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オノ セイゲン空間デザイナー/ミュージシャン録音エンジニアとして、82年の「坂本龍一/戦場のメリークリスマス」にはじまり、多数のアー ティストのプロジェクトに参加。87年に川久保玲から「洋服が奇麗に見えるような音楽を」という依頼により作曲、制作した『COMME des GARCONS / SEIGEN ONO』ほか多数のアルバムを発表。Photo by Lieko Shiga

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オノ セイゲン
空間デザイナー/ミュージシャン

録音エンジニアとして、82年の「坂本龍一/戦場のメリークリスマス」にはじまり、多数のアー ティストのプロジェクトに参加。87年に川久保玲から「洋服が奇麗に見えるような音楽を」という依頼により作曲、制作した『COMME des GARCONS / SEIGEN ONO』ほか多数のアルバムを発表。

Photo by Lieko Shiga

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アンチョビ・パスタ

2011.02.04

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 「アンチョビ」とは「カタクチイワシ」のことで、世界中だいたいどこの海でも獲れる。 美味しいイワシが獲れる海は、そのあたりでそれを食べて育つ大きい魚も美味しい。秋にスペインか南イタリアのシチリアで獲れるのが最高。シチリアでは、漁師の奥さんたちが、ひときれづつさばいてアンチョビ・フィレができる。

 今日は朝から、うちの狭いキッチンで、その「アンチョビ」塩浸けを、手開きでフィレにおろしてオリーブ・オイルに浸け込んでいる。すごい手間なのだ。けど、一度この味をしめると止められないのだ、これが...。「5キロ入りの大きな缶」は日本では手に入らないので、イタリアかフランスに行った時にマーケットでみつけてくる。いっしょにパルミジャーノ・チーズ4キロ、パルマハム2キロ、そしてオリーブ・オイル5リットル、ドライポルチーニ500gとか。帰りの荷物はいつも食べ物だけでいっぱいになってしまう。できるならトマトやズッキーニなんかも持って帰りたいのだが。それにしてもイタリアの太陽とは、野菜やワインのためにだけあるようだ。

AnchovyPasta.jpg

写真は『太陽』(いい雑誌でした)より
ここをクリックで7日間だけダウンロードできます。 )

さてと...。

 まず缶を開ける。少しずつ塩をどけていくと、頭だけとった「アンチョビ」が、ぎゅーっと詰まっている。うっ~ん!かつお節のようないい香り......!海の香りだ...。塩のかたまりをとりながら、一匹ずつ親指で3枚におろす。背骨をはずして、内臓や背鰭、胸鰭なんかもとる。う~いい匂い〜。皮も、指でなでるようにしてとる。フィレはデリケートなので決してナイフなんか使ってはいけない。皮と塩をおとしたフィレを、ごく軽く水で流し、一枚ずつペーパータオルの上に並べて軽~く叩くようにして水気を切る。オリーブ・オイルを使う食材は、野菜でもなんでも、ここでよく水分をとっておかないと決していい味にならない。

 こうして自分の手で仕上げたアンチョビ・フィレは、そのままで冷たいスパゲッティーニにのせてオリーブ・オイル、もちろんトスカーナのエクストラ・ヴァージン・(コールド・プレッシャー・ノンフィルター)、まあ、お好みによって変えるんだけど...。オリーブ・オイルに絡めて、レモンをしぼって「すぐ」食べる。黒胡椒を軽くふるだけで、「キャビア・スパゲッティーニ」にも引けをとらない極上の味をだしてくれる。つまり。「アンチョビ」や「キャビア」とは「最高級の塩」である。

 「アンチョビ・パスタ」と書いたが、正確には「自家製アンチョビ・フィレをのせた冷たいスパゲティーニ」かな。油断できないのが、「スパゲティーニ」のゆで方と冷やし方。6分と書いてあったら5分でよい。アルデンテよりちょい硬めぐらいで熱湯からざるに移し、用意しておいた氷水をざあっーとかけて、水気を切り、オリーブ・オイルをさっとふって、うちわで扇ぎながら、さらに冷たく。3人前ならアルミ・ボールを2重にして、外側は氷水、内側にスパゲティーニとやると、手早く、そして美味しく仕上げられる。

 こうして「アンチョビ・フィレ」を作っておけば、お湯を沸かす時間プラス10分以内でテーブルに出せる料理なので、おなかペコペコで帰っ来てもすぐに食べられる。

 そして。自家製ルッコラ・サラダを添える。うちでは、冬でもルッコラを育てている。さっきの背骨や鰭はまとめて肥料にしてルッコラにあげる。あとは水と太陽が当たってれば、ルッコラ はどんどん育つ。美味しそうでしょ!?

Ruccola.jpg