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オノ セイゲン空間デザイナー/ミュージシャン録音エンジニアとして、82年の「坂本龍一/戦場のメリークリスマス」にはじまり、多数のアー ティストのプロジェクトに参加。87年に川久保玲から「洋服が奇麗に見えるような音楽を」という依頼により作曲、制作した『COMME des GARCONS / SEIGEN ONO』ほか多数のアルバムを発表。Photo by Lieko Shiga

RECORDING, SOUNDS and ENVIRONMENT

オノ セイゲン
空間デザイナー/ミュージシャン

録音エンジニアとして、82年の「坂本龍一/戦場のメリークリスマス」にはじまり、多数のアー ティストのプロジェクトに参加。87年に川久保玲から「洋服が奇麗に見えるような音楽を」という依頼により作曲、制作した『COMME des GARCONS / SEIGEN ONO』ほか多数のアルバムを発表。

Photo by Lieko Shiga

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You can SEE the sound!/音が見える(前半)

2011.02.18

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 地球上に現存する熱帯雨林の30%はブラジルに分布している。

 ブラジルと言えば、ボサノヴァ、MPBを代表とする音楽産業、あるいはサッカー。2014年にワールドカップ、2016年はオリンピックと世界が注目するイベントが続く。ブラジルの総面積は、日本の23倍。サンパウロ、リオ・デ・ジャネイロという経済の中心と、アマゾンでは社会背景が大きく異なる。ブラジル、ペルー、コロンビア、ベネズエラと9カ国にまたがるアマゾン川には、先住民族と手つかずの原生林が広がる。wikipediaによると「現在、ブラジルには、約220の先住民集団があり、そのうち30ほどは白人との接触がほとんど、あるいはまったくないまま孤立して暮らしている(ブラジルの高等学校教科書より)」となっている。今回尋ねたのはそのほんの入口。また、地球上に現存する熱帯雨林の30%はブラジルに分布していると。「持続可能な森林伐採」を促進する活動を通じて、非常に限られた範囲で進行中だそうだが、結果は思わしいものではない。

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 世界中の生物多様性の保護に取り組む専門家からなる最大のボランティアネットワークであるIUCN(国際自然保護連合)によると「約4万種類の動植物が絶滅のおそれのある種として登録されている。昨年「国際生物多様性年」で、10月に名古屋で開かれた「COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)」から発信されたニュースは「脊椎動物の5分の1が絶滅の危機である」と。生態系は破壊され、我々はその根絶のために莫大なコストを強いられている。熱帯雨林−とりわけアマゾンとインドネシア−の損失...」多くが失われて、同時にこの数年で1200種類の新種が発見されたというニュースもあった。

 実は、この変化は音でこそ正確に記録できる。

 熱帯雨林を例に挙げると、「そこ」に行ってみれば判るが、音の情報から、すごい数の鳥や虫、動物の存在が確認できる。とりわけ陽が昇る前の1時間と、陽が沈んだあとの2時間(マラリア蚊が出る時間帯)が重要。今までもジャングルの探検家やテレビドキュメンタリー・クルーが(PCMなど間引きされた音声情報ではあるが)世界中に届けてくれている。昨年、実際に私が920日のAM5時から1時間に聴き、5.6MHz DSDで収録できた種類の音(先住民は種類をぜんぶ聴き分けられる)は、5年後の同じ場所では聴こえないかもしれない。たいへん重要なことである。(後半に続く)

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地元の新聞の見出しは『アマゾンの音は永遠に(不死)』
抄訳:アマゾンの本質は「音の領域」をキャプチャーすることで「知る」ことができた。記者会見で現地のジャーナリスト、テレビ、ラジオ番組制作者、音楽プロデューサー、ソングライター、を招いて質疑応答付きのプレゼンテーションは好評であった。