“マーフウォッチ” は、どんなスタイルにも合う。
「この時計はどんなスタイルにも合うと思いますが、今回は映画の世界観をもとに組んでみました。ジャケットは『インセプション』をモチーフにしたコマがジッパーに付いている〈ダイリク〉のものです。シューズは〈ダイリク〉と共に制作した映像で俳優が無重力シーンで履いていた一足。SF映画やノーランの世界観という文脈を汲み取りました」(イサム)
―実際に “マーフウォッチ” を手にしてみていかがでしたか。デザインの印象も教えてください。
アラタ: グラフィック面でいうと、ぱっと見はソリッドな印象なんですが、フォントをよく見ると遊び心があるな、と思いました。9とか3とか、よく見ると丸みを帯びていたり、9の間が空いていたりして、ぼく的には柔らかい印象がある。離れると硬くて、近づくと柔らかい。面白いバランスだなと思いました。
イサム: 可愛いですよね。アラタがつけているのは42mmのサイズ、ぼくは腕が細いので38mmのサイズ感がちょうどハマってる感じがしていいなと。
「ボリュームのあるボトムスに、袖はタイトな〈ダイリク〉のジャケットで、時計をしっかり見せることを意識しました。体が大きいので、42mmのサイズ感が合うし、それに合わせてボリュームのある服を選びました」(アラタ)
大陸: 時針の先の形が独特ですよね。映画の『ヒューゴの不思議な発明』に出てくるような時計みたいに、ここだけすごく装飾がある。ただの1本の線でもいいはずなのに、っていう。
―コブラ針と呼ばれるこの時針は、ミリタリーウォッチとして兵士が暗所でも視認できるよう、蛍光塗料をたっぷり塗れるよう設計されたものだそうです。
イサム: ファッションはそういうバックグラウンドが見えると面白いですよね。機能から生まれたデザインに歴史が宿る、みたいな。
大陸: それを聞くと、なおさらカッコよく見えてきますね。“マーフウォッチ” は、正直どんなスタイリングにもハマると思っていて。『インターステラー』で衣装として出てきたのも、誰でも起こりうる状況下の主人公だから、誰にでも似合う衣装のひとつとして選ばれたのかなと改めて思いました。
「初回の対談ではメタルのベルトだったのでスタイリングを黒で統一しました。でも今回はレザーベルトなので、あえて色味を解放したスタイリングにしています。レザーだと今回のような花柄とかベージュとか色があるアイテムが合うと思います」(大陸)
アラタ:〈ハミルトン〉は、日本映画で着用しているひとはいるんですか?
―『踊る大捜査線』の主人公・青島刑事は〈ハミルトン〉の時計を着用していたそうです。
イサム: それはめっちゃいいな。
アラタ: モッズコートの下からちらちら見えてるイメージ、思い浮かびます。
大陸: 刑事ドラマと時計という関係性、いいですよね。
―ものを選ぶ時、ブランドの歴史や背景を調べる方ですか。
大陸: ぼくは結構見ちゃいます。古着については特に。何軍のミリタリーの服なのかというのを割と気にしています。ただミリタリーは当時の政治的背景が強すぎて、デザインはカッコいいけどこの思想の時代のものは買いたくないな、ってなるものもありますね。
アラタ: ミリタリーもワークウェアも、歴史によって進化してきていますよね。ファティーグジャケットのポケットが斜めなのは、ジャングルで戦う時に枝が引っかかるからって改良されたものらしい。機能がその時代に合わせてどんどん進化していって、いまでもそれを取り入れている。そのストーリー性と進化みたいなのが好きで、無駄が無くなっていく感じがすごいな、と思います。
イサム: デザインじゃなくて、もともとその意味がありましたっていうのにはよさがあるし、逆にデザインだけを重視しましたっていうのもカッコいいと思っていて。あえてそうしてます、みたいな。どちらも裏に何かある、というのが、ものを見る楽しさに繋がっている気がします。あと服って、そのブランド単体だけじゃなくて、誰が着ているかでも魅力が変わってくるじゃないですか。いまのトレンドってそういうことで、カルチャーを内包した服、みたいな。
アラタ: そうそう。時間の長さよりも、密度な気がする。新進ブランドでも、有名なラッパーが着ると魅力的に映ったりするしね。