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時代はミニマム。
2012.09.21
むかし所属していた事務所の社長や先輩方とひさしぶりに飲んだ。楽しい飲み会は深い時間まで続いただろうが、僕は最初の店でつぶれ近くの路地裏で目が覚めた。そんな酩酊状態であったから、勿論蔡さんのブログにある会話は覚えていない。
が、シラフで云わせて貰えば僕の考えは少々異なる。この前も書いたが現在アシスタントがいない。でも募集して来ないとか、近頃の若者は、というのでなく、個人的にもういらないのだ。
思い返せば先輩たちと一緒に過ごしたあの頃、みんな当たり前にアシスタントがいて賑やかだった。独立して暫く僕も同じように最初のアシスタントを雇った。いらなかったが知人の紹介で断るに断れず。
それが間違いだった。仕事は忙しく手伝ってもらうのはありがたかったが、人間いちど楽を知ると後戻りできない。それからもうズルズルと芋づる式に。気がつけばなにもしない大人になってた。
数年前、そういう自分に気づいてやめた。はじめはキツかった。もう何年もやってないリサーチ、アポ入れ、返却準備。ぶっちゃけ超めんどくせえ。但しコーディネートや撮影現場に行くだけでなく、そもそも最初から最後までやるのが仕事である。
不思議とそうすることに慣れると、体の疲労と反比例するように、心のストレスがなくなった。僕のいない所での他人(アシスタント)への気苦労が消え、それまで魘されるほどだった夢を見なくなった。
ただ、それよりも前から或ることに気づいていた。すでに僕らの下の世代くらいから囁かれていたスタイリスト飽和状態。アシスタントが独立すると、彼らは一、二年してチョイと忙しくなり始めた頃アシスタントを取る。もっと忙しくなるとまた二、三人取る。それが繰り返されれば十年後、爆発的人数になるだろうことはバカでもわかるアムウェイの法則、つまりネズミ講式職業なのだ。
ついにそういう時期なのかもしれない。経済不況からくる出版業界、音楽業界、放送業界の不況、加えて蔡さんのいう若者の素質、その時代がいま偶然重なってしまっただけの、遅かれ早かれこれはまた別の話。
太ってしまうのは簡単だが、痩せるのは至難の業。ダイエットの真髄は食わないしかない。食べれるだけ働いて、もったいないけど出来ない仕事は誰かがどうぞ。時代はミニマム。意外と簡単なことだと思うんだけど。
業界の不況は経済からの不況ではありません。
テクノロジーの進化に伴うライフスタイルの変化、つまり娯楽や趣味における時間の取り合いです。
そういう時代にも骨のある若者もいます。
どうか彼らに雇用の機会を。地道ですが、それこそが経済不況を立て直す一歩になるはずですから。
すみません、不況と業界の因果関係にはぶっちゃけ興味はありません。
それと骨のある若者に雇用の機会を、とのことですがスタイリストはフリーランスでして雇用される仕事ではありませんし、ミュージシャンとかタレントや芸人さんと同じく、実力はもとより運も多大に必要な仕事です。
売れない芸人さんは可哀想でもおもしろくなければ仕方ないですよね?まさに骨のある(ロックな)人間でないとやってけないどーしようもない仕事であります。
ええ、本当にそうです。