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FEATURE|AMI、古着屋で哲学を語る。ファッション、SNS、決断…etc

AMI、古着屋で哲学を語る。ファッション、SNS、決断…etc

2 HOURS WITH ALEXANDRE MATTIUSSI

AMI、古着屋で哲学を語る。ファッション、SNS、決断…etc

春の陽気に満ちた4月のある日。〈スマイリー〉と組んだコレクションのお披露目のために来日していたアレクサンドル・マテュッシ。無類のヴィンテージウェア好きとしても知られる彼と、いつもの東京出張ではなかなか訪れることのない、東京・代々木上原周辺の古着屋を巡りながら、〈アミ アレクサンドル マテュッシ(ami alexandre mattiussi)〉のクリエイションのこと、〈スマイリー〉とのコラボレーションとのこと、幼少時代のこと、そして、これからのことについて話した。

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複雑な時代のなかで支持される理由。

待ち合わせ場所であった、代々木八幡駅前の商店街の起点に位置する古着屋「O・KI・DO・KI」に現れるや否や、アレクサンドル・マテュッシは嬉しそうに、「本気で買い物していいんだよね!?」と声を弾ませた。レコードショップでレコードを選ぶように、ラックの端から順に古着を手に取っては気になるアイテムを抜いていく。一切の迷いもなく、直感的に選んでいくその様子は、見ていて気持ちがいい。

〈アミ アレクサンドル マテュッシ〉は、“リアルな男性のためのリアルな提案” をスローガンに掲げ、2011年にパリ・メンズコレクションにデビューした。その後たった7年の間に、拠点であるパリをはじめ、世界に8店舗を構えるまでに急成長したことは、今さら語るまでもないだろう。分かりやすいアピールに満ちたイメージ先行型のファッションとは一線を画す “民主的で、難解ではないイージーな服” は、まさにアレクサンドル本人のスマートさゆえのノンシャランとした姿勢を体現している。複雑な時代だからこそ、真に賢くクリエイティブなオーディエンスは、彼の服を支持するのかもしれない。

アレクサンドル・マテュッシ

1980年生まれ。パリの美術学校を卒業後、〈ディオール〉のメンズ部門でキャリアをスタートさせ、〈ジバンシィ〉や〈マーク ジェイコブス〉で研鑽を積む。2011年に自身のブランド〈アミアレクサンドル マテュッシ〉をスタート。現在、パリの他、ロンドン、東京、香港に旗艦店を構える。

あなたはいつも、民主的なファッションをつくりたいと語っていますね。ここでいう民主的であることが価格だけを指していないことは自明ですが、改めて、あなたの言う民主的なファッションとは何かを教えてもらえますか?

アレクサンドル誰もが自分らしさを表現することのできるメディアという意味で、ファッションはとても民主的だし、これまで以上に、そうしたメディアとしての意味合いは強くなっていると感じるんだ。誰もが無理なく買うことができ、着こなすのが難しくなく、それでいて自分らしさを十分に表現できるファッション、それが僕が目指すファッションであり、デザイナーとしての夢。

どんなデザイナーでも余程、排他的で選民的な人でない限り、自分がつくった服を着ている人を見るのが嬉しくてクリエイションしているわけだから。人々が複雑な解釈をする必要がなく、イージーに自分とコネクトできる服であるからこそ、着る人と服が真にパーソナルな関係を築けるんじゃないかって思うんだ。

Shop 01:O・KI・DO・KI

アレクサンドルは、このお店で〈チャンピオン〉のスウェットシャツ、〈ナイキ〉のパーカ、〈パタゴニア〉のウエストバッグなどを購入。東京都渋谷区富ヶ谷1-9-15 下岡ビル B1F / 12:00〜21:00 / 03−6407−8525 / ameblo.jp/tokidoki2008/

今日、一緒に巡った古着屋で手に取ったアイテムも、とても民主的なものばかりですね。

アレクサンドル僕は自分が好きなもの、興味があるものが本当に一貫しているんだ。それは自分の創作活動においてのみならず、僕の人生全般において共通していること。逆に言えば、興味の湧かないものは、何度聞いてもまったく覚えられないし(笑)、母親が呆れるほどに、好き嫌いがとてもはっきりしてるんだ。

だからこその意思決定の早さなんですね。今日、瞬時に古着を選んでいく姿を見て驚いたとともに、爽快ですらありました。それはある意味、揺るぎない自信の表れでもあるようにも見えました。

