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ストリートカルチャーの雄、マーク・オブローが語るインケースとの関係性、そしてアートに込めた想い。

Relationship with the Incase, and thought that I put in art.

ストリートカルチャーの雄、マーク・オブローが語るインケースとの関係性、そしてアートに込めた想い。

アップル(Apple)〉公認のケース&バックブランドとして、世界中に愛用者を持つ〈インケ−ス(Incase)〉とアメリカ・カリフォルニアで活動するフォトグラファー&ペインター、マーク・オブロー(Mark Oblow)によるコラボレーションイベントが、「Styles 代官山」にて開催された。このイベントは、彼の来日を記念した1日限りのフォト&ライブアートイベント。アートワークの展示はもちろん、国内未発売となる同ブランドの新作トロリーケースに、マーク自身がステンシルアートをライブペイントするというエキサイティングなコンテンツも用意され、より身近に、刺激的に〈インケース〉と彼のアートを体感出来るということもあって、マーク・オブローの世界観に触れるべく集ったファンとともに、大いに盛り上がり、無事に幕を閉じた。フイナムでは、そんなイベント開催前の忙しい最中、今回の主役であるマーク・オブローをキャッチしてインタビューを敢行。次世代を担うクリエイターやイノベーターをサポートする〈インケース〉とマーク・オブローの関係性、そして彼のクリエイティビティに迫る。

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マーク・オブロー(Mark Oblow)

ハワイ・オアフ島に生まれ育ち、若い頃にプロサーファーとしてキャリアを積んだ後、プロスケーターとしても活躍。その後、カリフォルニアに移住し〈クイックシルバー(Quiksilver)〉〈アナログ(Analog)〉〈グラビス(gravis)〉といったサーフ&スケートブランドやアパレルメーカーにおけるクリエイティブディレクターも務める。また写真家としても活動しており、デビッド・ベッカム、スヌープ・ドッグ、オジー・オズボーン、ケイティ・ペリーとも仕事をし、写真や絵、壁画や版画、樹脂制作など様々なキャンバスを用いたアートワークを発表し続け、世界的にも注目されているアーティストの1人。

インケースは僕のニーズをすべて叶えるブランド。

まずは自身にとって〈インケース〉とはどんなブランドなのか尋ねてみた。

「アート、旅、スケートボードなど、僕のニーズのすべてを叶えてくれるから、大好きなブランドだね! アイテムも機能的だし、デザインも優れている。僕自身トラベルも大好きだから、ガジェット類をしっかり保護してくれるっていう信頼性もあるしね」

カメラ用のバックパックはもとより、着替えを収納したりするアクセサリーポーチにスプレー缶やペンを入れていたりと、その機能性を自身のスタイルの中で消化して溶け込ませているのが見て取れる。もはや〈インケース〉のプロダクツは、彼のクリエイティビティに欠かせない存在となっているのだろう。今回が2013年に来日以来5年ぶりとなるマークさん。久しぶりに訪れた日本は彼の目にどう映ったのだろうか?

「日本は大好きで、今回で9回目の来日になるのかな。僕にとっては一番インスパイアされる国だね。東京は街もすごく綺麗だし、住んでいる人々も優しくてみんな尊敬出来る人ばかり。それに安全だから1人でもあちこち動き回れて楽しいし、自ずとクリエイティブな気分になれるね。同じようにニューヨークも都会だけど、街は汚いしぼくにはまだちょっと早すぎるかな(笑)」

取材日の数日前に前乗りし、日本を満喫していたマークさん。今回のポップアップショップも以前から準備されていたものだと思っていたが、聞けば唐突に決まった、まさにポップアップ(※突然現れる)と呼ぶに相応しいサプライズなイベントだったそう。

「今回は元々、『GREENROOM FESTIVAL ’18』でのアートワーク出展に合わせての来日で、プライベートタイムも一週間くらい確保していたんだけど、ぼくをグローバルでサポートしてくれている〈インケース〉とも協業したくて、こちらから『何かイベントをやらないか?』と提案して、こういう形になったんだ」

大好きなおばあちゃんとの想い出にアートをのせて。

そう語るように、イベント当日に急遽行われたこのインタビュー取材中も、会場となった「Styles代官山」では、ポラロイド写真や文庫本のページにステンシルやコラージュ、ペインティングなどの手法で製作されたアートワークの展示準備が進行中。彼の創り出す作品には、自身のバックグラウンドに根付く“自由に楽しむ”ストリートのマインドが凝縮されている。中でも文庫本にステンシルが施されたアートピースが気になり、近づいて見ると、そこに書かれていた文字は日本語。そう、日本語で書かれた小説の1ページなのである。

「ぼくが生まれ育ったハワイでは家族や友人はもちろん、周りにいる知人もみんなファミリーと呼ぶんだけど、中でもある日本のファミリーととても親しくしていたんだ。その一家のおばあちゃんの名前がユキといって、ぼくにとって彼女は実の祖母のような存在で大好きだった。そんな彼女が亡くなった時に、生前から大切にしていた小説の文庫本がたくさん残されていたのを知ったんだ。僕には残念ながら日本語で書かれたその本を読むことはできなかったけど、その代わりにおばあちゃんが遺してくれた本の1ページ1ページに自分のアートを描くようになった。そうすれば、常におばあちゃんと一緒にいられるし、彼女に世界中を見せてあげることが出来るからね」

