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ナルバリッチが描く、ワールドスタンダードな日本の音楽。

ナルバリッチが描く、ワールドスタンダードな日本の音楽。

デビューから1年と少しでジャミロクワイのサポートアクトを務め、アジア各国から招聘の声が絶えない。閉塞感から抜け出しきれない日本の音楽シーンに現れたナルバリッチは、大いなる希望を携えた世界基準のアーティストです。その中心に立つJQが語る言葉には、まっすぐでひたむきな音楽への熱い思いと未来への大きな展望が宿っていました。

  • Photo_Mariko Kobayashi
  • Hair & Make_Daiki Okinaga
  • Interview & Text_Taiyo Nagashima
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Nulbarich(ナルバリッチ)

シンガーソングライターJQがプロデュースするバンド。親交の深い仲間と共に、スタイル・シチュエーションなどに応じたベストなサウンドを創り出す。ファンク、アシッド・ジャズなどのブラックミュージックをベースに、ポップス、ロックなどにもインスパイアされたサウンドは、国内外のフィールドで唯一無二のグルーヴを奏でる。Nulbarich(ナルバリッチ) という名前には、Null(ゼロ、形なく限りなく無の状態)、 but(しかし)、 Rich(裕福、満たされている)から作られた造語であり、形あるものが全てではなく、形の無いもの(SOUL、思いやりや優しさ含めた全ての愛、思想、行動、感情)で満たされている「何も無いけど満たされている」という意味が込められている。

世界の音楽と横並びで聴いてもらえる日本の音楽をつくりたい。

ー快進撃と呼ぶにふさわしい活躍ですが、ナルバリッチがスタートしたきっかけを教えてください。

JQ:僕はずっとDJ・トラックメーカーとして音楽に携わってきたんです。さまざまなミュージシャンとの出会いがあって、中でも本当に息の合った人たちと「いつか音楽を一緒にやろう。おっさんになってから、ちっちゃいライブハウスでやったっていい」なんて話していました。2015年末にそれぞれのタイミングがちょうど合って、今じゃない?ということになったんです。それで、まず作ったのが2016年の6月にリリースした『Hometown』です。最初は姿も出さず、とりあえずキャラクターだけ走らせて。計算してどうこうっていうよりは、そのときにできることを一つずつ積み重ねてきました。

ーポップスとしての普遍性の奥に、骨太で重層的なルーツを感じます。楽曲はどのようにつくられるんですか?

JQ:楽曲の方向性は僕がコントロールしますが、メンバーの演奏スキルがそこにさまざまな要素を乗せていくイメージですね。僕も一通りの音楽ジャンルを通っていて、ヒップホップのサンプリングネタを掘ったりするのが好きなんですけど、ナルバリッチのメンバーはそれぞれが好きなジャンルを突き詰めているのでサウンドに奥行きが生まれるのかなと。共通言語にはブラックミュージックがあるので、それがいい化学反応を起こしているのかな。

ールーツミュージックのエッセンスを、あくまで日本のポップスの流れの中で提案しているところが魅力的です。ワールドスタンダードになりうる強さがあると思います。

JQ:嬉しいですね。深みに触れていて、なおかつみんなに聴いてもらえる。そういうアーティストになりたいです。具体的にイメージしているのは、ビルボードトップテンに入ること、日本のオリコンに入ること、UKのヒットチャートに入ること。最終的に目指すのはマディソンスクエアガーデンです。

ー日本と海外の区別なく、大きな行く先を見据えているんですね。

JQ:日本の音楽シーンはやっぱりガラパゴス化している部分があって、でもその中に日本ならではのよさもあると思うんです。日本人にしか書けない旋律とか情緒とか。それを国内でとどめるんじゃなくて、世界に発信していきたいと思っています。世界の音楽と横並びで聴いてもらえる日本の音楽をつくりたいんです。

ー今の日本でそういう目標を明確に語るアーティストは、意外と少ないように感じます。

JQ:みんな音楽をはじめたきっかけって、そういうことだと思うんですよ。この市町村を変えてやる!って言って音楽をはじめることはないですよね(笑)。大なり小なり、世界を変えるという意志は持っているはずなんです。僕らの前にはすばらしいチャンスがあるからこそ、大きなものを目指さないといけない。自分たちが楽しむこととたくさんの人に聴いてもらうこと。ある意味で相反することを成し遂げたいですね。

ー音楽の聴かれ方がどんどん変わっていて、国境を越えるということに関しては追い風が吹いているかもしれませんね。

JQ:Apple Musicのプレイリストの中で、海外の楽曲と並べられることもあるわけですよね。ハードコアとナルバリッチが、境目なく聴かれることだってあります。当然ジャッジは厳しくなっていって、オリジナルの魅力を生み出さないといけない。「◯◯っぽい」だけでは、その大元には勝てないですから。

喉は消耗品ですけど、命自体消耗品なので使える時に使っておきたいなって。

ーナルバリッチの個性をご自身ではどのように捉えていますか?

