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ROSTARR が描き出した”アート”とプロダクトの邂逅。

The First Step of “DIESEL ALRITE”

ROSTARR が描き出した”アート”とプロダクトの邂逅。

イタリアのプレミアム・カジュアルブランド〈ディーゼル〉のウォッチライン「ディーゼル タイムフレームス」による新プロジェクト「DIESEL ALRITE」がついに始動。その第1弾として、カリグラフィーをベースとした独自のスタイルでオファーが殺到しているNY在住のアーティスト、ROSTARRを招聘し、オリジナルのアートを用いたスペシャルな腕時計を製作した。そこで今回、その製作秘話を、仕掛け人であるディーゼル ライセンシングクリエイティブ・ディレクターのアンドレア・ロッソとROSTARRに聞いた。

  • Photo_Shin Hamada
  • Text_Maruro Yamashita
  • Edit_Jun Nakada
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—このプロジェクトはどのようにスタートしたのでしょうか?

ROSTARR:きっかけはアンドレアからですね。僕のところにはキュレーターを通して依頼が来たんですが、〈ディーゼル〉としてもこういった形でのコラボレーションが初めてだったこともあり、お互い未知数な部分はありました。特に今回はアイテムが腕時計という物理的に小さなものだったので。でも〈ディーゼル〉が掲げている、”アートの一部を身につける”というコンセプトが本当に素晴らしいと思ったし、それを腕時計を介して表現するというアプローチが面白いと思い、一緒に取り組ませてもらうことに決めました。

アンドレア:今回のように、腕時計のメタルの上にキャンバスを乗せることはアプローチとして初めてだったし、どういう生地を使えばうまくいくのかなど、色々と試す必要がありました。また、コラボレーションするのであれば、そういった部分だけじゃなく、腕時計そのものをきちんと理解した上でプロジェクトを進めてくれる人と取り組む必要があると考えました。それは誰だろうと考えたときに、ROSTARRに白羽の矢が立ったんです。トライ&エラーの繰り返しで、実際、製作にはとても時間がかかりましたけどね。

ROSTARR:もちろんやるからには自分の作品が、最高の形で表現されないといけないので、そこはものすごく気を遣いました。腕時計という限られたスペースの中で、どうすれば最大限表現できるのかをしっかり考えながらね。

アンドレア:たしかにサイズはとても大きな問題でした。特にROSTARRの作品スタイルは幅が広いものが多いので、それをそのまま腕時計に乗せてもフィットしない。なので、ベースとなる腕時計自体のサイズも考えて、かつアート性が損なわれないよう、バランスを調整するのに一番時間がかかりましたね。

ー今回の「DIESEL ALRITE」のムービーの中で、ROSTARRさんは「自分を制御する中での発見があった」と語っていました。

ROSTARR:僕は絵を描く時、スケッチをしないでそのまま描き始めるタイプで、一人で製作していると、描くことに没頭してしまって、自分を抑制できなくなるというか、色々やりたくなってしまう癖があるんです。もちろんそれは、同じものや退屈なものを作りたくないという気持ちがあってこそのことなのですが、今回のプロジェクトに関しては、ある程度の一貫性が必要でした。つまり意識的に自分のクリエイティビティを抑制しながら一本の筋道を描いていくことで、一人では描き出せなかったようなものが生まれることがあるということです。今回のプロジェクトがまさにそれでした。

ーペインティングはどのように始められたんですか?

ROSTARR:子供の頃から絵を描くのが大好きで、絵を描いているときが、唯一自分が自由になれる時間だったんです。学校を卒業してからは、グラフィックデザイナーとして、とある会社で働いていましたが、他人のためにアートを作るということに違和感を感じて。自分のアートに対するステイトメントを、自分の声として発して表現していきたいという思いが強くなって、自由を求めてフリーランスのアーティストになりました。95〜96年くらいの話です。

ーずっとNYを拠点に活動されていますが、90年代と現在では何か変化を感じますか?

