3人のバイヤーが語る 2011年秋冬。
2011.10.07

―初めてのピックアップや、オススメのブランドなどはありますか?
関根:オススメのスタイルとしては、英国調のカントリースタイルにエレガントさをミックスするようなイメージですが、インターナショナルギャラリー ビームスの買い付けとしては注目ブランドの〈ウミット・ベナン(UMIT BENAN)〉、そして〈ジュリアーノフジワラ〉や〈トゥエルブ オー ファイブ(1205)〉、〈ビリーリード〉、〈ガント バイ マイケル・バスティアン〉辺りですね。
2011年秋冬シーズン、もっとも注目されているブランドのひとつ〈トゥエルブ オー ファイブ(1205)〉。展示会の様子からも、テーラリングテクの美しさが伝わります。[撮影:関根氏]
小木:〈ガント バイ マイケル・バスティアン〉はUAでも注目しています。
ニューヨークのメンズシーンを牽引するデザイナーのひとり、マイケル・バスティアンが手掛ける〈ガント バイ マイケル・バスティアン〉。その2011年秋冬はウィンタースポーツがテーマ。[撮影:小木氏]
関根:それから、ファーを使ったフランスの老舗〈イヴ・サロモン〉、〈アダム キメル カーハート〉を新規買い付けしています。〈マルニ〉も今回初オーダーをしました。
フイナム イチ推しデザイナーのアダム キメルと、アメリカの老舗ワークウェア〈カーハート〉のコラボブランド〈アダム キメル カーハート〉の1st シーズン。すでに完売続出です。[撮影:関根氏]
―おぉ〈マルニ〉買い付けましたか。
関根:プレゼンテーションが毎回良くて、今回も素晴らしかったので。全体のトレンドとは関係ない部分で、〈マルニ〉らしいエレガントかつミニマルなデザインに加えて、リラックス感・スポーティ感など"軽さ"の表現が気分に合致しました。 国内で取り扱うショップは少ないですが、完全な"ビームス目線"をいつも意識している部分で、〈マルニ〉もショップカラーのひとつになるよう期待しています。それと、カジュアルセクション用の新規買い付けでは〈ブルックス〉というサイクリングウェア ブランドも買っているんですが、デザイナーが元々サヴィル・ロー出身で注目ブランドのひとつです。
小木:〈ティモシー・エベレスト〉ですよね。
関根:「ツィードラン」のムーブメントが気になり、そのイメージで買い付けていますね。
いつもオシャレな、〈バーカーブラック〉のデリック・ミラー。ツィードのジャケットもスタイリッシュに着こなしています。[撮影:小木氏]
―ユナイテッドアローズはいかがですか?
小木:アイテム的には、ストールですね。大判のモノはいろいろなブランドを取り揃えています。シンプルなスーツスタイルでも、ストールを巻くだけで雰囲気が変わるような。それが春夏になると花柄やエスニックな柄に変わっていきます。
あと、個人的には〈メゾン キツネ〉を。原宿本店メンズ館だけですが、取り扱います。
大判のストールを効果的に使用したスタイリング例を〈ミスター ベイシングエイプ ユナイテッドアローズ〉から。ジャケットスタイルもストール使いで、ずいぶんと印象が変わります。[撮影:小木氏]
今季、魅力的なコレクションを披露してくれた〈メゾン キツネ〉からもカシミア素材の大判ストールがリリースされます。防寒だけでなく、オシャレ小物としての威力も発揮します。[撮影:小木氏]
―この秋冬は、良いですね。
小木:それから、〈ノンネイティブ〉は原宿本店メンズ館用に、生地を載せ替えたアイテムを別注でお願いしています。
―ドメスティックブランドの話が出ましたが、バーニーズは今まで展開していたブランドは継続を?
