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FEATURE|HARAJUKU IS NOT DEAD. 原宿DNA。

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HARAJUKU IS NOT DEAD.

原宿DNA。

「不況の煽りを受けて、いま服が売れなくなっている」。そんな話題を至るところで耳にする。でも、果たしてそれは本当なのだろうか? ファッションの聖地である原宿には、たくさんの人たちが行き来し、いまもなお新しいカルチャーが生まれている。刺激に満ち、活気に溢れる原宿。その盛り上がりをいま、今年オープンしたばかりショップが担っている。それが「オフショア(offshore)」と「ファン(FAN)」だ。この2つのお店は“原宿”の文化をどう捉え、時代に合わせてどのようにアウトプットしているのか? 両店のディレクターはそれぞれ、原宿という街を長年見てきた人物。そのふたりに、原宿という街の変遷、そしてこれからについて語ってもらった。

  • Photo_Fumihiko Ikemoto
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Yosuke Ishii

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原宿のミックスカルチャーを体現するショップ「offshore」。

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裏原宿にあるキャットストリートのさらに裏側、住宅がひしめく閑静な場所に「オフショア( offshore)」はある。ショップ名には“沖合い”や“離れた場所”というような意味が含まれる。その言葉をなぞるように、このお店はちょっと隠れ家的な佇まいがある。内装も無機質でクリーン。でもそこに置いていある商品の濃さは店構えと反比例する。そのコントラストがこのショップの魅力でもある。〈フラッグスタフ(F-LAGSTUF-F)〉や〈tr.4 サスペンション(tr.4 suspension)〉、〈ディアスポラスケートボード(Diaspora Skateboards)〉といったブランドに、テーマ性のある古着を混ぜて商品を展開している。一見するとチグハグなセレクトに見えるかもしれない。デザイナーの年代や、提案する服のテイストもバラバラだ。でも、そこにはしっかりとディレクターの意図や想いが込められている。

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ぼくたちが憧れてきた原宿の姿。例えば村上 淳さんが関わる〈tr.4 サスペンション〉や〈メイド イン GM ジャパン(MADE IN GM JAPAN)〉なんかはそれを体現するブランドです。そこに〈ディアスポラスケートボード〉などの新時代のブランドも混ぜて展開する。このブランドは映像や音楽制作もしているし、これから日本のストリートシーンを担う人たちがつくっているんです。そうやって、いまと昔を混ぜてコントラストを生む。そうすることで他にはない、新しい提案ができると思うんです。いまはもう少ないけど、昔の原宿にはそんなお店がたくさんありました。ミックスカルチャーこそ原宿の真髄だと思うんです」

そう語ってくれたのは、このお店のディレクターである的場良平さん。彼は「LABORATORY/BERBERJIN®」のスタッフとしても知られる人物だ。

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店の一角に並んだ〈tr.4 サスペンション〉と〈メイド イン GM ジャパン〉。どちらも原宿の先輩、村上淳氏が手がけるブランドだ

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新世代のスケートボードクルーとして注目を集める〈ディアスポラスケートボード〉のアパレルも揃える

12年間、原宿のど真ん中で古着と新品を扱うお店で働いてきました。そのお店は内装も商品もすごく濃いものだらけだし、それとおなじようなことをココでやってもしょうがない。「オフショア」でしかできないことをやらないと意味がないんです。だから古着もマルジェラがデザイナーを勤めていた時代の〈エルメス(HERMES)〉などを置いて、少し変わったラインナップにしています。今年の冬には〈ディオール オム(Dior HOMME〉のアーカイブも集める予定です。ぼくたちはこういった古着を“スパイス”と呼んでいるんですが、これがあるから新品ブランドも引き立って味わい深くなりますよね」

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マルジェラ期の〈エルメス〉だけにこだわって厳選。「オフショア」の良いスパイスになっている

このお店の特徴はそれだけじゃない。ショップに隣接したコーヒーショップも展開している。

買い物の休憩に原宿の喧噪からすこしだけ離れて、一息コーヒーを飲みに来るだけでもいい。そうゆう消費活動はオンラインじゃできないですから。そこでスタッフとコミュニケーションを取りながら、情報交換をしてほしいです。ここではカレーパンも売っています。原宿では知らない人はいない「オンデン」というカレー屋さんのおばちゃんに特別につくってもらっているんです。このパンも原宿ならではのもの。新しい名物にしたいと思ってます」

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憩いの場を提供する「offshore COFFEE STAND」。名物は原宿の伝説のカレー屋「オンデン」とコラボレーションしたサンドウィッチ!

