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FEATURE|靴職人から見た、スニーカーの醍醐味とは?

靴職人から見た、スニーカーの醍醐味とは?

Sneaker Journal vol.7

靴職人から見た、スニーカーの醍醐味とは?

スニーカーにまつわるさまざまな事象を取り上げ、フイナム的な視点で掘り下げていく連載企画『Sneaker Journal』。今回は、靴職人の五宝賢太郎さんにインタビュー。自身のブランドや海外メゾンの高級靴を手掛ける一方、生粋のスニーカー好きでもある五宝さんにとって、革靴にはないスニーカーならではの醍醐味とは? そして最近気になるスニーカーは? 埼玉県蕨市の工房を訪れ、話を聞いてきました。

  • Photo_Masataka Nakada[STUH]
  • Interview & Text_Issey Enomoto
  • Edit_Hiroshi Yamamoto
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五宝賢太郎 / 靴職人

1981年徳島県生まれ。茨城大学教育学部在学中、埼玉県蕨市で靴工房を営んでいた靴職人の稲村有好氏に師事し、靴作りのイロハを学ぶ。2009年、自身の靴工房「グレンストック」設立。オーダーシューズの製作やリペアを行っている。2017年、ドラマ「陸王」の足袋型シューズ開発の監修も務めた。

超レアの一点物。「フイナムトレーナー」誕生!?

五宝こんにちは。今日はフイナムさんが取材に来られるということで、特別なものを用意しておきました。こちらです。

うわっ! アッパーに「HOUYHNHNM」の文字があしらわれているじゃないですか。これ、五宝さんの手作りなんですか?

五宝はい。フイナムさんのためにつくった一点物の限定モデル、その名も「フイナムトレーナー」です(笑)。

すごい、こんなこともできるんですね。五宝さんの工房では、お願いすればこういったスペシャルなシューズもつくってくれるんですか?

五宝ご相談いただければ、どんなシューズでもつくります。昨年はテレビの制作会社から依頼を受け、ドラマ「陸王」の足袋型シューズを製作協力しました。

革靴のオーダーメイドはよくありますが、スニーカーでは珍しい気がします。

五宝うちの工房は紳士靴のオーダーメイドや修理がメインですが、スニーカー、ブーツ、パンプス、子供靴など、靴であればどんなものでも承っています。

小5の夏の自由研究でワラビーを自作!

もともと五宝さんが靴職人を志したきっかけは何だったのでしょうか?

五宝僕は小さな頃からモノ作りが好きな子どもで、小学生のときには靴作りの真似事のようなことをしていました。まずは小学校3年生のとき、ティッシュケースでスニーカーのようなもの自作。ガムテープで足にぐるぐる巻きにしただけの単純なものでした。

小学校5年生のときには、ワラビーをモチーフにしたそれなりに本格的な革靴をつくりました。アッパーは父親のレザージャケットをこっそり加工して、アウトソールのラバーは家にあったタンスの滑り止めを勝手に拝借して(笑)。それを夏休みの自由研究で提出したら同級生や担任から大受けしたんです。父親からは大目玉を食らいましたが(笑)。

すでに小学生のときから靴職人を志す兆しがあったんですね。

五宝そうですね。中学生になってからも自己流の靴作りは続けつつ、バスケットボールに夢中になって。プロを目指してがんばっていましたが、高校生のときに大怪我してプロになる夢は諦めて、本格的に靴職人を目指すようになりました。

五宝これは高校生のときにつくったシューズ。当時、〈アディダス〉のプロモデルが欲しかったけど買えなかったので、それっぽいものを自分でつくってしまいました。

五宝これは大学生のときにつくったシューズ。「1本のヒモでどこまでアッパーを絞れるか?」をテーマに製作して、大学の課題として提出しました。

革靴はワイン、スニーカーはビール!?

いまは靴職人として日々、靴の製作や修理をしながら、ご自身はどういった靴を履いているんですか?

五宝僕は靴全般に興味があって、革靴もスニーカーも好き。重厚な革靴と、軽快なスニーカー、それぞれに違った魅力があります。例えるなら、革靴はワインで、スニーカーはビールみたいなもの。伝わりますかね(笑)。

とはいえ、とりわけ大好きなのは、やっぱりスニーカー。いまもネットや雑誌で新作情報をこまめにチェックしていますし、普段の足元もほぼスニーカーです。海外の靴工房に行くと、高級靴をつくっている職人が普通の〈ヴァンズ〉を履いていたりして、それがすごくかっこよくて。僕自身もそれに倣っているところがあります。

いま注目しているのは、デンマークのシューズブランド〈エコー〉。

最近気に入っているスニーカーを教えてもらえますか?

五宝いまいちばん注目しているのは、デンマークのコンフォートシューズブランド〈エコー〉。今日も履いていますが、レザーの質感が素晴らしく、とにかく履き心地がいい。ディテールへのこだわりもスニーカーとは思えないほど。

五宝これは「ソフトエイト」という定番モデル。〈エコー〉のなかでも特に気に入っている一足です。

五宝そしてこちらは「バイオム C」。薄さと強度を兼ね備えた新素材「ダイニーマ」がアッパーに用いられています。アムステルダムにある〈エコー〉のコンセプトショップ「W-21」で購入しました。このショップの限定モデルです。

やっぱり〈ナイキ〉も気になる存在。

〈エコー〉以外で気になるブランドはありますか?

五宝なんだかんだで〈ナイキ〉は昔もいまも気になる存在です。〈ナイキ〉が本気を出して開発しているテクノロジーは、やっぱり夢がありますよね。僕のような靴職人ではつくれないものですし。ファンの期待に応え続けているのもすごいと思います。

ちなみに僕は一度気に入ったものが見つかるとそればかり履く傾向があって。去年は「ローシラン」にハマって、色違いで揃えて毎日のように履いていました。

五宝ジョーダンも大好きなスニーカーのひとつです。こちらは「エア ジョーダン11」のローカット。一時期よく履いていました。

五宝こちらは自作シューズ。外側にオフセットされたシューレースは〈ナイキ〉の「エア フットスケープ」をモチーフにしたものです。

「サブウェイ」みたいなシューズショップをつくりたい。

五宝さんは靴職人として、今後どのようなことをやっていきたいですか?

五宝オーダーシューズの概念を変えたいと思っています。オーダーシューズって敷居が高いイメージがあると思いますが、多くの方にもっと手軽に楽しんでもらいたい。僕の頭のなかに構想としてあるのは、サンドイッチの「サブウェイ」みたいなシューズショップ。決められたメニューのなかから、まずはアッパーを選んで、アウトソールはこれ、シューレースはこれ、とひとつずつ決めていって、自分好みの一足が出来上がっていく。そんな靴屋さんがあったら、ちょっと楽しそうでしょ?

グレンストック

埼玉県川口市芝5-6-13
電話:048-261-9241
営業時間:8:00~20:00
定休日:日曜日
grenstock.org

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