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フイナムが独自に選んだ “秋冬” の注目ブランド15!

AUTUMN / WINTER 2018-19 COLLECTIONS

フイナムが独自に選んだ “秋冬” の注目ブランド15!

ファッションを俯瞰して見ると、ストリートもモードもトラッドも…そのボーダーがどんどん曖昧になりつつある。だけど、着る側のぼくたちからするといろいろな服を自由に楽しめて面白いのかも。例えば、大きなサイズのロンTも仕立てのいいテーラードジャケットも分け隔てなく着るみたいに。もちろん身だしなみは大切だけど、やっぱり好きなものを選んでクールな格好をしたい! 今年1月、パリ・ファッションウィークを取材するなかで、そんなことを強く実感しました。名だたるブランドのデザイナーの交代が次々発表されるいま、ファッション業界からも目が離せません。秋冬シーズンの立ち上がりを目前に控え、『フイナム』が独自に選んだ注目ブランドのコレクションを一気にプレイバック!

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ルイ・ヴィトン

LOUIS VUITTON

ラストコレクションとネクストステージ。

今年1月に退任したキム・ジョーンズによる2018年秋冬コレクションは〈ルイ・ヴィトン〉での集大成的な内容でした。ミリタリー、ワーク、スポーツといったキムが得意とする服を上質な素材を使ってモダンに表現。そこにビビッドカラーを加えることで、コレクション全体がポップな印象に仕上がっています。ランウェーショーのフィナーレには、ナオミ・キャンベルとケイト・モスが登場するというサプライズも。〈シュプリーム〉や〈フラグメントデザイン〉とのコラボレーションに象徴されるように、ラグジュアリーとストリートの垣根を取っ払ったのはキム・ジョーンズの最大の功績。〈ルイ・ヴィトン〉をより身近なものに感じさせてくれました。彼の親友で、黒人として初めて〈ルイ・ヴィトン〉のメンズ アーティスティック・ディレクターに就任したヴァージル・アブローが歴史あるメゾンでどのようなファーストコレクションを発表するのか、いま世界のファッション好きが注目しています。

ショーには、キム・ジョーンズのミューズであるケイト・モスとナオミ・キャンベルが登場。フィナーレは観客が総立ちで、キムの功績を称えました。© Louis Vuitton – All rights reserved

バレンシアガ

BALENCIAGA

勢いは止まらない。

ファッション界のトレンドセッターである〈バレンシアガ〉。アーティスティック・ディレクターにデムナ・ヴァザリアが就任してからもう2年以上経つけど、その勢いは衰えをみせません。パッと見ると “普通” な服も極端にサイズが大きかったり、丈が長かったり、肩が強調されていたり…、フォルムの再構築が本当に巧み。しかも、ベースになっている服がデイリーなワードローブやストリートだったりするから、服好きなぼくたちは〈バレンシアガ〉の服がやっぱり気になる! 今コレクションは、前半に “クチュール界の建築家” と呼ばれた故クリストバル・バレンシアガにオマージュを捧げたようなジャケットやコートが登場。後半はレイヤードスタイルのオンパレードで、最大9枚のアウターを重ねたスタイルも。さらに、飢餓と貧困を撲滅する組織「The World Food Programme」(WFP)と組んだプロジェクトも展開。前後半を通じて新旧の〈バレンシアガ〉を見ているようで、デムナの表現力の高さを改めて感じられる内容でした。

ドリス ヴァン ノッテン

DRIES VAN NOTEN

100回を超えても不変のスタンス。

今年1月に公開された映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』。ドリス本人に迫ったドキュメンタリー作品は、クリエーションはもちろん、誠実でシャイな彼の人柄が伝わってくる素晴らしい内容でした。ランウェーショーの数が100回を超えても、ブランドのスタンスが変わらないことをこの秋冬コレクションを見て実感。テーラリング、タータンチェック、ミリタリー、ウエスタン…、男性のワードローブに改めて注目した服の数々は美しく、ドリスらしいエレガントさを感じさせます。フィナーレにドリス本人が出てきたときは、映画のラストシーンと重なって感動したし、続けることの偉大さを感じました。

ショーはもともと郵便局の仕分けのオフィスだった場所で行われました。フィナーレにはマーブル柄のコートを着たモデルたちが次々登場。何十人のモデルたちが歩く姿はまさに圧巻でした。

コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン

COMME des GARÇONS JUNYA WATANABE MAN

独自の解釈による機能美。

トラディショナルな男性服を見つめ直し、デザインはもとより機能性までをも再構築する〈コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン〉。今回のテーマは「ファンクショナルな装飾」。非日常的なシーンで身を守る機能的なユニフォーム、特殊な道具など、特定の用途のためにデザインされたディテールの美しさから着想を得ているそう。さまざまなアイテムにつけられたリフレクターが象徴的で、ヘルメットバッグに変形するツイードジャケットやパッカブルなダウンコートなども登場しました。さらに、このブランドといえばやっぱりコラボレーションですね。今回は〈カナダグース〉〈ザ・ノース・フェイス〉〈カリマー〉〈フィルソン〉〈グローバーオール〉〈カーハート〉〈ニューバランス〉〈ハインリッヒ ディンケラッカー〉〈トリッカーズ〉。ひとつのシーズンでこれだけの数のブランドと組むのはさすがの一言。

ワイスリー

Y-3

人気の高さを実感。

ランウェーショーの会場は1900年のパリ万博のために建てられた「グラン・パレ」。一直線のランウェーの左右に設けられた階段状の観客席はすし詰め状態。熱気がすごく、ショーが始まる前から〈Y-3〉の人気を肌で感じることに。コレクションのテーマは、原点回帰の意味が込められた「NICE TO MEET YOU」。三本線をあしらったアイコニックなデザインはもちろん、山本耀司ならではと言える花を使ったデザインが全体のアクセントに。特に目立ったのがアウターの大きさ。もともとゆったりしたつくりだけど、今回はより一層。誇張されたなかでも違和感がないのはさすがと言えます。ルーズだけどちゃんと品があるっていうか。サイズ展開も見直され、これまでのXXLがMの表記になるそう。改めて、調べてみると〈Y-3〉は今年で誕生から15周年。時代のムードともマッチしているから、〈Y-3〉の人気はまだまだ続きそうです。

今回のコレクションで注目を集めたスニーカー「BYW BBall」。NBAの「ヒューストン・ロケッツ」に所属するジェームズ・ハーデンからインスパイアされたモデルは、ソールにBOOST™ フォームを使用。

オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー™

OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™

勢いそのままに。

いま最も勢いに乗っているブランドのひとつ〈オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー™〉。今コレクションのテーマは「BUSINESS CASUAL」。この言葉の通り、これまであまりなかったスーツやテーラードジャケット、スラックスといったフォーマルな服がぐっと増えた印象。そこには、若いひとたちにもきちっとしたものも着てほしいという、ヴァージル・アブローのメッセージが込められています。コーディネートもネクタイの格好にナイロンコートやパーカを合わせたり、スーツにスウェットシャツを合わせたり、そのまま着るのではなく、あえて着崩した格好を多数提案。このパリ・メンズコレクション期間中、ヴァージルが〈ルイ・ヴィトン〉のメンズを手がけるかもっていう噂があったけど、この数ヶ月後、本当にアーティスティック・ディレクターに就任したのには本当にびっくり。

ランウェーから客席まで赤で覆われた会場。ショーでは次の3曲が使われました。The Charles Bukowski Tapes “8 Hours Job”, Weezer “Only in Dreams”, Tyler The Creator feat. Kali Uchis “see you again”

ジル・サンダー

JIL SANDER

静寂の美しさ。

〈ジル・サンダー〉が気になる。決して派手さはないけど、ジル・サンダー本人が手がけていたときのような、静けさが漂うクールで本来のデザインを思い起こさせるというか。一見シンプルだけど、素材使いや服のパターンにしっかり温かみを感じられるというか。〈OAMC〉のデザイナーであるルークと様々なブランドで研鑽を積んだルーシーのメイヤー夫妻がクリエイティブ・ディレクターに就任するまでの数年、ブランド自体が停滞していたように感じたけど、この二人になってからぐっと盛り返しているような印象を受けます。今回のコレクションを見てそれを確信。素材で変化をつけたミニマルなデザインの服を中心に、バッグやネックウォーマーがアクセントに。同系色でまとめられたコーディネートも印象的です。コレクションのルック写真は、かつて〈メゾン マルタン マルジェラ〉や雑誌『パープル』などの撮影を手がけた写真家、アンダース・エドストロームが担当しているところも見逃せません。

