2018-19AWコレクションのテーマは“PROTO-TYPE II”。前シーズンから継続して、過去の自身のコレクションにフォーカスを当てています。これまでの集大成ともいえる今回のコレクションについて教えてください。
三原過去のコレクションがベースになっているから、昔の僕の服を知っている人にとっては懐かしいものが出てきてると思うんですよ。ベースはアメリカのヴィンテージやミリタリーで、ステレオタイプなものを複雑なパターンで組み合わせて、新しいレイヤードで見せるというものです。
今シーズンは、過去にプロトタイプとして作ってみたものの、結局リリースしなかったものを形にしています。4本足のパンツとか、4本袖のアウターとか。2005年あたりに、前後ろのシャツを展開していた時代のものが多いのかな。あれですら、アバンギャルドすぎて売れなかったけど…。でもなんで売れないものをあえて作ったかって、理由は、あるクチュリエが『人間の体は、どんなに進化しても腕が3本になることや足が4本になることはない。クチュリエを続けていて、そこが難しいんだ』って言っていたことがあって。じゃあ、作っちゃおうかなって。バカげてるけど。当時のそういう気持ちを思い出したんですよね。
あと僕、自分で自分をコピーするのが好きでね。それと、タブーなことをするのも好きなんです。ビックブランドから訴えられないギリギリのコピーとか大好きですね。シューズに関しては〈DC SHOES〉は本当のコラボレーションなんですけど。本当のコラボを入れながら、ギリギリのことをやるのが面白い。自分はいつまでもアングラだから、ビッグブランドを挑発するのが好きなんですよ。
20年間の自身のクリエイションやファッションシーンを振り返るコレクションになったわけですよね。ショーを終え、今思うことはどんなことでしょうか?
三原昔は反体制の人たちがファッションをやってたと思うんですけど。現在は、東京のファッションウィークも企業のコマーシャルになっちゃったりして、ファッションは誰のためにあるのかなぁって。だから、若いデザイナーが、フィロソフィーを持っているブランドが、そういうのに喧嘩を売るようになったのかなって思いますよね。最近はファッションの捉え方が変わってきていると実感するから、久しぶりにショーやることは正直怖かった。そんな中〈ダブレット〉の井野くんが賞をとった。自分の一番弟子だから、自分のことのようにうれしいよね。
今の変わりつつあるファッションについて否定はしないけど、ただもっと、ファッションはカウンターカルチャーであってほしい。自分はアングラだから、いま改めてそう思います。昔みたいにセーヌ川沿いでいきなりショーやったりね。そういう時代がまた来るといいなと思います。