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LACOSTE Portraits of the creator vol.2 シェフ・丸山智博

LACOSTE Portraits of the creator vol.2 シェフ・丸山智博

誰もが知るアイコニックなワニのロゴブランド〈ラコステ(LACOSTE)〉。代表的なポロシャツをはじめとしたコレクションは、エレガンスとカジュアルの両要素を兼ね備え、着用シーンやスタイルを選ばない幅広さを持っています。同時に、すべてのアイテムを貫くのは、フランスというお国柄にも共通する、“プレミアムカジュアル”という気品です。そんなコレクションを、今回は各方面で活躍する表現者たちに着用してもらいました。彼らのポートレートとインタビューを通して、ラコステの魅力を浮かび上がらせます。

  • Photo_Ryo Mitamura
  • Text_Yuho Nomura
  • Edit_Shinri Kobayashi
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丸山智博

フランス料理人。1981年長野県生まれ。かつて神宮前にあったフレンチ「ラミ・デュ・ヴァン・エノ」で勤務後、代々木上原にビストロ「MAISON CINQUANTECINQ」を出店。以降、「Gris」、「Lanterne」、「9STORIES」、「Bar à vin MAISON CINQUANTECINQ」、「AELU」を展開。各店舗のオーナーシェフを務める傍らレセプションパーティのケータリングやフードコーディネーター、メニュー開発など様々な活動を行う。またファッションやアート、音楽好きとしても知られる。

ポロシャツ¥14,000+TAX、スニーカー¥18,000+TAX、その他本人私物

ガストロノミーを楽しむ新しいお店の在り方。

ー2010年に代々木上原駅前に「MAISON CINQUANTECINQ」を開店して以来、「Gris」、「Lanterne」、「9STORIES」、「Bar à vin MAISON CINQUANTECINQ」と話題のお店を近隣エリアに立て続けにオープンさせ、今年3月にはギャラリーとレストランとしての機能を兼備したお店「AELU」をオープンさせました。まずはその同店の立ち位置、これまでのお店との違いについて教えて下さい。

丸山:これまでは自然と海外を意識したお店造りをしてきたのですが、フランスや海外のシェフや友人が日本に来た時に喜んでもらえる場所、彼らに対して何かしらのインスピレーションになる場所、さらには僕ら自身も日本人としてのアイデンティティを発信できる場所というのをそろそろ作りたいと思っていて、「AELU」を作ることになったんです。

それまではずっと食中はワインだったんですけど、物件を見つけたタイミングでちょうど日本酒にもハマっていて、料理とのペアリングなど新しい日本酒の楽しみ方を提唱している、新世代の日本酒の作り手さんたちと一緒に何かできないかと考え始めたんです。まだまだ試行錯誤中ではありますが、日本酒と僕らの好きな料理をテーマに少しずつ形にしていけたらと思っています。

ーフランス料理に特化しているわけではなく、日本の和を感じる料理も出しつつ、あくまでも丸山さんたちらしさのあるお料理と日本酒が楽しめるわけですね。そこにもやはり独自のガストロノミー(料理を中心とした美術、科学などを含めた食文化体系)は存在するのですか?

丸山:そうですね。常に新しいものは提供したいという気持ちはあり、その背景には確かな技術と、確固たるフィロソフィーを持ってスタッフ一同取り組んでいます。考え方としては職人的な気質も求められながら、料理全般におけるトレンドや僕ら作り手の気分も重ねていきながら、取捨選択して時代にあった最良のものを提案する。それは、もしかしたらファッションのスタイリストさんと似ている部分もあるのかもしれないですね。

ーそうした感覚から新しいお店を生み出す原動力やインスピレーションは生まれているんですね。また同店ではギャラリーの要素もあり、現在は(10月取材時)お茶碗にまつわる展示も行っていますよね。

丸山:お店を始める前はフランス料理といえば真っ白な平皿っていう固定概念があったのですが、それも時代のトレンドなどをインプットしていく中でグレーのお皿だったり、石っぽい素材のお皿だったりも使うようになって、直接作家さんにも会うようになって、よりハマっていきました。自分もすごい量を買ってますよ。こういったモノを提供する場所なんだから、自分も買って確かめないと説得力ないですよね。

元々音楽が好きでカフェ併設のレコードショップで働いていたこともあって、そうしたお皿を選ぶ作業というのはレコード選びと似ているなと思いましたね。お皿が持つ実用的な機能美とは違い、棚などに飾って並べた時の美しさや、コレクションする楽しみのような感覚にも惹かれてしまうんです。これもレコード似ているポイントですね。音楽やアートも料理と同じように好きなので、そうした視点からお客さんに楽しんでもらえる仕掛けを作っていけたらいいなと思い、ギャラリーを設けました。

ー今回の取材場所である「AELU」をはじめ、沢山の個性的なお店を手掛ける中で、その主役となるお料理のクオリティやお店のホスピタリティを保つのも大変そうですよね。

丸山:スタッフには耳にタコができるほど言っているのが、このお店の外観や内装に頼らず、ダンボールとみかん箱でその料理を食べてもらっても「美味しい」と思ってもらわなければダメだと話しています。これは極端な例ですけど、そうした方が料理の本質を追求できるんです。何よりもまずは味がいいこと、それがベースになって初めて、先ほど話したお皿への盛りつけを楽しむことができるんです。ケータリングなどでもそうですよね。見た目だけ整っていてもやっぱりダメなんですよね。

そうした技術の伝承というか、チームを熟成させていくのは今も昔もずっと僕の中の課題でもあるんです。お店を増やしていくことで必然と僕自身がそれぞれのお店に立つ機会というのが段々と減ってきてしまうので。そこは経営者的な視点ですけど、常に自分が憧れの存在としてリーダーシップを発揮しつつ、厳しい環境だと言われる料理の世界でしっかりと福利厚生なども充実させていければと考えています。

ジャケット¥23,000+TAX

ー今後はどんな目標を持っていくのか。そういった展望などはありますか?

丸山:今は複数の店舗を手掛けていて、それぞれのお店のスタイルが異なっています。しかし、レストランや居酒屋など業態をカテゴライズせず飲食店の新しい在り方や価値、体感を模索し提案してゆくことは変わらず続けていきたいなと思っています。

文化的背景にリスペクトしつつも常に新しく、僕らのチーム自身も訪れるお客さんも楽しんでもらえる場を作っていくこと。突発的ではなくサスティナブルな店舗やメニューを作り続けたいと考えています。

今回来ていただいた「AELU」は、今後テラススペースも拡充する予定で、天気の良い日には外でもご飯が食べれて、機会があればギャラリーと連動したワークショップなども開催してみたいなと思っています。ぜひ楽しみにしていてください。

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