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柴田聡子と君島大空が、フェスで吸収する養分。
in FUJI & SUN 2025

柴田聡子と君島大空が、フェスで吸収する養分。

大自然の中で行われる音楽フェス。オーディエンスにとっては、いつもと違う音楽体験ができる特別な空間であり、都市の喧騒を離れて心を癒す場所でもあります。では、ステージに立つアーティストたちはどうか。彼らにとってフェスとは、単なる演奏の場を超えた何かがあるのではないか。先日、静岡県・富士市で行われた「FUJI & SUN '25」に出演した柴田聡子さんと君島大空さんをつかまえて、アーティストだけが知り得る、フェスでしか吸収できない養分について聞きました。

FUJI & SUNならではのステージと、観客との距離感。

―今日は、お客さんとの距離も近く、フラットなステージでした。普段とはまた違った雰囲気でしたよね。

君島: そう。みんなの顔が見えて嬉しかったです。でも途中、みんなの顔が見え過ぎて、挙動不審になっちゃって…。

―ほかのフェスにも多数出演していると思いますが、それらと比べ「FUJI & SUN」の魅力はどんなところにあると思いますか?

君島: まず、歩いていて楽しいんです。夜とかは本当に真っ暗だから、より楽しいですよね。去年は道に迷っちゃって、気づいたら誰もいない夜道に突っ立ってたんです。そしたら、同じように迷っているお兄さんがいて「どっちでしたっけ?」って。

温度感もちょうどいいと思うんです。ほかの大型フェスは「祭りだー!」って感じだけど、「FUJI & SUN」は落ち着いていて。今日のセットリストも、暗いかなぁと思いましたけど、みんなしっかり聞いてくれてたんで。

―お客さんの雰囲気も特徴的ですか?

君島: ほかのフェスよりも、キャンプに慣れ親しんだ人がいっぱい来てる印象があります。そのせいか「自然は、こういうもんだよね」っていう、場所に対するわきまえもすごく感じますね。公式SNSの写真付きの投稿による影響も多分にあると思います。

―セットリストでいえば、屋内のライブと屋外のフェスでは、異なるものでしょうか?

君島: ライブハウスでワンマンをやる場合、ぼくのことを見に来てくれるお客さんが100%です。フェスはそうではなくて、通りがかって、なんか良さそうって思って見てくれる方もいる。

―より、多くの人が受け入れてくれそうな楽曲を選択するということでしょうか?

君島: アーティストの人たちは、そうした曲を選んで不特定多数に聞いてもらい、ファンを増やしたいって思いが少なからずあると思うんです。自分の曲を、より広いところに届けるチャンスですからね。ただ、ぼくはそういう考えがあまり得意じゃなくて。この場所で、こういう天気だから、こういう曲をやろうっていう流れが好きなんです。ソロだと特に自由度が高いので。

―人ではなく、環境に合わせて楽曲を選ぶと。

君島: そうです。その点、「FUJI & SUN」はすごく自分に合ってるなと思います。お客さんも、音と環境にちゃんと合わせてくれますし。毎回、本当に居心地がいいフェスだなぁと感じてます。