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オノ セイゲン空間デザイナー/ミュージシャン録音エンジニアとして、82年の「坂本龍一/戦場のメリークリスマス」にはじまり、多数のアー ティストのプロジェクトに参加。87年に川久保玲から「洋服が奇麗に見えるような音楽を」という依頼により作曲、制作した『COMME des GARCONS / SEIGEN ONO』ほか多数のアルバムを発表。Photo by Lieko Shiga

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オノ セイゲン
空間デザイナー/ミュージシャン

録音エンジニアとして、82年の「坂本龍一/戦場のメリークリスマス」にはじまり、多数のアー ティストのプロジェクトに参加。87年に川久保玲から「洋服が奇麗に見えるような音楽を」という依頼により作曲、制作した『COMME des GARCONS / SEIGEN ONO』ほか多数のアルバムを発表。

Photo by Lieko Shiga

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TOEICの点数より重要/英語のボキャブラリー

2011.01.14

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コミュニケーションで一番大切なことは何ですか?

それは相手に自分の目的を理解してもらうことである。そして相手のことを理解することも。この当たり前のことが、以外にできない。

例えば、TOEICで800点数とることよりも、より重要なことがある。英語圏でない相手にさえも、共通言語としての英語、そのボキャブラリーを厳選して、目的を遂げられなければ、仕事をしていないのと同じである。気持ちが伝わる=これでは充分ではなくて、目的を最短距離でなしとげることが求められる。

 

国際社会において日本人の弱点:

①「(そこまで言われなくとも子供じゃあるまいし)相手は判ってくれるであろう」という推測。

②「遠慮」という概念。

③ 最近とりわけ美化されてきた「おもてなしの心」

 

 日本人の弱点と書いたが、①②③を理解できる一部の外国人から見れば、それは日本人の美しいところであり、イコール日本人の長所である。「おもてなしの心」なんか「日本の技術」でもあるとも言える。しかし現実には、外国人一般、つまりほとんどの外国人には理解されない。機内食のような「ギトギト照り焼きソース」これこそ、ほとんどの外国人の知るジャパニーズフードである。(京都へ行こうなんて、ヌーベルクイジーン、スローフードを唱える一部のフランス人、イタリア人だけ。)

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「NYCのタクシードライバー」

 イエローキャブで有名なNYCのタクシードライバー。海外出張でJFK国際空港に降り立ち、乗り場でカードを受け取り、自分の番が来てタクシーに乗り込むと、なにやらいい感じでFMが流れてる。
 私が「hi, wanna go to downtown, village. King street between Hudson and Verick, please. You understand?」ドライバーのおっさん、無線でしゃべってるんだけど、あかん、こいつ英語ではないぞ。同じ経験がある人も居ると思う。それで?
Driver:「ウエーアーフロン?」
Seigen(ゆっくりはっきり):「じゃパーン、トウキョー」
D: 「おー、ジャパニー、グッー。トヨータ、ソニー、チャイナー、スシー。グッー。アイ フロン バングラデッッシュ。ツーウィークアゴー。」
2週間前にバングラデシュから着いたばっかりで、なんでこいつがタクシードライバーができんねん?と思いつつ。ライセンスは本物のようだ。でもこいつ、もしかして道も知らんぞーと覚悟を決め。
S:「マンハッタン。ダウンタウン。オッケー?」
D:「ドユウォンゴーマンハタン?」
S:「オーヤ。レッツゴー」
D:「エンパイアスービルデン?ウェー?シックサヴェヌゥ?」
S:「Here, Verick is below 7th Avenue.」住所を書いたメモを渡す。
D:「オー、ダウンタン。⌘★♡!■∀∨T'?≠¶§∞¢£†√d???」バングラデシュ語か?わけのわからない言葉。それでも自分の仲間のオフィスと会話しているのであろう、無線ナビのおかげで、とにかく近くまで来た。ここからは大げさな身振り手振りを交えて、
S:「ィエス!ストレイト。」「ネクストコーナー、ユー、ターンライト!」

 ここで重要なのは、できる限りシンプルなボキャブラリー、単語だけでもよい。一言づつゆっくりと伝える。アメリカ人の中にはスペイン語や中国語しかできない人も大勢いるわけで、この国は英語圏でありながら、その文化背景、個人個人の経験がここまで違うわけだから、①「(そこまで言われなくとも子供じゃあるまいし)相手は判ってくれるであろう」という発想はない。自分の目的が伝えられない限りタクシーにも乗れない、買いものもできない。こういう場面で、同じアジア人でも中国人は強い。記したようなカタカナ英語どころか、鼻っから自分の言語、中国語でまくしたてる。そこには②「遠慮」という概念は、もちろんない。最近、中国人買いもの観光客のおかげで秋葉原とか買占め商品もあるようで、これはこれで日本の景気のためにはよい。ただし、彼ら、日本だから行列に並ぶとか、日本語や英語で買いものしようなどという発想はない。マナーを知らないのではなく、そんな概念がない。

 

 海外に日本を売り込む際に、③「おもてなしの心」とか、④最先端の技術、自慢すべき商品はいくらでもある。であるが、我々日本人が、(ほとんどの)外国人は①②の概念を持ち合わせてないということを知らずに交渉しようものなら、おいしい部分は、あっと言う間に相手か、競合第三国(ビジネスでは韓国、中国)にさっと持って行かれる。海外では「大阪のおばちゃん」くらいでちょうどいい。いや、それくらいがスタートラインであろう。「儲かってまっか?」「ぼちぼち、でんなぁ」英訳すると「Hi, how are you? everything OK?」「 Yes, I 'm very well. How a'you're doing!?」となる。しかもアメリカ式は、ちょっと大げさなハグがつく。常にポジティブシンキング。ゴーイングマイウェイやでー。

 

 もっともこれは、外国の場合だけでなく、日本でも見渡せばどこにでもある日本人の弱点である。ホウレンソウ(報告、連絡、相談)などと言われるが、レストランでも会社でも、ひとりひとり(あるいは事業部)のバックグラウンドやモチベーションが異なると、外から見ると同じ会社なのに、コミュニケーションがとれていない。それでも昔は、成り立っていた。日本だから。昔のやり方は通用しない。①②で営業成績が上がらない言い訳はできない。数字をたてて、有言実行で、自分の仕事に自信をもってはりきって行動すること。その行動力こそが③「おもてなしの心」につながる。景気回復にはこういう考え方も必用なのでは?

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