37歳のデイトリッパー
2013.07.15
7月15日 晴れ

久しぶりに海にいく。
何も考えなくて良い時間はとても快適だった。
海にいったって事より、東京を少しの間でも離れたって事が良かったのかも。
『32歳のデイトリッパー』
「ねぇ、もう一度十八に戻りたいって思う?」と彼女が僕に訊ねる。
「いや」と僕は答える。「戻りたくなんかないな」
彼女は僕の答がうまく理解できないようだった。
「戻りたくないって......本当に?」
「もちろん」
「どうして?」
「今のままでいいからさ」
彼女はテーブルに頬杖をついて考えこみ、考えこみながらコーヒー・カップの中でスプーンをかちゃかちゃとまわした。
「信じられないな」
「信じたほうがいいよ」
「でも若い方が素敵じゃない」
「たぶんね」
「じゃあどうして今の方がいいの?」
「一度で十分だからさ」
「私はまだ十分じゃないな」
「だって君はまだ十八だもの」