宮原〈サイ〉はNobody knows。ものづくりへの執着は説明してはじめてわかる。まさにぼくらのスタンスそのものでした。一見普通の店にみえて、こだわりがいっぱい詰まっているというね。
なかでもお気に入りは床。一枚が大きいでしょ。割付が120センチあるんです。完全オリジナルでつくってもらいました。かつて学校や役所でも使われていたテラゾ(人造石研ぎ出し仕上げ)なんですが、白の配合とかね、なかなかしっくり来るものがなくて、じゃ、つくっちゃおうって(笑)。
片山どの仕事もそうですが、ぼくがやる以上、こう来たかといわせないといけない。もちろん〈サイ〉らしさというところから外れるわけにはいかない。さらに長いこと店を待っていたお客さんの期待値も高い。そしてかくいうぼくも待ち望んでいたひとり。おのずとテンションはあがりましたね。
喜んでもらえたのは素直にうれしい。店は箱が完成してからがほんとうのスタート。ファンのひとりとしてぼくも応援していきたいと思っています。
宮原秀晃(写真右)
文化服装学院卒。いくつかのアパレルでパタンナーとして活動したのち、デザイナーの日高久代とともに2000年にMasterpiece and Co.を設立、オリジナルの〈Scye〉をスタートさせた。19 世紀のエドワーディアン・スタイルをふたりの感性と日本のものづくりでブラッシュアップしている。Scyeは “袖ぐり” の意となる古い仕立て屋用語。
片山正通(写真左)
2000年にワンダーウォールを設立。日本を代表するインテリアデザイナーとして国内外で活躍。現在は武蔵野美術大学空間演出デザイン学科の教授も務める。昨年『WONDERWALL CASE STUDIES』(ゲシュタルテン刊)を出版。タイラー・ブリュレ率いるウィンクリエイティブがエディトリアルとデザインを担当した。
www.wonder-wall.com