WISM 始動。市之瀬・野田両氏にインタビューを敢行。
2012.04.26

市之瀬智博・野田晋作両氏がタッグを組んで、スタートするセレクトショップ「WISM(ウィズム)」が、4月27日(金)キャットストリートにプレオープン。ファッション、カルチャー、デザインをクロスオーバーさせることによって20代後半~30代のリアルでスタイリッシュなライフスタイルを提案していくとのこと。そこでフイナムでは、野田氏が市之瀬氏をスカウトした経緯、ショップ構想と後の発展、果てはエリア選びなどに至るまでを内装工事真っ只中の店内にて徹底取材してきました。他では読めないインタビュー、必読です!
Photo_Yuya Wada(except NewYork)
Edit_Ryutaro Yanaka
-市之瀬氏をスカウトした辺りから聞かせていただけますか?
野田晋作氏(以下野田/敬称略): まず、トップダウンで「プレス主導で、面白いショップを作れ」と。今までベイクルーズのMDとかディレクターなどを経験してきた人間の経験則にのっとった洋服屋じゃなくて、プレス主導でディレクションしなさいと話が来ました。
市之瀬智博氏(以下市之瀬/敬称略): それも凄いよね(笑)。斬新です。
野田: 無茶苦茶でしょ? ただ、今の前置きは自分がそう捉えただけで、代表からは「プレス主導で、店作れ」だけだった。
-それを噛み砕いたら、上記のようなことだったと?
野田: はい。何でも出来ると思っているので...、それで、まずは展示会を廻らせてくださいと。
-展開しているアイテムすべてを見たことは、無いですもんね。
野田:
行ったことはあるんですが、プレスの目線でしか見てないから。バイイングするという意識で見てないし、ブランドリリースなどにアウトプットするために、バイイングしたアイテムについてディレクターやデザイナーから話を聞くようなことはあっても、買うって意識はなかったですから。なので、まず見に行こうと。
それで、いろいろ見て、現状はなんとなく分かりました、と。その後「これは1人じゃ無理だな」って思い、「誰かスカウトしよう」と社内で経験者などいろいろ探したんですが、フィットしそうな人が見つからない。それで悩んでたら、市之瀬がベイクルーズの取締役と会ったことがあったという話を思い出して、声を掛けてみたんです。
-前職でディレクター職に就いてるのは周知の上で。
野田: はい。ただ顔は知っていたし、会えば挨拶くらいはするけど、そこまで仲が良いって訳ではなかったので、ある方を介してあらためて食事の場をセッティングしてもらいました。いきなり自分が「飲みに行こう」なんて声を掛けたら警戒されるかもとも思ったし。
市之瀬: 友人の友人くらいな繋がりだから。橋本あっちゃん(※スタイリストの橋本敦氏)の結婚式があった沖縄で会ったりくらいだったからね。
-唐突に声掛けしたら、空気を読み合うような感じになりますもんね。
野田: そうそう、だからカジュアルに会いたくて。
市之瀬: でも、その間を介してくれたヤツからの誘いでも「凄いメンバーだね?」って、どういう人選してんの? って疑ったけどね(笑)。
-ちなみに、ファーストコンタクトの日に話を切り出したんですか?
野田: 切り出しましたよ。
市之瀬: そうだね、「最近、どう?」からの流れで。いきなり切り出してきて「今やるなら、どんな店がイイ?」って聞いてきたんだよ。
野田: その返答が、自分が思い描いていたのとほぼ近かったし、言葉にできてたから。じゃあ、一緒にやろうと声を掛けました。
-それで返事は?
市之瀬: さすがに「ちょっと考えさせてくれ」って。まぁでも、そうなるでしょ? 契約もありましたし。
-持って帰って、それからは?
市之瀬: この話を聞いたときに正直「面白いな」とは思ったよ。じつは、前々職を辞めて、前職に就く前に、ベイクルーズの別の取締役と話したことがあって、そのときも恐らく面白いとは言ってくださってたんですけど、社風的に「モノについて掘り下げていく」イメージがあって、自分はもう少し感覚的な部分と「(パッと見でも)良きゃイイじゃん」ってのが軸にあるから、絶対にフィットしないなと思っていたんですよ。
-そういう経緯もあったんですね。
市之瀬: それなのに、ベイクルーズから話が来たってことは、自分が抱いてたイメージでもないんだ、と気付いて。元々自分的には、前職の業態をディレクターとして成功に導いたら、新たな業態を立ち上げるためのプレゼンを社内でしようと思っていたんだよね。それが3年か5年か、10年かかるかは分かんないし、叶わないかもしれなかったけど...。そんなときに、この話が来たから、やりたいとは思ったよね。
-それで返事を伝えたと?
野田: 現状の報告を受けて、「興味はある」って聞いたから、まずベイクルーズの代表に会う機会を設けましたね。それでジャーナルスタンダードのカフェにて、3人でお茶したんです。
-凄い絵面ですね(笑)。
野田: 自分はそこで「彼と一緒にやりたい」旨を伝えて、その後はメンズファッションの話をしたりして解散して。その後にジャーナルスタンダードとエディフィスのディレクターも交えて、食事に行ったんだよね。ただ、そこでは大した話はしなくて...、さすがに前職との契約もあるから早めに決定して、筋を通さないといけないから、代表に「決めて良いですか?」って聞いたんです。そしたら「そうか、迷惑かけちゃマズいな。じゃあ、覚悟して来いよって言っとけよ」と、それを市之瀬に伝えました。
-それで入社が決まった訳ですね。内緒のところで随分動いていたんですね。
市之瀬: そうだね(笑)。それで前社に行って報告したんだけど、いろいろ起こりましたよね。
-そりゃあ、起こりますよ(笑)。
市之瀬: ありがたいことに売り上げも伸びていて、「考え直せ」的な雰囲気にはなったんですが「申し訳ないんですけど」と退社してきました。
野田: 自分的には、きちんと準備をして受け入れる体制を築いて、一員として働いて欲しいと伝えて受け入れました。それで前社を退社した2月15日の明くる日、2月16日から社員としてニューヨーク出張に同行してもらうと(笑)。
-入社日当日から海外出張という無茶苦茶なスケジューリングで(笑)。
野田: そこからはニューヨークからロンドン、そしてヨーロッパ各所へ約1ヶ月のバイイングへと。
次のページでは、ニューヨーク買い付けに同行した際に撮影した写真とともに、WISMというショップについて色々と聞いていきます。