エーグルはなぜ、エターナルなブランドになれたのか。
巨大なラテックスの塊を圧延機にかけて一枚のシートに成型する。工場では間断なく送り出されてくるラテックスを裁断すべく職人が張りついて作業に当たっている。場面は切り替わり、横一列に並んだ職人が縫製したラテックスをラストに釣り込み、手際よく底面に寄せてまとめていく。すでに筒はつるりとした表情を浮かべているが、職人は手のひらに収まる専用の工具を使い、徹底してシワを排除する。
〈エーグル(AIGLE)〉を代表するラバーブーツはフランス西部の街、シャテルローでいまも200人の職人が一足ずつつくりあげている。一足60の工程を経るそのブーツをつくる職人として一人前に認められるまでにはおよそ2年の歳月を要するという。
左:ラテックスを圧延機にかけているところ。中:シート状になったラテックス。右:ブーツを成形している様子。
〈エーグル〉の歴史は1853年、ロワール地方のモンタルジから始まった。チャールズ・グッドイヤーが発明したゴム加硫法の特許を取得したアメリカの実業家、ヒラム・ハッチソンはフランスを創業の地に定めた。海を渡った理由は明らかではないが、望郷の念か、ブランド名はふるさとの国鳥である鷹(eagle)から採った。ウェリントンブーツをヒントに完成させたラバーブーツは木靴しか知らなかった農民や牧民に熱狂的に支持され、世界でもっとも有名なラバーブーツになった。生産足数は年間およそ110万足をコンスタントに叩き出す。
フィールドで実証実験を重ねたブーツは防水性と耐久性に優れ、かつしなやかで返りの良い履き心地を高度な次元で確立した。往時のものづくりが創業から165年が経ったいまなおちっとも薄れる気配がしないのは、〈エーグル〉というブランドの勘どころを職人一人ひとりが体に染み込ませているからだ。早々に第二次産業から撤退したフランスにあって、自社工場で生産を続けているのはほとんど奇跡に近い。
左と中:〈エーグル〉のアーカイブのポスター。1934年と1939年のもの。右:工場で出荷を待つラバーブーツ。
そうして生き残った〈エーグル〉はフランスの人々に広く愛されるブランドにのぼりつめた。機能を研ぎ澄ましてたどり着いたエターナルなアイテムをベースに、自分らしい着こなしを楽しむ──フレンチエレガンスなスタイルにおいて欠くことのできない存在だ。
1920年代にリリースしたレインコートを源流とするアパレルもまた、機能から発想するデザインアプローチを信条としている。オンラインストアの絞り込み検索にはプライスやサイズのほかにテクノロジーがあり、そしてそのテクノロジーには20を超える選択肢があるのだから驚きだ。
エーグルカスタマーサービス
電話:0120-810-378
www.aigle.co.jp
※ミナミナビーチでは特別な許可を得て撮影をしています。