取材に行ったのは、3日目の土曜午後。会場となった寺田倉庫の外は長蛇の列で、会場内も大盛況。とにかく出店数が多い! それもそのはず、リリースによれば“国内外の出版社、書店、ギャラリー、アーティ ストなど約 350 組の出展者が会します。さらに同地区に位置するギャラリー、ショップと連動し、過去最大規模のスケールで開催いたします。”とのこと。これは、全部を見て回るには時間が足りないかも……。
普段はギャラリーに所属し、アーティスト活動を行うアーティストユニット「spewedition」のブース。「去年から3人でなんかやっていこうってことで、出版と音楽とか映像、パフォーマンとか含めてやってます」とのこと。
こちらは、「とりあえず行った先で決めよう」とノープランで向かった浜松で「ゴミを拾っていくのって面白いかもねって、途中でいろいろ考えを決めて」いった作品(30万円)。コンビニでスクラップブックコピーしたZINEも販売してました。
speweditionspewedition.com
“中年の写真屋。4年目の課外活動。”山田和幸さんによる一点モノのノート。「コーヒーにつけたり、ボロボロにしたり」と、まさに味のあるノートに仕上がっています。「そのほかにZINEなどもあります」という説明は、すべてブースにいた友人の談。ご本人には会えずじまいでした。
山田和幸ymd0813.wixsite.com/0813
我らが写真家・平野太呂さんの姿も。ブースにはフイナムでの連載をまとめた『東京の仕事場』も並んでいましたよ。
レタープレスのワークショップに、ファーストユニバーサルプレスによるメツ活字(中古ジャンク活字)投げ売り。
ブックデザイナー・名久井直子さん、グラフィックデザイナー・大島依提亜さん、100%ORANGE、雑誌『デザインのひきだし』編集・津田淳子さんからなるブース「紙のひきだし」では、特別ルートで仕入れたマンガ雑誌と同じ再生紙(もとはロールで購入したもの!)をA4とA3サイズにカットして販売。毎年、TABFでしか売らないかなりのレア物とのこと。これでZINEをつくったりなんかしたら、楽しすぎるでしょ!
前日にトークショーも行った都築響一さんのブース。長らく絶版状態だった『TOKYO STYLE』も電子書籍(USBのなかに巨大なPDFデータが入っている)として、待望の復刊! オリジナルのピンクローターは外国のお客さまに人気ありだったとか。
ROADSIDERS' weeklywww.roadsiders.com
“日々ひっそりと本を制作する、台湾人1名と日本人2名のグループ”選選研のブースで見つけた様々な素材にプリントを試した作品。台湾では、デザイナー自身が印刷工場に出向いて調整するのが主流のため、CDジャケットなども凝りまくっている。そのため、紙以外の素材にプリントする技術も高いのだとか。これは、その研究結果的なもの。
選選研www.sselectlab.com
90年代半ば以降からパンクやスケートコミュニティに関わり、ZINEの制作を行うSergej Vutucさんによる、チェルノブイリの姿を切り取った写真集。暗闇に光るチェルノブイリ原子力発電所事故をイメージして、表紙には蓄光塗料を塗布。タイトルの「Чистая комната」は、ロシア語でクリーンルームという意味とのこと。これもまた、原子力発電所跡地にちなんだもの。
ギャラリーなどで売れ残った自分の作品をあつめたZINE。表紙の写真は、アーティスト自身の子ども時代。
ひとつのエリアの出版文化を紐解く特別企画「Guest Country」では“アジア4カ国”をフィーチャー。普段は手に入らないアートブックやZINEなどが並んでいました。その横では、横尾忠則さんが手がけた書籍が一同に会する展示も。
INTERNATIONAL SECTIONでは、ファッションブランド〈ART/C〉デザイナー・アートシ・イフラク(Artis Ifrach)さんの姿もキャッチ。作品集『ARTC Piece of mind by Artsi Ifrach』のリリースに合わせて来日していた模様。ちなみに、2016年春にDOVER STREET MARKET GINZAで発表したエクスクルーシブ・コレクションは、すべて完売しています。
駆け足でお届けしましたTABF2017レポート。「なんであのブースを撮影してないんだ」とか「あいつはマスト!」などのご意見もあることでしょう。ただ、ぼくもSNS経緯で知り合いや仕事関係の人たちがブースを出しているという前情報は得ていたものの、誰も見つけられず……。会場の周りでも行われていた関連イベントまで網羅しようと思ったら、4日間すべて行くくらいの覚悟は必要だったのかも。