンジボタンのカバーオールは、プリズナーだけど裏地があったよね。

栗原:ただこれに関しては、形が良過ぎるのでプリズナーではなくサブマリンの可能性が高いと思いますよ。

hurugi5_0412_9120

阿部:いくらくらいで買ったの?

今野:8万くらいですね。ウールのコートにこの値段か~とけっこう迷ったんですけどね。

藤原:ここまで情報がないとなかなか判断が難しいですよね。この手のアイテムは。

今野:そう、付けるところは高額だけど、安くポッと出てきそうな気もするよね。

hurugi5_0412_9161

今野:それでは最後。この流れでいくと、ちょっとパンチが足りない気もするけど(笑)

藤原:いや、見たことないから大丈夫ですよ(笑)

阿部:これはどういうものなの?

今野:〈インバーアラン〉なんですが、こういうパーツ(フックボタン)のチロリアンセーターを探していて。いま新品でこの手のパーツを探すとないんですよね。しかも変な柄のものが多くて、もっとシンプルなものがないかなと思った時にちょうど見つけたんです。〈インバーアラン〉というのもあって購入しました。

hurugi5_0412_9159

阿部:どこで買ったの?

今野:これは下北沢ですね。7800円くらいで高いものではないんですが、こういうニットって探すとレディース物ばかりで、メンズって意外とないんですよね。

藤原:何年代くらいのものなんですか?

栗原:〈インバーアラン〉は基本的にタグが変わらないから、年代の判別が難しいよね。

藤原:アメリカに買い付けに行ってもほとんど見ないよね。

栗原:確かに数千枚に1枚って確率かもね。

今野:それと、このニットの気に入っている点は、派手な柄物ではなく、ソリッドな柄で落ち着いた色味のところですかね。

阿部:確かにこの手のニットは柄物が多いよね。

今野: これで〈インバーアラン〉らしいケーブルニットとかだったら完璧なんですけどね。またゆっくり探します(笑)

次のページでは、「ベルベルジン」藤原裕氏の私物をご紹介します。
Page Top