東京出身の的場さんは昔から原宿に憧れ、「LABORATORY/BERBERJIN®」で働く前からこの街に魅了され続けている。すごく恐い、けれどかっこいい。そんな先輩たちの後ろ姿を追いかけながら、原宿のあらゆる姿を見てきた。今度はそれを自分から発信する立場にあると話す。

原宿にくればなにかがある。そんなワクワクした気持ちを常に持ち続けていました。だけどその気持ちがだんだん薄れてきたんです。それは、ぼくたちが求めるものと時代が生み出すもののあいだにズレが生じているから。それならば、今度は自分たちでワクワクをつくるしかない。ネットが普及して情報があふれて、よくも悪くもファッションをライトに楽しめるようになったけど、やっぱりそれじゃあ満足できないですよね。このお店を通じて、自分の足を使って服を探す楽しさをもっと発信していきたいと思っています」

いまはSNSを通じてさまざまなスタイルが情報として溢れ、それを簡単に真似することができる時代。そうなってしまったのは消費者の問題ではなくて、お店側の問題であると的場さんは真剣な表情で語る。

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高いお金を払ってまで服を買いたくない。そんな若い世代の人たちが増えてきているのは事実です。でも、その気持ちを乗り越えて、やっぱりファッションって楽しい、と思わせる実力。それをぼくたちは持っています。実際にぼくはファッションを享受して、この原宿で服を買ってきた世代ですから。自分たちがこの街で得たものを自分「オフショア」では毎日のようにお店のレイアウトを変えて色んな角度から服を見せているし、ぼくたちがリスペクトしているブランド、アーティスト、クリエーターとやりとりをして、スピーディーに新しい服をつくっています。そういったクイックな動きは大手のショップじゃできないですよね。この規模のお店だからこそできることをどんどん仕掛けていくつもりです」

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デビューコレクションから見てきた 盟友〈フラッグスタフ〉は看板ブランドの一つ

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アートを展示するようにディスプレイされた1点もののヴィンテージTシャツ。フォトTからグラフィックTまで種類も様々

服が売れない」と嘆くだけではダメで、“売れるための仕組み”をショップがつくる。それを若い世代の人たちに見て欲しいと言う。

いまぼくは「LABORATORY/BERBERJIN®」というお店に立ちながら、「オフショア」のディレクションもやっています。気持ちさえあれば、自分のお店を持つことができるんです。これからの時代、ダブルワークなんて当たり前になってくると思う。その姿を若い人たちに見て欲しい。それで自分のやりたいこと、ユニークなことをどんどん仕掛けていって欲しいんです。ぼくにとって原宿はファッションの街だし、それをもっと一緒に盛り上げていきたい。情報が洗練されて、オンラインが盛り上がって、街にあるお店の活気がなくなる。そんなの本末転倒じゃないですか。「オフショア」を通して、実店舗の魅力、アナログの良さを伝えていきたいですね。ここではコーヒーが飲めるし、自分たちが自信を持っておすすめする服がある。まずはそれを確かめに来てください。損はさせないです」

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的場良平 / offshore ディレクター
1984年生まれ、東京都出身。文化服装学院を卒業後、「LABORATORY/BERBERJIN®」の前身である「BERBERIN®」でショップスタッフとして働きはじめ、以来13年原宿のシーンを中心から見てきた。満を持して今年の3月に自身がオーナーを務める「オフショア(offshore)」をオープンさせる。

offshore」を形成する3つのフィロソフィー。

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PHILOSOPHY OF offshore_01 「NIRVANA」

ぼくが大きく影響を受けたバンドです。ヴィジュアル、サウンド、音楽に対するアティチュード、すべてがかっこいい。そして、バンドがなくなったいまでもなお、色んな人に影響を与え続けている。そういったバンド像は「オフショア」にも反映させています。実はショップのロゴにその秘密が隠されているんですが、それは是非お店に来てスタッフに尋ねてみてください」

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PHILOSOPHY OF offshore_02 「90’s URAHARAJUKU」

このパンツは裏原宿を代表するブランドである〈シャンティ(SHANTii)〉のもの。ぼくの私物です。このブランドを手掛けていた村上淳さんは「オフショア」でもお世話になっていて、店内には現在村上さんが携わっている〈tr.4 サスペンション〉や〈メイド イン GM ジャパン〉のアイテムはもちろん、私物の展示もしています。村上さんをはじめとするさまざまな先輩方がつくってきた原宿のカルチャー。それをこのお店でも体現しています」

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PHILOSOPHY OF offshore_03 「ART」

これはFunny Dress-up Labというアーティストの作品で、貼られているのはすべてタミヤのミニ四駆のステッカーです。ぼくはアートが好きで、おなじようにアート好きのお客さんにもこのお店に来て欲しいという願いから、店内にはこの作品に限らず写真やグラフィックなどのアート作品を展示しています。アンディー・ウォーホルがヴェルベットアンダーグラウンドのジャケットを手掛けていたように、アートと音楽は表裏一体だし、ファッションも同様にその2つの要素とは切っても切れない関係にあるとぼくは思います」

フイナムが見た「オフショア」という存在。

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インディペンデントなショップ。そういう印象を「オフショア」からは受けた。大衆に流されず、流行にとらわれず、自分たちのやりたいこと、カッコいいと思うことを、高次元で実現し表現しているからだ。それをしっかりとお客さんに届けようとする気持ち、それを的場さんは持っている。彼が「実店舗の魅力、アナログの良さを伝えたい」と語っていたように、“お客さんに届けたい”という意志がしっかりと「オフショア」にはあるからだ。一方通行にはならないコミュニケーション。お店に足を運べば、ファッションはもちろん、アートや音楽、そして原宿という街の魅力をしっかりと伝えてくれるだろう。

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住所:東京都渋谷区神宮前3-14-17 1F A/B
電話:03-3470-6877
営業時間:11:00~20:00
www.offshore-tokyo.com

次のページではセレクトショップ「FAN」のディレクター・森俊輔さんを通して今の原宿に迫ります。
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