プレゼンテーションではアンダース・エドストロームが撮影したショートムービーも披露。〈ジル・サンダー〉の服に身を包み、パリの街を彷徨う少年たちの姿が印象的でした。

イッセイ ミヤケ メン

ISSEY MIYAKE MEN

In the Whirlwind of Urban Life

今シーズン、特に素晴らしかった〈イッセイ ミヤケ メン〉。赤のナイロンコート、スラックスに合わせたスイングトップ、MA-1の形のダウンジャケット…、どこかスポーティな雰囲気も備えた服はデザインに無理がなく、着てみたくなる服がたくさんありました。ややゆったりしたサイズ感とショーで提案されたコーディネートの色の組み合わせもしっかり考えられていて素敵。テーマは「In the Whirlwind of Urban Life」。都市生活のなかにある多様な感覚からヒントを得た、リラックスしながらも洗練された、機能的な仕事着を提案したそう。当時27歳だった高橋悠介がデザイナーに就任してから早くも5年が経ちます。歴史ある〈イッセイ ミヤケ〉のなかで、ストリートファッションとは異なる文脈で真摯にクリエーションを行っているのが伝わってきます。いま改めて、〈イッセイ ミヤケ メン〉が注目を集めそう。

ハイダー アッカーマン

HAIDER ACKERMANN

品のある色っぽさ。

ボリューミーなアウターと体を沿うようなボトムのコントラストが印象的だった〈ハイダー アッカーマン〉。この秋冬シーズンも引き続き、オーバーサイズがトレンドの一つになっているけど、ルーズなコーディネートをつくるのではなく、しっかり計算して服をつくっている感じが伝わってきます。今回は “エフォートレス” がキーワード。着物を思わせるガウン風のコート、花柄をジャカードで表現したジップアップブルゾン、チャイナハットなど、ハイダーが以前から好むオリエンタルな要素も随所に登場。これまで同様、カチッとしたテーラリングを駆使したものやミリタリーの要素を使ったアイテムを中心にしつつも、コレクション全体にどこか色っぽさが感じられるものになっています。その色っぽさを嫌らしさではなく、上品に美しく見せるのはハイダー・アッカーマンならでは。

サカイ

sacai

進化するミクスチャー。

トラッド、ストリート、ミリタリー、ワーク…、さまざま服の要素を解体し、ミックスした圧倒的なクリエーション。コレクションの回数を重ねる毎に〈サカイ〉の服はよりダイナミックで、インパクト溢れるものになっているように感じます。異なるものを掛け合わせるのは他のブランドもやっているけど、〈サカイ〉のやり方は大胆でアイコニック。ブランドの存在を唯一無二にしているように感じます。今シーズンは、異なるミリタリーのディテールをボーダーのように合わせたジャケット、クリケットセーターをミックスしたアランニット、解体して再構築したようなカバーオールが登場。さらに、〈レインスプーナー〉のハワイアン柄を使ったダウンジャケットも。服のジャンルだけでなく、シーズンをも超越したデザインは新しい提案と言えるのかもしれません。シューズでは、〈UGG〉と組んだシープスキンのブーツも。ソックスを内蔵したようなユニークなデザインになっています。

オーエーエムシー

OAMC

ヨーゼフ・ボイスとエルズワース・ケリー。

ストーリーのある服づくり。今シーズンの〈OAMC〉にはそれを強く感じました。題材は、第二次世界大戦に兵士として参加した美術家のふたり。ドイツ空軍に所属したヨーゼフ・ボイスとアメリカ陸軍に所属したエルズワース・ケリー。例えば、ファーストルックに登場したフェルト地のシャツは、ボイスがクリミア半島上空で撃墜されて怪我を負ったときに、遊牧民たちにフェルトに包まれて看病されたことに着想を得たそう。また、透け感のあるシルクオーガンジーのミリタリー風コートは、欺瞞作戦を展開したという、ケリーが配属された第23本部付特殊部隊、通称 “ゴースト・アーミー” がヒントに。デザインにしっかり理由があり、それを着たいと思わせる美しい服に仕立てているのはさすが。今後の展開によっては、もっともっと飛躍しそうなブランドのひとつ。

