SPECIAL

「フイナム」が様々なブランドやヒトと
コラボレーションしたスペシャルサイトです。

CLOSE

HOUYHNHNM

FEATURE|HARAJUKU IS NOT DEAD. 原宿DNA。

初期衝動的ファッションを提唱する「FAN」というショップ。

0615_harajuku_dna_p2_01

スタイリストやフリーランスPRなどマルチな活動を見せ、フイナムブログでもおなじみの存在である森俊輔さんがディレクターを務めるショップ「ファン(FAN)」。先程紹介した「オフショア」が“裏・裏原宿”にお店を構えていたのに対して、「ファン」は裏原宿のど真ん中に立地している。拓けた店内空間には、〈オールモストブラック(ALLMOSTBLACK)〉や〈アクロニウム(ACRONYM)〉といった前衛的なブランドに加え、〈アナトミカ(ANATOMICA)〉や〈ネメン(NemeN)〉などのクラシックなデザインが光るブランドも展開している。

0615_harajuku_dna_p2_02

「売れそうだから」とか、「いま人気だから」といった理由で ぼくたちは買い付けをしていません。ここに集めているのは、自分たちが憧れを抱いているブランドのアイテムです。なんかわからないけど惹き付けられる、高価だけど是が非でも手に入れたい、そう思える服をここに揃えています。というのも、昔のセレクトショップはそういう服しか置いてなかったんですよ。だから足繁く通ったし、ファッションを楽しいと思えた。「ファン」もそういうお店にしたいんです」

言葉に熱を込めて森さんがそう語る。手に取った瞬間に電撃が走るような服。そんな初期衝動を森さんは大事にしている。

0615_harajuku_dna_p2_03

カート・コバーンが着用していたパジャマをモチーフにレーヨン素材で仕立てた〈now × sho kurashina〉の新作

0615_harajuku_dna_p2_04

個性的なブランドが多く並ぶ「ファン」の中でも一際異彩を放つ〈オールモストブラック〉。こちらは別注したビッグシルエットのカットソー

2000年代初頭ですかね、当時ぼくは大学生で、毎日のように原宿にきてました。自由なんですよ、この街は。渋谷とか新宿では浮いちゃうようなファッションも原宿なら許された。だから目立つ人が多かったし、そういう人を見ながら「うわぁ、すげぇ!」って思っていたんです。服屋に関してもそう。どのお店もオリジナリティーのある提案をしていたし、いろんなジャンルがごちゃ混ぜになったショップもありました。それがぼくの目にはカッコよく映ったんです」

森さんの目に映ったかつての原宿。そこは多様性に溢れ、さまざまなスタイルが存在する世界だった。

0615_harajuku_dna_p2_05

〈アクロニウム〉や〈ネメン〉が並ぶラックの横にはストリートな着こなしのトルソーが。このミックス感覚こそが「ファン」の真骨頂

当時の原宿を歩く人たちがそうであったように、人とおなじ服を着ないことが、ぼくにとってのひとつのアイデンティティーでした。「その服どこの?」とか「それやばいね!」って言われるのがうれしかったし誇りだったんです。でも、きっといまの時代ってそういう会話が減っていると思う。みんなおなじ服を着ているし、着こなし方もおなじですよね。だからこそ、ショップがユニークな提案をする必要がある。誰も知らないようなブランドを仕入れて驚きを与えたいと思っています」

そういったブランドに加えて、「ファン」では同様に古着も取り扱っている。

スタイルを新品だけで構成するよりも、古着が混ざってたほうが深みが出るし、ぼく自身、そういった着こなしをしていると「いいね」と言ってもらえることが多いんです。一辺倒な着こなしをしたくないという天邪鬼な考えもあるんですけど(笑)。「ファン」ではヴィンテージもあるし、レギュラーの古着も揃えています。普段古着を着ないような人でも、このお店がその入り口になったらいいなと思うんです」

0615_harajuku_dna_p2_06

気鋭のブランドが並ぶ一方で、オーセンティックなレギュラー古着も揃える。こちらはアメトラ定番のB.D.シャツたち

0615_harajuku_dna_p2_07

90年代以降のスケートTに注目。〈ブラインド〉や〈エイリアンワークショップ〉など懐かしい銘柄がずらり

一辺倒な着こなしをしたくないという森さんの言葉にあるように、ジャンルという隔たりを壊して自由にファッションを表現する。それが原宿という街のアイデンティティーであり、「ファン」を通して森さんが伝えたいことのひとつでもあるのだ。

いまって“ジャンル”という言葉に縛られる人が多い。でもぼくは思うんです、「ジャンルってなに?って。ぼくらは服に対して偏見なく、もっとフラットに見ているんです。例えば〈アナトミカ〉の服をストリートスタイルに落し込んだりするし、モードに合わせてもいい。そうやって自由な着こなし方を「ファン」では伝えるようにしています」

