役者として、ひとりの人間として。
相手と向き合うためのふたりのスタンスとは。
―次は俳優としてではなく、日常生活でのおふたりについてお聞きしたいのですが、普段の生活での人間関係で意識していることはありますか?
黒崎: ぼくは全然人見知りとかじゃないんですけど、向こうが人見知りの可能性を考えて、あんまりがっつかないように心掛けつつも、仲良くなりたい雰囲気は出す、みたいな。
遠藤: ぼくはもともとあまり人間関係がうまい方じゃないんで。ただ、この顔で黙ってたら恐いじゃん(笑)。だから自分から声をかけるように心がけてしっかりと挨拶する。

黒崎: ヤクザモノの遠藤さんもいるし、人面犬になっている遠藤さんもいるから、本当の遠藤憲一さんはどっちなんだろう? って共演する前にドキドキしてたんですけど、ちゃんと“人面犬の方”でホッとしました(笑)。それがもう面白くて。
―今回の作品のように家族とすれ違ってしまったときにその状況を打破する自分なりのテクニックはありますか?
黒崎: ぼくはよく母と喧嘩をするんですけど、できるだけ早く仲直りしたいし、これ以上すれ違いが広がらないようになるべく早く自分から謝りに行きます。
―家族の問題を積極的に解決しようと努める蓮の役柄とも共通していますね。
黒崎: それはそうかもしれないですね。逆に遠藤さんが演じる初は大きく歩み寄ることはなかったですよね。家族仲良く暮らしていた頃と10年経って子どもたちと再会したときも家族に対してのスタンスが変わらないというか。

遠藤: そうなんだよ。人はそう簡単には変わらない。そういう人間の難しさも監督はよく知っているよね。普段から人間をよく見て観察しているんだろうなぁ。ぼくの方がはるかに長く生きているのに、監督の演出には度肝を抜かれましたから。今回は“こうした方がいいんじゃないか”って一度も言ってないと思うんだよね。本当にすごい監督が出てきたなと。
黒崎: これだけのキャリアを積んでこられているので、ご自分の中で“コレだ”っていうものが確立されていると思うんですけど、作品や監督に合わせて自分の軸を変えて演じるっていうのは、ぼくがあと数十年かけてもできないことだと思います。
―最後にこの映画をご覧になる方へそれぞれメッセージをお願いします。
黒崎: “盟友”である団塚監督とタッグを組んだ初主演作がいよいよ公開になります。たくさんの方に観ていただき、自分の家族について考えるきっかけになればいいなと思います。
遠藤: 映画初主演の黒崎くんと長編デビューの団塚監督、若いふたりがタッグを組んだ素晴らしい作品です。映画としても新しい手法や細かな演出が面白いので、コアな映画ファンの方にも楽しんでいただけると思います。

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