JQ:逆説的ですが、何かを想定してつくるということは絶対にしません。今これが流行ってるから、という考えもないし、「らしさ」を意識しすぎることもないです。自分の好きな音楽だけじゃなく、世界の人たちが耳を傾けている音楽にもたくさん触れて、自分のフィルターを一度通してから感じるものを楽曲に全て注ぎ込んでいきます。

ー新譜『H.O.T』について教えてください。

JQ:昨年、本当にたくさんライブをさせてもらいました。初めてのワンマンと、初めてのツアー。その間怒涛のフェスがあったりジャミロクワイのオープニングアクトをやらせてもらったり。さっきの話にも繋がるんですけど、豊富なインプットがありました。時間をかけてそこに解釈を加えるのではなく、そのまま残してみたいと思って、すぐにこのアルバムを作りました。

ー先行配信されている『ain't on the map yet』は、MVの印象も含め、ポップスとして勝負していく意志と広く聴かれるポテンシャルがあると感じました。

JQ:ありがとうございます。こうやって歌詞を読むと、欲にまみれてるし、「まだたどり着いてない」とか逆に「このままでいい」とか。いい意味でぐちゃぐちゃな、収まっていない音楽になっているのかな、と思います。このアルバムが新しい景色に連れて行ってくれると信じてます。

以前ライブを観て、その完成度の高さに驚いたのですが、ステージで歌う感覚について教えてください。

JQ:とにかく楽しいですよ。ぜひ歌ってみてください。しんどさはないです、本当に。ライブが増えれば負担は大きいし、喉は消耗品ですけど、命自体消耗品なので使える時に使っておきたいなって。

ーナルバリッチの大きな魅力は、声ですよね。

JQ:僕はこれまで歌うということはしてこなかったんですよ。トラックメーカーとしては、声もサウンドのひとつとして捉えていました。声は一人一人全く違います。僕がボーカルでやるとなったら僕しか歌えないものを出す以外に方法はないと思っています。だから、これが歌いたい!とかよりもバンドサウンドのアンサンブルのひとつとして捉えて楽曲に落とし込んでいます。

かっこいいミュージシャンが夢を見せてくれたから、僕たちはそこに憧れて、いまこうして音楽をやっている。

ー好きな声のアーティストはいますか?

JQ:ローリンヒル、エリカバドゥ、ディアンジェロ、マルーンのアダムもジャミロクワイの JKも好きです。あと長澤まさみさんの声ですね(笑)。テクニシャンというよりも唯一無二のものを持っている人が好きです。もともと自分の声が大っ嫌いだったので、好きな声は結構はっきりしてるかな。

ー自分の声が嫌いだったというのは意外ですね。

JQ:運動会の映像に残っている自分の声が、自分で聞こえているものとぜんぜん違うのに違和感があって、本当に嫌でしたね。コンプレックスの塊みたいな人間なのかもしれません。

ーコンプレックスには、何か理由があるのでしょうか。

JQ:ちゃんと一番になったことがないというか、中途半端に挫折を味わってきたからかもしれません。たとえば50m走ならそれなりに速く走れるけど、決してクラスのヒーローにはなれない。キックボクシングを本気でやっていた時期もあって、ジム内ではそれなりに強いけど、大会に出て強い相手と当たるとあっという間に負けちゃったり。

ーなるほど。

JQ:器用貧乏な部分があって、それなりのレベルまではいけても、本格的にそこに取り組んでいる人とか、天才にはあっさり負けてしまうんです。一番になれなかったんですよね。ただ、音楽だけはそういう気持ちと関係なく、ずっと身近にあるものとして触れてきましたね。

ー熱い想いを持ちながら、楽曲に向き合う姿勢はある意味で冷静のように感じますが、そこにギャップはあるのでしょうか。

JQ:冷静ではないんですよ。自分が一番楽しめるように、熱狂できるように作っています。声にコンプレックスがあるので、「これが歌いたい」っていう気持ちにはならなくて。トラックを作る目線で自分の声を捉えたほうが単純に楽しいから。

ー最後に、これからのナルバリッチについて教えてください。

JQ:今本当にハッピーだし、好きなことで飯が食えているので、半分は夢がかなっているんです。かっこいいミュージシャンが夢を見せてくれたから、僕たちはそこに憧れて、いまこうして音楽をやっている。今度は自分たちが「音楽は最高に楽しいよ」と伝えていきたいですね。実際、心の底から音楽を楽しめています。

Nulbarich「H.O.T」

発売:2018年3月7日発売
価格:初回限定盤[CD2枚組] 3780円 / VIZL-1331、通常盤[CD] 3024円 / VICL-64955
CD収録曲
01. H.O.T(Intro)
02. It’s Who We Are
03. Almost There
04. Zero Gravity
05. Handcuffed
06. In Your Pocket
07. See You Later(Interlude)
08. Supernova
09. ain’t on the map yet
10. Follow Me
11. Spellbound
12. Construction(Interlude)
13. Heart Like a Pool
初回限定盤付属ボーナスCD収録曲
01. It’s Who We Are
02. Lipstick
03. Everybody knows
04. Spread Butter On My Bread
05. On and On
06. Ordinary
07. NEW ERA
08. Follow Me
ツアー情報
『Nulbarich ONE MAN TOUR 2018 “ain’t on the map yet” Supported by Corona Extra』
3月14日(水)なんばHatch ※SOLD OUT
3月16日(金)新木場STUDIO COAST(追加公演)※SOLD OUT
3月17日(土)新木場STUDIO COAST ※SOLD OUT
3月28日(水)仙台Rensa ※SOLD OUT
4月6日(金)広島クアトロ ※SOLD OUT
4月7日(土)福岡イムズホール ※SOLD OUT
4月13日(金)名古屋ダイアモンドホール ※SOLD OUT
追加公演
4月25日(水) @東京・Zepp DiverCity Tokyo 開場 18:00 / 開演 19:00
チケット代金(一般発売): ¥4,500(税込)
チケット発売日(一般発売):2018年3月10日(土)10:00~
問い合わせ:03-3499-6669(クリエイティブマン)
nulbarich.com
twitter:@nulbarich
衣装協力:BEAMS
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