0615_harajuku_dna_p2_08

その“伝え方”にも、隆盛を極めた原宿を通過してきた森さんならではのこだわりがある。最後に森さんはこんなことを話してくれた。

いまはオンラインの時代ですよね。情報を集めようと思えばいくらでも拾うことができるし、簡単に買い物もできる。でもぼくたちはそういうツールに頼りたくない。だって、そんなことしてたらわざわざお店をオープンさせた意味がないじゃないですか。もちろん必要なことはやるつもりではいます。でも、それはあくまで最低限。ぼくらの気持ちはこの実店舗にあるんです。そのためにユニークで個性のあるスタッフを揃えました。昔のお店って名物スタッフと呼ばれる人たちがいたじゃないですか。もちろん、現代にもそういった人たちはいると思うんですけど、もっともっと個性があっていいと思う。うちのスタッフはみんなファッションに対して一家言を持っているし、それを上手に伝える術もある。ネットには落ちていない知識も彼らは知っていますし、いうなればウンチクおじさんみたいなもんですね(笑)。お店に来てスタッフと話すというのも、買い物をする上での醍醐味。すごくアナログなことなんですけど、ぼくらはそれを大事にしたいと思っています」

0615_harajuku_dna_p2_09

森俊輔 / FAN ディレクター
1987年生まれ、新潟県出身。大学生時代より原宿のセレクトショップで販売員として働きはじめ、その後アパレルの企画・生産やPRなどの仕事に携わる。2015年に独立し、フリーランスとしてブランドのPRやディレクションに関わる一方、スタイリストとしても活動するなど多岐にわたって活躍。今年の3月にセレクトショップ「ファン(FAN)」をオープン。

FAN」を形成する3つのフィロソフィー。

0615_harajuku_dna_p2_10

PHILOSOPHY OF FAN_01 「STAFF」

このお店をつくろうと思ったとき、かっこよくて、接客が上手で、人間的に魅力のある人をスタッフにしたいという気持ちがありました。そんなときに声を掛けたのが、 元は別のショップのディレクターだった伊藤くん(右)。バランス感覚に優れた人で、お客さんとの距離の取り方も上手。それにスタイルもカッコいいんです。実はラッパーで、ライブをしたりしています。一方の坂本くん(左)は、もともと古着屋の出身だから知識も豊富。うちにある古着は彼が仕入れています。とはいえ、新品も古着も偏見なく見れて、筋の通ったスタイルを提案してくれます」

0615_harajuku_dna_p2_11

PHILOSOPHY OF FAN_02 「ROMAN」

やっぱり、ファッションってロマンだと思うんです。さっきも話したように、無条件で惹かれる服をぼくは着たい。うちにある服だと〈オールモストブラック〉や〈アクロニウム〉がそうですね。これどうやって着よう? って考える前にレジに持って行ってちゃったり、たとえ値段が高くても着たい欲が勝っちゃうような、そんな魔力のある服を「ファン」では置くようにしています」

0615_harajuku_dna_p2_12

PHILOSOPHY OF FAN_03 「GENUINE ARTICLE」

ロマンのある服をメインで取り扱う一方で、いつの時代も色褪せないタイムレスな服もうちにはあります。そういったアイテムをぼくたちは“本物”と称しています。例えば〈アナトミカ〉であったり〈ネメン〉、ヴィンテージの〈リーバイス®〉なんかがそうですね。とにかく一辺倒にはなりたくない。“ロマン”と“本物”を組み合わせて、幅広く自由な提案をしていこうと思っています」

フイナム的「ファン」への所感。

0615_harajuku_dna_p2_13

森さんは素直で天邪鬼な人だ。そのふたつは相反する性質だが、森さんの話を聞いていると、それは表裏一体なのかもしれないと思うようになった。かっこいいと思ったものに対してまるで子供のような反応を見せたかと思えば、トレンドに対しては素直に消化せず、斜めからそれを眺めている。真似事にはアンチを唱え自分のオリジナルを追求する。「ファン」はそんな森さんの姿勢を映し出したショップだ。彼が冒頭で語っていたように“売れる”というセレクトはされていない。だからこそユニークだし、唯一無二の存在感を放っている。均一な服、均一なスタイル、均一な提案がなされている現代のファッションシーンにおいて、「ファン」は稀有な存在といっても過言ではない。

FAN
住所:東京都渋谷区神宮前3-22-1 神宮前スクエア102
電話:03-6447-4566
営業時間:12:00~20:00
定休日:不定休
instagram.com/fan_harajuku

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Page Top