新しい分野とコラボする老舗がおもしろい。
―皆さんは、仕事のなかでアナログ的手法も採り入れていますが、アナログにこだわる理由はありますか。
イサム: フィルムやVHSを使ったり、あえて紙に印刷したものを撮ってもう一度映像にするとか、アナログっぽいことをよくやっています。質感によってフィーリングが付加されるというのもあるし、ノスタルジックに見えるという時間的な話もあるんですが、やっぱり一番は「偶発性」ですね。デジタルでやっていると起きない偶発性が、狙ってできないのに勝手に起きることが多々あって。フィルムに変な傷がついちゃっているけど、そこがいい、みたいな。自分たちの予想を超えてきてくれると、カタルシスがあるというか、嬉しいんです。
アラタ: ビジュアル的なよさもそうなんですが、ここにいますよ、という存在証明みたいなところもある気がしていて。プリントして、もう一度取り込む仕事と、全部デジタル処理で終わらせる仕事とでは違う。自分の身体的なものを取り入れると、作品との距離が近くなる感じがあるし、見るひともそこを感じてくれるんじゃないかって。油絵のひととデジタル処理のひとって、一体何が違うんだろう、とよく考えますね。アナログをやめずにやっている意味というのは、それだけでは測れない親密さや情熱があるんじゃないかなと。
大陸: アナログはぬくもりを感じられるのが大きいですね。機械がさっとつくったものよりも、手垢がついているような、途中の経過まで入り込んでいるアナログが好きです。だからこそ『インターステラー』でも、この時計が採用されたんじゃないかな、と思います。時間をかけながら、ずっと受け継がれていくっていうことかなと。
―〈ハミルトン〉は映画との長い関係性がありますが、近年は『バイオハザード レクイエム』などゲーム業界とのコラボレーションもはじまっています。そういった新分野への進出についてはどう思いますか。
アラタ: すごく肯定的です。老舗とかけ離れたところが一緒になる方が面白いじゃないですか。なんで『バイオハザード レクイエム』? って驚かせた方がね(笑)。いろんな遊びもできそうで、血が飛んで付いているように見えるデザインとか、そういうのが面白いって思うし、自分たちもやりたいことのひとつでもあります。
イサム: ぼくらも自分たちがやったことないことをやりたいタイプなので、老舗だけどそういう挑戦心、新しいことやろうっていう姿勢はすごく好きですね。老舗であればあるほどリスクはあると思うんですよ。それまでついてきたファンのことも含めて。でもそれをやるっていう姿勢は、マジで尊敬します。
大陸: ほんとに同じ気持ちで。老舗の大きなブランドがサブカルチャーと密接に何かをやるって、すごいなと思っていて。ぼくらも勝手にサブカル側の人間だと思っているので、共感を持てるというか、嬉しさもあります。ゲームって日本を代表するカルチャーだと思うし、まさかそことそこが繋がってるんや、っていう面白さがいい。そういうかけ算はわくわくしますよね。