柔らかな表情で話す彼の体には、数多くのタトゥーが刻まれている。「これがぼくのファースト・タトゥーだよ」と上着を脱いで見せてくれたのは、腕に描かれたジャパニーズ・トラディショナルスタイルの波。彼の心と身体には我々と同じく日本のスピリットが息づいているのだ。現在はフォトグラファー兼アーティストとして活躍する彼が、そもそもアート作品を創り出すようになったキッカケとなったのは、幼少期から慣れ親しんできたサーフィンだったという。

作品に込めた想いを、実際に肌で感じてもらいたい。

「子供の頃から、サーフィンとパンクロックが大好きで、ザ・クラッシュ(The Clash)のジャケットのアートワークを自分のサーフボードに載せたいと思ったのが始まり。そのあとすぐにスケートボードに魅せられて、「ヴィジョン スケートボード」のチームライダーになり、マーク・ゴンザレスやナタス・カウパスなどの仲間たちと一緒に滑っていたよ。実際にアートを描くようになったのはその頃。ぼくの最初のキャンバスはスケートボードのグリップテープだったんだ。スケートボードやサーフィンには危険も伴い、時には人が死ぬこともある。なので、ぼくはそこに“転ばないように”“ケガしないように”という想いを込めて、お守り代わりみたいな感覚で、色んなヤツらに配っていたんだ。すると次第に、ぼくがアートワークを描いたボードをプロのサーファーやスケーターが気に入って使うようになり、そのうちにメディアにも取り上げられるようなって、一気に広がっていったんだ」

瞬く間に知名度と人気を得て、多くの人々が彼の描いたデッキを欲しがるようなった。しかしスケートボードカルチャーの魅力が、実際に己の身で体感しないと味わうことができないのと同様に、その作品に込められた想いも芸術作品としてディスプレイするだけでは知ることができないと言う。

「ぼくが描いたデッキを手にいれた人々は、みんな『部屋に飾りますね!』と言ってくれるけど、ぼく自身の思いとしては必ず乗って欲しい。一回乗りこなしてもらえれば、そのあとは飾ってもらっても構わない。そこには想いを込めているので、実際に肌で感じてもらえると嬉しいね」

1枚のデッキテープからスタートした彼のキャリア。前述のように現在ではさまざまな素材と手法で表現されるアート。それそれが異なる表情を見せつつも、そこにはひとつの共通点があった。

人と人の繋がりが僕のアートには反映されているんだ。

「マ−ク・ゴンザレスやナタス・カウパス以外にもトニー・ホークなどスケートボードのレジェンドたちとも友達になり、写真を撮り始めたことで『THRASHER MAGAZINE』にも取り上げられ、そのうちにステンシルアートも始めた。最初はベーシックなものだったけど、そこから進化して今は別のフォトグラファーが撮った写真にアートを施したりするようになったんだ。そうした人と人の繋がりがぼくのアートには反映されているんだと思うよ」

この日、インタビューに同席していた日本の友人であるカミラさんも彼の被写体としてインスピレーションを与えるミューズでもあり、大事な人と人の繋がりのひとつ。イベントに先だって彼は「今回のイベントで、今の若い世代に少しでもインスパイアさせることができれば。これからの未来に関わることは、永久にクリエイトしていくことに繋がると信じています」とのメッセージを残している。次世代にインスパイアを与える存在であると同時に、自身もインスパイアされることがあるのだという。

「スケーターにとって年齢や見た目なんて全く関係ない。大事なのはその人がどのように滑るのか、そしてそこから感じられる人間性とスタイルそれだけ。子どもって常に“知りたい”“遊びたい”って考えながら毎日を過ごしているよね?僕も同じように楽しいことが大好きだからハートがとても若いんだ(笑)。だから若い世代が今でも僕に興味を持ってくれるし、つるんでくれるのかもしれないね。彼らからは常にたくさんのエネルギーをもらっているよ」

最後にこのイベントに参加する若い世代の人々に、どんなメッセージを伝えたいのか改めて聞いてみた。

「アーティストの中には自分のテクニックやアイデアを人に教えたがらない人も多いけど、ぼくは常にオープンにして、その情報を共有するように心掛けている。まだ若かかった頃に『THRASHER MAGAZINE』の創設者のエドワード・リギンズにくっついて、フォトグラファーとしてのすべてを教えてもらった。だから僕も若い世代の人々に、自分の心の中にある情熱を信じて、100%の力を出し切るようにすれば、なんでも可能になるということを伝えたいと思っているんだ」

インタビュー中に彼は、何度も“LOVE MORE(もっと愛を)”というフレーズを口にしていた。人と人の繋がりが希薄だと言われがちな現代において、どのように生きていくべきか? 彼はストリートで生きる上で本当に大事なものを、我々若い世代に教えてくれたのだ。

インケース(Incase)

1997年にカリフォルニア州・サンフランシスコにて誕生。「アップル」の公認を受けグローバル展開するケース&バックブランド。“A better experience through good design(グッドデザインを通じてより良い経験を)”を信念に掲げ、シンプル、効率性、軽快性の3つの要素を備えたプロダクツは、どんな場面でもユーザーにとって最高のキャリングソリューションを提供する。

Incase

電話:0570-666-494
www.incasejapan.com

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