アレクサンドル確かにそうかもしれない。それはナルシスティックな意味じゃなくて、すごく謙虚な自信。つまり、自分自身で何か行動を起こしたり選択したりするときに、失敗を恐れないという意味においての自信ということ。

ぼくたち人間は生来「恐れることを知っている」生き物だし、世の中には怖いものがいっぱいあるんだと教えられて大きくなるけれど、僕がもっとも恐れることは、リスクを省みることで新しいチャレンジができなくなってしまうこと。自分がそうなってしまうことが、僕にとっての最大の恐怖でもあるんだ。

Shop 02:DOJOE

二軒目に訪れた「DOJOE」では、七部丈のチノパンを購入。アレクサンドルの試着姿がキュート。東京都渋谷区元代々木町9-8 / 14:00〜22:00 / 03-6884-2425 / dojoe-tokyo.tumblr.com

仕事のみならず、普段の生活においても意思決定は早いんですか?

アレクサンドル友人たちからも「ハイパーアクティブ」とからかわれるくらい、そうだね(笑)。2ヵ月前に禁煙したけど、タバコを吸うのも早ければ食べるのも早いし、美術館で絵を見るのもすごく早い。僕と一緒に美術館に行く友人たちは、きっと迷惑してるだろうね。もしかすると、そうしたスピード感の中で見落としてしまっていることがあるかもしれない。

でも僕は、そのときに一番大切だと思うこと、直感的に好きと思うものを信じたいと思ってるんだ。ビジネスにおいてもね。

決定が早い分、昨日と今日で言っていることが変わることもある。でも、長期的に見たときに一貫性があれば、それでいいと思ってる。だから、例え失敗しても、後悔はしない。前に進むのみ。ただ、目の前にあるものに真摯に向かい合う努力は、常に怠らないようにしているつもりだよ。

情報が溢れ、モノが溢れる世界において、あなたのように自信を持って生きるためのヒントはありますか?

アレクサンドル大切なのは、自分らしさや感情を、家族や友人といった愛する人たちと共有し続けることだと思う。そして、世の中で起こっていることに興味を持ち続けること。

僕の母はときどき電話してきて、「今、世界で何が起こっているか、あなたはちゃんと知ってるの?」と確認してくるんだ。ファッションという特殊な世界に生きている僕が、現実世界で起こっているさまざまな事象に疎くなってしまわないよう、そして、自分は特別なんだという奢りに蝕まれないように。

ファッションは確かに特別な世界かもしれないけれど、そこに飲み込まれないよう、自分は何者であるのかを忘れないようにしている。自分に誠実でいることがとても大切なんだ。

フェイクニュースが蔓延し、ソーシャルメディアがこれほどまでに浸透して、表からは真偽の区別すらつかないようなイメージが溢れる時代において、それはとても難しいことのようにも思えますね。

アレクサンドルそうだよね。イメージで服を買う時代において、誰しもが常に写真を見ている。残念ながら僕自身、常にWi-Fiを探してはインスタグラムをチェックしてしまうくらい、ソーシャルメディア中毒になっていると自覚しているよ…(苦笑)。

〈アミ アレクサンドル マテュッシ〉のインスタグラムのアカウントは、スタート以来、僕自身が管理してポストするようにしているんだけど、「インスタのための日常」にならないよう気をつけてるよ。インスタにアップするために朝ごはんを選ばない、といったようにね(笑)。フォロワーと真の意味で繋がり続けるためにも、虚構のイメージではなくありのままの自分でいることがとても重要なんだ。

Shop 03:are you hungry?

最後は代々木上原駅に程近い古着店。ところ狭しと服や靴が並ぶお店でアレクサンドルはスニーカーを購入。東京都渋谷区元代々木町9-2 / 16:00〜22:00 / 090-9641-9214

そう考えると、ファッションとは常にイメージを生産している産業とも言えますよね。そんな中で、リアリティにこだわり続けてクリエイションしているあなたは、ある種、珍しい存在ともいえるかもしれませんね。

アレクサンドルファッション業界では、広告やセレブリティ、新しいコラボレーションといったように、常に新しいイメージが氾濫していて、もはやオーバードーズと感じることも正直あるよ。コミュニケーションし過ぎると、本質的な意味での理解が薄れてしまうのではないかと不安にも感じる。

喋りすぎると、結局何が言いたかったのか分からなくなることが誰にだってあるだろう? 理解して欲しいから、知って欲しいからといって、すべてを語る必要は必ずしもないんだ。…と考えると、今この瞬間、僕はデザイナーとして、すでに語りすぎているね(笑)。

本来的には、服が語りだすべき、ということですか?