中箸:そうですね、継続を。国内・海外ひっくるめると、〈アダム キメル カーハート〉と〈リバティ オブ ロンドン〉、〈トッド スナイダー〉が新しいところで。
バーニーズ ニューヨークがこの秋冬から、とくに力を入れて推していく〈リバティ オブ ロンドン〉のインスタレーションの模様。[撮影:中箸氏]
リカーストアなど、〈J.クルー〉再建の礎を築き上げたトッド スナイダー。まるで日本人的な視点で表現された彼のコレクションは、ヒットする気配ぷんぷんです。
―〈トッド スナイダー〉は結構オーダーしていますか?
中箸:ジャケットとベスト、パンツがサウスウィック社製で良くて。往年の〈ブルックスブラザーズ〉を思い起こさせてくれたのもあって買っていますね。あとは〈I.C.R.ブシュウィック〉をエクスクルーシブで。
国内は、福岡オープンの記念別注をお願いして〈アナクロノーム〉〈レミレリーフ〉〈デラックス〉〈アンユーズド〉〈ファセッタズム〉、さらに〈kolor〉や〈スロウガン〉〈エンジニアドガーメンツ〉など、かつてない規模でたくさんのブランドに協力して頂きました。本当に感謝していますね。
―ビームスは?
関根:国内では〈ミヤシタタカヒロソロイスト〉を。あと〈84-74 lab.〉にも注目しています。
小木:良いと思うブランドは、みんな一緒ですね...。
関根:あと古着好きな方だと分かると思うんですが、〈ブラウンズビーチ〉の赤をカジュアルセクションにて生地から作った復刻別注をしています。
―スタイル的には何かトピックはありますか? パンツのシルエットだったり、トップスの長さ、サイズ感だったり。
中箸:カーゴパンツだと、ウール素材だとかスウェット素材が多いですね。デニムもそうだったんですけど、ストレッチが効いていて、リラックス感のあるモノが多かったですね。
小木:引き続き〈インコテックス レッド〉のような、加工物でシルエットが綺麗なパンツの勢いがありますね。
中箸:強いですね。
関根:全体的にみなさんがおっしゃった流れだと思うんですが、モード的にはナローテーパードのクロップドだったり、バギーを始めとする、プリーツ入りのワイド系が多いです。
今までオーセンティックな流れが続いたなかで、パンツのシルエットが強調されている、チカラを感じさせるモノに注目しています。
あと、カジュアルだとカーゴやチノ人気の中でフレアだったり、コーデュロイ素材のパンツだったり、その辺の動向も気にしています。
小木:アウターは、洗いがかかったガーメントダイのジャケットとかが多く見られました。あと、内山バイヤーがイチ推ししているのが〈マイティマック バイ マイケル タピア〉で、従来のテイストはそのままにマイケル タピアの繊細なシルエットと融合させたシリーズをラインナップします。
小木氏とともに世界中の新進ブランドをピックアップしているユナイテッドアローズの敏腕バイヤー内山氏とマイケル タピア。[撮影:小木氏]
―足下は?
中箸:個人的にはタッセル(ローファー)ですね。
小木:リラックスして履けるスリッポン系は多いですね。
中箸:〈プレミアータ〉でも〈プレミアータ エンドレス〉っていうラインを展開していて、ダブルモンクを出していましたね。
小木:〈プレミアータ〉のスニーカー履いてる人は、よく見かけましたね。漢字が入っているような。
―ひと通り聞いてきましたが、アメリカンスタイルはまだまだ続きそうですか?
小木:強いと思います。
中箸:ロンドンの友人に聞いたのですが、あっちもまだアメトラが強いそうで。イタリアもそうですし。あと〈ラルフ ローレン〉周りの動きが活発じゃないですか? 甥っ子のグレッグ ローレンもリメイクブランド始めたり、ロブ マグネス(ラルフローレンのメンズディレクター)が新しいブランド〈グロウン アンド ソーン(GROWN AND SEWN)〉をスタートさせたり。その辺は楽しみですね。