Chapter 5_そのほか、マーケットの雑多な風景。

カラフルなサンダル店。一年中夏のタイではもはや消耗品。

僧侶用の小物を取り扱う店。黄土色やオレンジの袈裟に合わせたカラーリング。
ーマーケットにはどこもかしこも専門店が多かった印象で、例えばメガネとかサンダル、工具とか。そういった店には日本で行きますか?
松川: 浅草の合羽橋とか、頻繁には行くことはないけど時々ありますね。そもそも自分はアメリカが好きで、大量消費で合理的にものづくりをしている感じがたまらないんです。ホームセンターとか、とてつもなく大きいところに半端ない数のものが敷き詰められているのは惹かれますよね。タイではそれと同じものを感じて、だからこそ掘り出しがいがありました。ただ、1個だけ欲しいのにバラでは売ってないのはそれはそれで困りものです(笑)

ハサミや爪切り、ペンチなど、小さな金物を扱うお店。これだけ量が揃うと圧巻。
ー服以外では、キーホルダー、靴下、爪切りなどを購入されてました。その視点もちょっと変わっていて、よく松川さんの口からみうらじゅんさんの話題を聞くので、彼が提唱している “いやげ物”(もらっても全然うれしくない土産物)の考え方に通ずるのかなと思いました。
松川: 彼の集めているものは、なるほどそうきたか!と思うものばかりですね。あれを見て不快になるひとはいなくて、だたひたすら彼の欲求に従って集めている姿は憧れますね。

靴下屋。チープとお洒落のギリギリのラインが楽しい。

バッグが壁面に所狭しと並べられた店。見たことがありそうでなさそうなロゴもたくさん。
ーひとと違う視点だけど、独りよがりなわけではなく、大衆にも開けている。みうらじゅんさんのポジションは無二ですよね。松川さんの、メジャーなものやニッチなものとの距離感はどのような感じですか?
松川: 僕自身はメジャーなものも好きだけどトレンドには流されたくない、という性格で。物心ついたときには、学校とか世間に合わせなきゃという葛藤もありましたね。でもこの仕事をしていくなかで、同じことをなぞってもつまらないという意識になった気がします。あとは、スタイリストになる前、大学生のときに古着屋で働き出したのが大きかったかな。もう、いいんだと。
ーそれは、型にはまらなくてもいいと割り切ったということですか?
松川: そうですね。古着屋でいいとされている格好を大学でしているとやっぱり浮いてしまって。キャンパスにはトレンドに敏感な学生がたくさんいて、その当時だとキムタクの真似をして、TWっていうバイクに乗って登校するひともいるなかで、ひとりボーリングシャツとかを着ていて(笑)。そのれっきとした違いを目の当たりにしたときに、自分の好きを貫こうとなりました。
ー大学は私服ですし、如実にそのセンスの違いが横並びになりますよね。
松川: あと、高校時代に仲良い友達と私服で会ったときに、フットボールTシャツにアディダスのジャージ穿いて、足元は雪駄で、その格好に衝撃を受けて。そいつだけ学校でも雰囲気が違くて、影響は受けましたね。そんな過去の出来事も含め、もちろんスタイリストのアシスタント時代も経て、今のスタイルに落ち着いてきました。
ー取材写真の途中から松川さんがリュックに下げていた三角笠(ベトナムの「ノンラー」という伝統的な笠)は、訳あって店の写真はないのですが印象的でしたね。
日除けにもなるし、突然雨が降り出すタイでは活躍する。
松川: 欲しいという話をずっとしていて、たまたまショーウィンドウで見つけて購入しました。これはただ三角になっているだけじゃなくて、中に頭を安定させる器具が付いていてよかったです。衣装用とか私物用とかではなく、単純に満足感で買いました(笑)。所有欲でね。
ーそういえば、以前何かの撮影でメキシカンハットも持ってきていらっしゃって、そういった類のものはお好きなんですか?
松川: Amazonで検索すれば買えるし、日本の古着屋で置いているところもあるんですけど、やっぱり現地にあるものを現地で買うというのはいいですよね。地方とか海外に行くと買い物モードになるのはそういうことですよね。