アレクサンドルそう。よくインタビューで「このシャツのインスピレーションは?」と聞かれることがあるけれど、僕は答えに困ってしまう…。

なぜなら僕にとって、ある特定の事象ではなく、日常のあらゆる瞬間が着想源であり、その集積として、あるデザインに帰着しているだけだから。日常のさまざまなかけらが、自分の表現になっているはずで、それが自己表現の根源なんじゃないかって。

いい表現というのは、そうした至極パーソナルで、地に足のついた気持ちから生まれるのだと僕は信じてる。そうして生まれたものが、デザイナーの手を離れて、誰かの大切な服になってくれたら嬉しいよ。僕のセーターを買ってくれた人が、ワードローブを探りながら恋人に「僕のAMIのセーター知らない?」って言ってくれるような存在になりたい。「あのブルーのセーター知らない?」っていうんじゃなくてね。

AMI, What did you buy?

気になる、アミが古着屋で買ったもの。

Patagonia “Body Bag”

こちらは「O・KI・DO・KI」で購入。「アウトドアブランドのウエストバッグって、実のところ、とてもマスキュリンでセクシーだと思うんだ。バイクでの移動も多いから、必要最小限のものしか持ち歩きたくない僕にとって、最強のアイテム」

Champion “Sweat Shirts”

「早速、帰りの機内で着るつもり(笑)。僕は、自分がデザインした服以外はほとんど買わないから、買い足すとなると、こういったオーセンティックでタイムレスなものをついつい選んでしまうんだ」。「O・KI・DO・KI」で購入。

No Brand “Chinos”

「DOJOE」では7部丈のチノパンを購入。「このパンツは次のコレクションの資料として。試着したら、シルエットがとても気に入ったんだ。やや光沢のあるファブリックもユニーク。制作の最初のステップとして、ぜひ参考にしたいんだ」

No Brand “Sneakers”

「このスニーカーも資料として。古くなったラバーのソールがすごく美しいし、横から見たときに、トゥの部分が反り上がっているのもいい。ブランド名は……古すぎて読めないけど、気にしないよ」。「are you hungry?」で購入。

Nike “Nylon Parka”

「O・KI・DO・KI」で購入した〈ナイキ〉のナイロンパーカ。「とにかく色のコンビネーションが僕好み。なぜか子どもの頃から赤いものに惹かれるんだ。雨の日にも良さそうだし、旅行にもぴったり。あえて美しいコートを合わせたい」

Champion “Hoodie”

「O・KI・DO・KI」で購入したフーディは「親しい友人にプレゼントしようと思って選んだんだけど、実のところ、フードのバランスがとても秀逸だから、次のコレクションの資料にしてもいいかもしれないね(笑)」

Spring Summer 2018

2018年春夏コレクション

パリの街角やそこに集う人たちから着想を得たコレクション。例えば、パレ・ロワイヤルの円柱のワイドストライプ、レピュブリック広場のスケーターたちのピンクの頬、ポンピドゥーのグランドチューブのブルー…。アレクサンドルの活動のベースでもある街をデザインソースに、モダンで美しい服を揃えている。

Fall Winter 2018

2018年秋冬コレクション

ブランドの原点に立ち返ったという2018年秋冬コレクション。鮮やかな赤のダッフルコートやクロップ丈のスラックス、カジュアルな開襟シャツなど、色使いやシルエットがいまの気分に合っている。トラッドな服の数々もどこか新鮮に映る。初めてウィメンズの服も登場。愛らしいボーイッシュなデザインに仕上がっている。

AMI SMILEY COLLECTION

アミとスマイリーによる最新コレクション。

「〈スマイリー〉は、その見た目通り、ポジティブでハッピー、グッドバイブな存在であり、僕たちのコレクションのあらゆる姿勢を代弁してくれている」とアレクサンドル。シンプルなアイテムばかりをあえて選んだのは、「まるでお守りのように、いつでも着ることができるアイテムにしたかったから」

Cardigan
¥42,000+TAX

Hoodie
¥34,000+TAX

Shirt
¥27,000+TAX

Shirt
¥27,000+TAX

T-Shirt
¥16,000+TAX

Polo Shirt
¥21,000+TAX

AMI OMOTESANDO

電話:03-5778-4472
www.amiparis.com

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