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LACOSTE Portraits of the creator vol.3 キュレーター 大矢知史

LACOSTE Portraits of the creator vol.3 キュレーター 大矢知史

誰もが知るアイコニックなワニのロゴブランド〈ラコステ(LACOSTE)〉。代表的なポロシャツをはじめとしたコレクションは、エレガンスとカジュアルの両要素を兼ね備え、着用シーンやスタイルを選ばない幅広さを持っています。同時に、すべてのアイテムを貫くのは、フランスというお国柄にも共通する、“プレミアムカジュアル”という気品です。そんなコレクションを、今回は各方面で活躍する表現者たちに着用してもらいました。彼らのポートレートとインタビューを通して、ラコステの魅力を浮かび上がらせます。

  • Photo_Ryo Mitamura
  • Text_Yuho Nomura
  • Edit_Shinri Kobayashi
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大矢知史

キュレーター。1983年長崎県生まれ。美大を卒業後、「IDÉE」創業者の黒崎氏に師事。中目黒の「みどり荘1」の立ち上げに参画。現在は中目黒のほかに表参道、永田町、福井県と拠点を増やし続けるシェアオフィス「みどり荘」のギャラリーキュレーションを始め、国内外の様々なアートプロジェクトにも携わる。

ジャケット¥33,000+TAX、ポロシャツ¥14,000+TAX、キャップ¥5,500+TAX、その他本人私物。

園子温も住んでいたというストーリー性のある場所。

ー現在、大矢さんがキュレーターを務める「みどり荘」ですが、今年新たに「みどり荘3」をオープンさせるなど規模としても順調に拡充されています。そもそも「みどり荘」の立ち上げはどんな経緯から始まったのでしょうか?

大矢:元々は僕らのボスである元「IDÉE」創業者の黒崎と投資銀行に勤務していた小柴という女性、カリフォルア出身でインターナショナルスクールの校長をしていたジョナサンらと一緒にクリエイターや面白い人たちが集う場を作りたいねという話からスタートしました。その時にせっかくやるなら面白い場所がいいということで物件を探していた時期に見つけたのが、元々ゴーストビルというか廃墟に近い今の中目黒の「みどり荘」だったんです。象徴となっている外観を覆う蔦も当時からそのままだったんですよ。

ーいわゆるシェアオフィスとしては、独特な雰囲気ですよね。

大矢:立地的にも不動産価値も高く、人気のエリアだったので入居を希望する企業や団体はひっきりなしに来ていたそうなのですが、オーナーの嗜好と合わなかったのか、許可が下りなかったそうです。でも「みどり荘」の場合は、僕らの想いに共鳴してくれて借りることができたんです。かつてここは映画監督の園子温さんも住んでいたことがある場所で、クリエイションが根付いている場所というストーリー性も合っていると思いますね。

ー当時はようやく日本でもシェアオフィスという働く場としての環境が一般的に認知され始めた頃だったと思いますが、その中で都市型のシェアオフィスとして「みどり荘」が目指していた形はどんなものだったんのですか?

大矢:実は元々シェアオフィスを作ろうと思っていたわけではなかったんですよね。とはいえクリエイターの集まれる場所は作りたかったので、小柴と一緒にポートランドやニューヨークのシェアオフィスをリサーチしに回ったんです。確かに現地では流行っている感もあり、人も沢山集まっていたんですが、どこも格好良いとは思えなかった。だったら僕自身、昔からアート界隈にいる作家や作り手さんが好きだったので、そうした人たちが居心地よく過ごせるアトリエ的な空間を作りたいと思ったんです。

ー確かにこの「みどり荘」はやわらかな印象を受けますね。

大矢:ここを一からリノベーションした時の解体作業やペンキ塗りも自分たちでDIYで作ったり、家具や什器はポートランドのお店やアーティストのモノで揃えています。これも場所のストーリーとして蓄積されていくものだと思います。あとはシェアオフィスでありながらカルチャーを発信する余白を残したいということで3Fにはギャラリースペースも設けています。

みどり荘というクリエイティブエージェンシー。

ー「みどり荘」にはいろいろな職種の人がいますが、彼らクリエイターたちによる共作などもこれまでにはあったのでしょうか?

大矢:もちろん個々にシェアをしたり、共通の案件を手掛けることもあります。「みどり荘」メンバー内で構成されたチームで、新しい働き方を体現するクリエイターたちのインタビュー集『WE WORK HERE』や仲間でもある「メディアサーフ」が手掛けるポートランドのクリエイティブな一面を紹介するガイドブック『TRUE PORTLAND』などを出版したりもしてきました。なので最近は、「みどり荘」って実はシェアオフィスというよりもクリエイティブエージェンシーに近いと思います。例えば、音楽やCM、広告なんかの案件が来ても「みどり荘」のメンバーの中からすぐにチーム編成を組めるのは強みですよね。

ー確かにその有機的なつながりは強みですね。大矢さん自身は、この「みどり荘」以外ではどんな活動をされているのですか? また「みどり荘」、しいてはご自身の今後の展望などはなにかイメージされていたりしますか?

大矢:僕自身はアーティストのキュレーションがメインではあるんですが、それ以外にも「みどり荘」に持ち込まれるクリエイティブな相談事も受けています。例えば、服飾系のメーカーから高級衣服用素材を使ったタイアップの話などを頂いたのですが、広告として打ち出すのではなく、「みどり荘」にいるクリエイターが進めているプロジェクトと組み合わせることで化学変化の起きるような企画として変換させたりもしています。

ー面白そうな企画ばかりですね。

大矢:結局自分たちだけのためにモノを作っていても世の中って別に変わらないじゃないですか? だからこそ、これからは農業のような根源的な価値を大切にしていきたいですね。僕らはあくまでも資本主義的なデベロッパーではないので。

ーなるほど。それは今まで社会的な位置づけとしてカテゴライズすることのできなかった「みどり荘」の新しいカタチを示すものにもなっていきそうですね。

大矢:そうですね。今後は、よりそうしたカタチで働きかけていきたいですよね。そのためには僕自身がもっと社会とコミットしていかないといけないんですけどね(笑)。でも事実「みどり荘」のメンバーは自分たちがシェアオフィスで働いているという意識はほとんどないと思います。好きな奴らと好きなことを好きなように仕事にしていく。これは僕らのボスでもある黒崎がずっと体現していたマインドであり、スタンスでもあるので、それだけはずっと変わらずに皆で共有していきたいですね。

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