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スタイリスト松川総の、極私的なタイマーケットの歩き方。
Thailand is the land of happiness.

スタイリスト松川総の、
極私的なタイマーケットの歩き方。

探さずともSNSやAIが勝手にファッションを提案してくれる時代に、自分の足で歩いて探す。時間はかかるし失敗もするし先が見えないけど、見つけたときの高揚感は何にも代え難いものです。 スタイリスト松川総さんとともに2日間にわたってタイはバンコク周辺のマーケットを巡りながら、そんなことを考えました。ほぼ営業終了していた真夜中のチャトチャック市場にはじまり、有数な古着マーケットであるシーナカリン鉄道市場まで。 驚愕の36点の購入品はどのような経緯で手に入ったのか、現地で撮影した写真と帰国後の回想インタビューを合わせてお楽しみください。松川さんならではのニッチな尺度も必見です。

Chapter 2_サンペーン市場の怪しげなビル奥にあった、インド洋品店。

市場はアーケードになっていて、日差しが眩しい夏でも快適に歩ける。

サンペーン市場は生地の卸問屋が多く、服づくりをしたいひとにはうってつけの場所。

問屋で売っている生地をショーツにして売っている店も多かった。縫製こそ大胆だが、適当に穿くにはちょうどいい。1枚50〜70バーツ(約250〜350円が相場)。

ーお次は、バンコク中心部にあるチャイナタウン・ヤワラート近辺のサンペーン市場へ。着いたのは、謎のビル奥にあったインドの洋品店でした。ここは事前にスタッフがリサーチした時は怖くてスルーしてましたが、松川さんが行ってみようと先頭切って入った記憶があります。

写真のためわかりづらいが、エスカレーターは動いておらず階段と化していた。

ビルの2階には民族衣装を扱う店が多数。不思議とスパイシーな匂いがした。

松川: 怖いもの見たさで入りました(笑)。日本にもインドの雑貨を扱っている店はありますが、ここまでの規模は意外とないですよね。お世辞にもきれいとは言えないビルの中にあって、この日もお客さんは僕らだけだったんじゃないかなと。

インドの民族衣装のほかに、布やアクセサリーなども売っていた。

店の主人であるお母さんに金額交渉をする松川さん。無事交渉成立。

ーお店のラインナップはどうでしたか?

松川: はじめはタイに来てインドのものを買うって……という気持ちもありましたが、ラインナップも多種多様で掘りがいもあったので立ち寄りました。ここではパンツを買ったんですが、すぐ破れてもおかしくないほど繊細な生地が使われてて、これも日本では買えないですよね。インドに行けば大量にあるかもしれないけれど、ここで出合ったのも何かの縁です。

ドウティは1枚600バーツ(約3000円)。

ーこのパンツは、調べるとインドのヒンドゥー教徒の男性が着用する「ドウティ」と呼ばれる腰布とのこと。1枚の布を交差させてパンツにしたような感じでしたね。これはどういった意図で購入されましたか?

松川: 何かの衣装で使えないかと思い買いました。ベーシックなTシャツの撮影があったとして、ちらっと見えるパンツが普通のものじゃなくて、こういう質感のあるパンツだとしたら、違った見え方がするんじゃないかとか。

ーなるほど。では、店頭で私物以外の理由で服を買うときは、何か衣装に使えないかと想像をしている?

松川: いえ、そんなに計算はしてはなくて感覚的なものですね。あとは金額。これが4万円だったら買わないけど、4千円で、これを衣装の選択肢として持っておけるのであれば購入しますね。これは世間的に言うヴィンテージでもグッドレギュラーでもないし、何かで括れない服だけど縁を感じたんです。

ーここは行ってみたらすごくいい店でしたが、ビル自体が怪しげで、どこかに連れ去られるんじゃないかという不安も隣り合わせでした……。

松川: 古着屋で働いているときにアメリカ買い付けに参加してたんですが、そのときのオーナーに常に気を付けろというのは言われてました。なのでタイも程度は違えど、そういった可能性も頭の片隅にありつつのマーケット巡り。独特の緊張感は個人的には好きですね。ビジュアル撮影でも何かギリギリを攻める場面がいちばん興奮します。

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