ROSTARR:何もかも変わったし、今のNYにエッジーな部分はまったくないと思います。僕は89年にNYに移ってきたんですけど、その頃はとても治安が悪くて、常に身の周りに気をつけないといけない状況でした。犯罪も多かったし、汚かったり、色々なマイナス面はありましたけど、それがNYの魅力でもあったんです。だからこそ刺激的でした。ストリートのルールを知らないとすぐに危険が降りかかってくるような、すごくギリギリのところで生きていましたね。でも、ジュリアーノが知事になったことですべてが変わりました。商業的な面でいうと、さまざまな大企業を招き入れて、大きな観光地と化してしまった。もちろんそれが悪いことではないんですけど、昔の刺激的なNYは完全になくなってしまったなと。それがすごく残念ですね。ただ、NYが変わったことでアートシーンがより活発になりましたし、そういう点では良いのかなと思います。けど、やっぱり昔が恋しいし、もうあの時代は戻ってこないんだろうなという寂しさはありますね。

ーお二人は、アートとファッションの関係性についてどのようにお考えですか?

ROSTARR:アートとファッションは昔から結婚しているような関係だと思います(笑)。90年代は特に。僕はファッションが大好きですし、嬉しいことに、色々なブランドやデザイナーから、今回のような形でファッションと結びつけてくれないかというアプローチをいただくんです。僕からアプローチすることはないけれど、相手からそういう話をもらうということは、自分のアートがファッションと相性が良いということだと思います。なので、そういう話をもらったら極力やりたいなと考えています。やはり自分としても、色々なプロダクトに対して、自分のアートがどういう風に表現できるのかチャレンジしてみたいし見てみたいと思うし、僕が大好きなファッションに自分のアートが加わるることが純粋に嬉しいんです。

アンドレア:90年代からアートとファッションはコラボレーションが生まれるようになりましたけど、今となっては別に珍しいことではないですよね。ファッションとアートにとってすごく重要なのは、お互いに一緒に作り上げようとする気持ち、握手をして手を取り合ってではないですけど、共に作っていく、そういう気持ちが一番大事だと思います。最終的な形が何なのかということをお互いが理解出来ていれば、その間のプロセスは、難しいことがあったとしても必ずゴールに辿り着けると思っています。気持ちが共有できていれば、一緒に改善できるしお互いに高め合っていける。それこそがコラボレーションだと思っています。

ーROSTARRさんは、過去に日本で何度もエキシビションを行っていますが、日本のストリート、アート、ファッションのシーンをどう捉えていますか?

ROSTARR:変化していると思いますよ、すごいスピードで。おそらく世界中見回しても日本ぐらいじゃないでしょうか。しかもそれが、毎回素晴らしいクオリティであるということ。ファッションだけじゃなくて、食をはじめとした文化的なものすべてです。そこからものすごくインスピレーションを受けていますね。日本人は、何事も自分自身を堂々と楽しみながら表現しているなと感じます。もちろんアートに関してもそう。それに日本は良い意味でコミュニティが狭いので、お互い知り合いだったり、ネットワークが繋がっているなというのも強く感じます。そういった環境の場合、何名かのグループでひとつのプロジェクトを進めていくのも面白そうですね。そういう意味でも、アートを表現するのには素晴らしい場所だと思います。

ー今後の”DIESEL ALRITE”の展開を教えてください。

アンドレア:今回は本当に実験的なプロジェクトでした。これからどう進んでいくかは、これから考えますが、僕自身とても楽しみにしています。個人的には時計だけじゃなくて、他の商品にも反映させていきたいと思っていて、それがランプかもしれないし、テーブルかもしれないし、レザージャケットなのかもしれない。表現するアウトプットは違っても、コンセプトにブレのないプロジェクトを進めていけたらいいなと思っています。その手始めとして打ち出した今回は、見事に我々の理想とするスタイルを築けたなと。この先も変わらず継承していきたいですね。

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