ポール・スミス

Paul Smith

ブリティッシュテーラリングに回帰。

ランウェーショーが行われた会場は、パリのセーヌ川沿いにある「The Docks – City of Fashion and Design」。スネークを思わせる黄緑のアイコニックな建物のなかで発表されたコレクションは、サヴィル・ロウを源流とする〈ポール・スミス〉の美しいブリティッシュテーラリングを実感できる内容。一見、シンプルなコートやジャケットは、よく見ると異なる柄や素材を組み合わせるなど、デザインの塩梅はさすが。実際に着てみると、シャープでありながら着丈は長く、クラシックなつくりになっています。さらに、サイケデリックなモチーフや色鮮やかなセットアップがいい感じのアクセントに。そういったデザインはオプティミズム(楽観主義)を表現していて、誰にもある不安や苦悩などを忘れてほしいという、ポール・スミスのメッセージが込められています。

写真はバックステージで撮影された一枚。モデルたちのリラックスした表情が印象的で、ポールさん本人の人柄が伝わってきますね。

アニエスベー

agnès b.

変わらないことの魅力。

改めて注目したいブランドのひとつ〈アニエスベー〉。その理由は、ストリートファッションが時代を席巻するなか、変わらず自分のスタイルを貫いているところ。ファッションは “トレンド” も大切だけど、逆に〈アニエスベー〉が提案する “タイムレス” なファッションもすごく魅力的。決して派手さはないけど、ずっと愛される理由が分かります。昨年、『フイナム』でインタビューしたとき、アニエスベー本人もナチュラルですごく素敵なひとでした。秋冬コレクションもスタンスは不変。さまざまな時代の男性の服装から着想を得たというコレクションは、アニエスベー本人の好きな映画や音楽といったカルチャーの要素を随所に感じさせるスタイルが登場。自然とノンシャランな雰囲気が伝わってきます。

ナマチェコ

NAMACHEKO

屈折した美学。

〈ナマチェコ〉を知っていますか? 第二の〈ラフ シモンズ〉と言われる新進ブランドで、デザイナーを務めるクルド人のディアンとレザンのルアー兄弟が2015年にスタート。数々のメゾンブランドも依頼するアントワープの工場が生産を担当し、2017年秋冬コレクションをパリの有名セレクトショップ「The Broken Arm」がいち早く販売した……という経歴を聞くだけでも期待の高さが伝わってきますね。そんな中で発表された今回は、画家フランス・ベーコンの作品からヒントを得たという独特の色使いが印象的。一見シンプルなシャツはボタンの形が変わっていたり、リブ編みのニットも前身頃が変形していたり、どこか屈折した独特の美学を感じさせます。クルドの楽天主義に敬意を表したとリリースに書いてある通り、自分たちのルーツを大切にしている雰囲気が伝わってきます。

ショーの会場は「Espace Niemeyer」というパリの会議場。どこかスペーシーな空間は〈ナマチェコ〉のクリエーションと上手くマッチしていました。写真左は会場の天井。

ダブレット

doublet

「LVMHプライズ」のグランプリを受賞!

いま最も期待と注目を集める日本のブランドと言って間違いない〈ダブレット〉。若手デザイナーの登竜門といえる「LVMHプライズ」のグランプリを受賞したニュースにたくさんのファッション関係者が驚きました。『フイナム』でもブランドの動向を紹介してきましたが、パロディ的な感覚とユーモアが共存するクリエーションはインパクト抜群。クールなデザインだけどよくよく見るとクスッと笑ってしまうというか。受賞を契機にファンが増えることは間違いなさそうです。秋冬コレクションのテーマは「Ready-to-Where?」。この言葉は、既製服を表す “Ready-to-Wear” を言葉遊びで “Where?” に変えた造語。「どこに着ていく服なの?」と突っ込みを入れたくなる意外性のある服をラインナップしています。背面がヒョウの顔になったレオパード柄のジャケット、ハンバーガーの包み紙を思わせるパンツ…やっぱり今シーズンもぼくたちの心を捉えてやみません!

LOUIS VUITTON

BALENCIAGA

DRIES VAN NOTEN

COMME des GARÇONS JUNYA WATANABE MAN

Y-3

OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™

JIL SANDER

ISSEY MIYAKE MEN

HAIDER ACKERMANN

sacai

OAMC

Paul Smith

agnès b.

NAMACHEKO

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